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第114話 助けてほしい男と女

 あれから数日が経った。

 ムルノも目が覚めた。

 もう元気そうだ。


 今、一人で散歩してた。


 やっぱ面白いな……、この世界……。

 そういえば最近母さんと『修行』とかしてないけど大丈夫なのかな?


 今のところ順調に進んでるけど、絶対どこかで負けそうな戦いになるよな……。

 どうしよう……。


 「――あ、あの!」


 後ろから女の声がする。

 振り向くと、そこには一人の女と男がいた。

 二人とも俺と同じ年齢くらいに見える。


 それに、二人は腰に刀を差していた。


 そしてもっと重要なことがある。


 この二人、めっちゃ人間みたい。

 変な尻尾とか生えてないし、牙もなさそう。


 やっと人間みたいなやつと会えた……。


 「お、お願いします! 助けてください!」


 なんか必死で言ってる女。

 それとは逆で、俺を睨んでる男。


 なんで俺睨まれてるの……?


 ……あ、思い出した。

 この世界じゃ嫌われてるんだった、俺。


 「助けるって……、なんかあったのか?」

 「急に……、トルアキナ族が……!」


 ああ、ただのトルアキナ族か。

 操者(オペラトルス)とかだったらヤバイけど。


 「ただのトルアキナ族じゃないんです! 手の甲に文字があるやつで!」


 ! それって操者(オペラトルス)じゃん!


 「どんな文字があるやつだ?」

 「それはわからなくて……」

 「わかった、じゃあついてきて」


 ここから家までそんなに離れていない。

 歩いてでも行ける距離だ。


 「ちょっと待ってください」


 ? どうした?


 「脚が……、怪我してるんです……!」


 女が男の(すね)を指差す。

 怪我してるのか……?


 「おい、言うなよ!」


 やっと男が喋る。


 「怪我なんてしてねぇから!」

 「嘘だ! 思いっきり打ってたじゃん!」

 「知らねぇよ!」


 あー、これ怪我してるやつだ。

 なんか強がってる。


 背負ってやるか。


 「おい、背負ってやる」


 俺が男に触る。


 「やめろ! 触るな!」


 男は俺の腹を殴る。

 でも全然痛くない。


 俺はびくともしないのに、男は殴り続ける。


 「触るな! このゴミが! 嫌われ者が!」


 ……へー、そんなこと言うんだ。

 命よりもプライドのほうが優先か。


 向こうの世界――少なくとも日本ではそれがあんまなかったのに。


 こういうのされるのって、あんまり気持ちの良いものじゃないな。


 背負うかどうか迷っていると、突然男が倒れる。

 気絶したみたいだ。


 「――なんか大変そうだな」


 セトオギロの声がする。

 気づいたらセトオギロが近くに立っていた。


 「アシトに触ってほしくなかったら俺が背負ってやるよ」


 セトオギロは男を軽々と背負う。


 「じゃ、先行ってるぜ」


 セトオギロはそう言って超高速で俺の家まで走った。


 「……行こっか」


 俺は女に言って、歩き出した。

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