第103話 『無』の操者?
「! 『無』の操者……!」
ラーサがムルノの左手の甲に刻まれた文字を見て驚いてる。
俺も結構驚いてる。
「『元』だけどね。ご主人様の時代だよ、だから結構前。それより、私に驚いてる暇あるの? こんなことしてる暇あったら、戦い方とか考えたほうがいいよ?」
ムルノはどんどんラーサに近づく。
ラーサはそんなムルノに警戒してる。
「ねぇねぇ、なんで攻撃してこないの? 一応『地』の操者なんでしょ?」
「……そうだね……、攻撃したいよ……。隙がないんだよね……」
「それはどうも。……あ、言っとくけど、私、ゼルロのクソ野郎の味方は絶対殺すから」
ムルノが言い終わったとき。
何も無い世界が急に変わった。
地面が出てきた。
でも、それ以外は何も無い。
「……やっぱりわからない。なぜ地面を出す? ボクが『地』の操者ってことはわかってるはずだ。なのになんで――」
「さぁ? なんでだと思う? 私もわからない」
ムルノは立ち止まる。
「多分ね、自分を試したいんだと思う。自分が不利な状況から、勝てるかどうか」
「それは『ボクがあまり強くない』と遠回しに言ってるのかい?」
「いや、お前は強いよ。ゼルロやご主人様、私なんかより」
ムルノ……?
なにを言ってるんだ……?
「心の中に、なにかが有るからね」
その瞬間、ムルノが消えた。
そしたらラーサの真後ろにムルノが現れた。
ラーサはまだそれに気づけてないみたいだ。
ラーサがムルノの存在に気づく前に、ムルノは手刀でラーサの左胸を貫通させる。
「――あ、ご主人様は邪魔しないでね」
ムルノが言ったとき、俺の脚が動かなくなる。
本当にわからない。
ムルノはなにがしたいんだ?
ムルノはラーサから手を外す。
すると、ラーサが超高速で地面に沈んだ。
「お前は強いよ、『地』の操者。本当はお前を殺したくない。私より強いやつを殺すのは、あんまり気持ちの良いことじゃない。でも、ゼルロの味方なら躊躇なく殺す」
ムルノが俺の前まで高速移動してくる。
すると、どこからかラーサの叫び声が聞こえた。
なんか苦しそう。
すると、空間が戻った。
向こうのほうにはマユとキイラが操者と戦ってる。
「さーてと、私はなにしよっかなー?」
退屈そうにムルノが言う。
もう左手の甲の『無』という文字は消えていた。




