第102話 違う……
「――なぁ、マユ」
操者から一旦離れ、マユに話しかけるキイラ。
これはルイナとセトオギロがアシトたちとわかれる数刻前。
「なぜお前はあいつの動きについていける?」
「わかりませんけど……、……なんか嫌な予感がします……」
会話をする二人。
そんな二人を、操者は仮面越しに見る。
マユの頭に、昔チルタに言われた言葉がよぎる。
「お前の家族が操者になった気分はさ!」
「……違う……、絶対違う……」
「『花』の技か……、あんまり得くねぇんだよな……」
マユの言葉を無視して、キイラは緑色の刀を操者に向ける。
「マユ、お前って竜を出せたよな? 俺たちが初めて会ったときやってたよな? それで洞窟を壊したんだろ? あれを――」
「違う……、違う……、『ハナ』……じゃない……、『ハナ』はもう……」
「? マユ?」
「私はもう独りだ……! そんなわけない……! いるはずない……!」
「…………」
キイラの言っていることを聞かないマユ。
それに、キイラにはよく理解できないことをずっとつぶやいている。
そんなマユに斬りかかってくる操者。
マユはその斬撃を急いで防ぐ。
しかし、マユの動きは先刻とは少し違っていた。
先刻よりも感情的な動きになっている。
「うわああぁぁぁ!」
突然叫びだすマユ。
そこから『なにか』を感じたキイラは急いで操者に斬りかかる。
操者はキイラの斬撃を躱して、二人から離れた。
その隙にキイラはマユの頭に掌を当てる。
すると、マユが崩れるように倒れた。
気絶したのだ。
「おい、操者。お前がマユになにかしたのか? マユがあんなに取り乱すなんて普段はあり得ねぇからな」
「…………」
キイラの質問に答えない操者。
「答える気はないようだな。じゃ、戦わせてもらう」
キイラは操者に斬りかかった。
どれほどの時間が経過しただろうか。
本当はほんの数十秒のことだろうが、斬り合っている者にとっては長く感じる。
キイラは疲れを感じてきているが、操者は疲れている気配がない。
「お前……、ロボットか……? 疲れを感じてねぇみてぇだけど――」
「質問しても無駄ですよ」
キイラの隣に立つマユ。
今度は落ち着いている。
「目が覚めたか?」
「はい、ありがとうございました。おかげで落ち着きました」
「興奮してたら勝てる戦いも勝てなくなるからな」
マユも操者にナイフを構える。
そして、2対1の斬り合いが始まった。
そのとき、ルイナとセトオギロが来た。
ただ、ルイナもセトオギロもマユたちと戦うことはできなかった。




