第115話 連れてきた
「――で、連れてきたわけか」
俺が全部事情を話すと、母さんが言う。
俺たちはリビングにいて、俺の隣に女が座ってて、それと向き合う感じで母さんが座ってる。
男のほうはまだ気を失ってるらしい。
だからセトオギロのベッドで寝てもらってる。
「キミ、名前はなんていうの?」
「……レツです……」
「へー、レツちゃん、か。私はキトナ。よろしくね」
笑顔で言う母さん。
それでもレツはまだ落ち着けてない。
なにがあったのかを聞かなきゃな……。
「なにがあったのかな? レツちゃんのところで」
「……村で……暮らしてたんです……。普段は平和で、みんな仲がよくて……、争いなんてなかったんです……。それで……いつもどおり大人しく暮らしてたら……、突然襲撃されて……、トルアキナ族に……」
「あー、多分操者だね。普通のトルアキナ族で村を制圧とかできないと思うし。ま、数の暴力だったらいけるかもしれないけど」
「はい……、なんか手の甲に文字が……」
「なんて文字?」
「それは……、すみません……、覚えてません……」
まぁ、仕方ないよな。
突然住んでる村が襲撃されたらそんなことどうでもいいもん。
とりあえず、助かっただけでもよかった。
「じゃあさ、男だった? 女だった?」
「男だった気がします」
それで結構しぼれたのかな?
今のところ倒したのはチルタ、ドララ、アリトール、ラーサ、ハナ。
……なんで俺、そんなこと確認したんだろう……。
「じゃあさ、どんな感じで攻撃してたか覚えてる? 雷の攻撃とか、氷の攻撃とか」
「そういう技は発動してた感じじゃなかったんです。なんか……、物理攻撃みたいな……」
「あー、だいぶしぼれたね。それ以外になんか覚えてることある?」
「いえ、特に……」
「わかった、ありがとう。とりあえずご飯食べよっか。そのあとシャワー浴びな? ……あ、それとも先にシャワーがいい?」
ちょっと声のトーンが変わる母さん。
高くなった。
でも、物理攻撃をしてくる操者か。
そんなやついたっけ?
確か『刀』の操者とかいたな。
そいつかな?
うん、そいつしか考えられない。
次の敵は『刀』の操者になるかもな。
でも、それなら俺の炎ですぐ蒸発させられると思うけど。
ま、一応用心しとくか。




