第109話 母さんが来た
「……アシト……どうする……?」
マユが言う。
俺は、倒れてる3人を見た。
ムルノ、マユ、花の操者。
3人とも、呼吸をしてる気配はない。
近くにセトオギロやキイラはいない。
3人とも家に連れて行くには無理だ。
……3人とも連れて行く必要はないか……?
ムルノとマユだけでいいんじゃないか?
そう思いたかった。
でも思えなかった。
理由はわからない。
だけど、花の操者をここに置いていくことはできない。
「――アシト」
後ろから女の声。
振り向く。
ドヤ顔で母さんが立ってた。
ナイスタイミングすぎる……。
「終わったみたいだね、戦い」
「ああ……」
「ムルノも調子乗って力を解放したか……。じゃ、帰るよ。ムルノとマユちゃんは私が背負っていくから、二人は自力で行ける?」
母さんは花の操者を置いていく気だ。
普通そうだよな。
「なぁ、母さん……」
「なに?」
「あいつ……、敵も……、家に連れて帰っていいかな……?」
驚いた表情をしたのはルイナ。
『なに言ってるの?』って顔してる。
でも、そんなルイナを俺は無視した。
「なんで?」
母さんから予想通りの質問が来る。
「あいつ、マユの妹なんだ。せめて、マユにお別れを言わせてあげたい」
俺はそう言ったけど、本当はそんなこと思ってなかった。
「でも、トドメを刺したのはマユちゃんでしょ? それならいいじゃん。逆に、マユちゃんがもう一度その妹ちゃんに会ったら後悔するかもよ?」
「ああ、それはわかってる。でも……、連れて帰りたい」
「……下心?」
「んなわけねぇだろ!」
……ヤバイ……。
大声出したら痛みが……。
「……わかったよ、アシトがそう言うなら連れていきますか」
「ありがとう……」
やっぱ母さん優しいな。
「セトオギロくんとキイラくんは今家にいるよ?」
へー、あいつら、今家にいるのか――
――って、家!?
なんで家!?
あいつら帰ったの!?
「なんかね、私がご飯食べてたら急に現れたんだよね。すんごい怪我してたから理由聞いたら、ここで敵に遭遇した、って聞いたから来たの。本気で戦う準備してたのに、来てたら終わってたじゃん」
んなこと言われても……。
ってか、あいつら家にワープさせられたの?
敵は何目的で家にワープさせた?
マユの妹って面白い思考回路してるな……。
「ま、早く帰ろ。私食事中だったし」
母さんは軽々とムルノを背負った。
そしてマユたちのところに向かう。
とりあえず助かった……。




