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異世界門と2つの世界  作者: 夜月 蒼真
7/8

システィー家




昼。馬車乗り場に来た龍馬とミレイア。

朝からハプニングに見舞われ、お互いあまり話がない二人。


馬車に乗り、システィー領へ向かって行く。乗り心地は悪くはないが、いいとも言えない。ただ、徒歩よりは早く楽だった。


途中、魔物に襲われたが、馬車には4人の護衛がついてるため安全に向かうことが出来た。


システィー領に入り、馬車を降りた。その後、商人の馬車に乗って、システィー領の中央の街に向かった。


商人の馬車で後ろの方に座り、お互いに向かい合う感じで座った。


「チッ…」


途中、若い商人が舌打ちをしたが、聞こえない振りをした。


「多分、着くのは夜になりますね。中央街に着いたら、関所にいる騎士に伝えて入りましょう」

「わかりました」


話していると、馬車が止まった。何かと思い龍馬は前の方にいる商人の方を見る。

すると、ドサッドサッと足音が聞こえてきた。足音は少しずつ大きくなり、森の方から魔物が現れた。


3メートル近いデカい体で、頭は豚の顔をしており、口からは牙が出ていた。肌は薄橙(うすだいだい)よりピンクに近く、大きな棍棒を持っていた。


「お、オークだ!なんで護衛が居ない時に出るんだよ!」

「いいから逃げろ!若いのも早く逃げろ!」


商人2人はすぐに馬車から降りて、来た道の方へ逃げる。

龍馬は、オークを見ながらミレイアに話しかける。


「ここで待っててください。すぐ終わらせます」


そう言うと、ミレイアが返答する前に龍馬はオークに向かって駆けていた。


龍馬は、オークに向かって走り、オークが棍棒を振り下ろしたのを避けオークの首を斬る。

首を斬られたオークは、後ろの方に倒れていき動かなくなった。


龍馬は、刀に付いた血を飛ばし鞘に収めようとしたが、途中で止めて森の方を見て武器を構える。


森の方からゴブリンが5体現れた。龍馬がゴブリンを斬ろうとしたら、3体のゴブリンに稲妻が走った。稲妻が当たったゴブリンは焼け焦げ倒れた。稲妻が来た方向を見ると、ミレイアが杖を構えていた。


「援護します!」


龍馬はそれを確認すると、2体のゴブリンを難なく斬り倒した。血を飛ばし、刀を鞘に収めて倒した魔物を見る。


(ここら辺は中央街に近いから、定期的に騎士団が魔物を狩っているはず。どこからか逃げてきたのか?)


龍馬が考えていると、ミレイアと逃げた商人2が龍馬の方に来た。


「荷物を守っていただき、ありがとうございます!」


少し年老いた商人が龍馬に礼をして、何度もお辞儀をしていた。


「おじさん。ここら辺って、オークが出たことはありますか?」


老いた商人は少し考えたあと、質問に答えていく。


「いえ、長くこの道を使ってますが、出たことは1度も」

「なるほど」


龍馬は少し考えたあと、商人から手袋を貰い魔物から魔石を取った。


「そろそろ出発するぞ!早く乗れ!」


若い商人が声をかけてくる。魔石を小袋に入れて馬車に乗る。


税関を通って街に入った。

龍馬達は馬車から降りて商人と話をする。


「ありがとうございました」

「いやいや、こちらこそ。馬車を守ってくれてありがとう!」


龍馬は、小袋を取り出し商人に渡す。


「さっき倒した魔物から取った魔石とお礼です」

「そんな!いりませんよ!」


老いた商人は首を振るが、若い商人は目をキラつかせていた。


「自分たちは、ここまで送ってもらえただけでも十分ですので。貰ってください」


老いた商人は、渋々と小袋を受け取り、礼を言って馬車で去って行った。


「さて、では行きましょう」

「はい。こっちです」


先頭をミレイアが歩きついて行く龍馬。しばらく歩くと、街から少し離れたところに大きな建物があった。白い壁で広い館。周りは壁で覆われており門の前には騎士が2人立っていた。


「何者だ!ここはシスティー家の屋敷だ!今すぐ立ち去れ!」


騎士がいきなり槍を突き出してきた。あまりにも無礼ではあるが、フードを被って顔を隠しているので仕方ないのかもしれない。


「武器を下ろしてください!」


ミレイアが声をかけフードを取ると、彼女の金色の髪がなびく。


「あ、貴女は、ミレイアお嬢様!」


騎士は慌てて槍をおろし、ミレイアの前に(ひざまず)く。


「ミレイアお嬢様。そちらの御方は?」


そう言われ、龍馬はフードを取り顔を見せる。


「彼は私を助けてくれた御方です。早くお父様たちに知らせてきなさい」

「はっ!」


騎士はすぐに門を開けて館の方に走って行き、もう1人の騎士と共に館の中へ入った。


館に入るとメイドや騎士が慌ててきて、ミレイアを見ると泣いた者や喜んだ者が多かった。相当心配していたのだろう。


「ミレイアお嬢様!よくお戻りになりました!」

「ええ、心配掛けてすみません。着替えたいのだけど、今からできる?」


「承知しました!こちらへ」

「彼を応接室に案内して!私の命の恩人なので」


そう言って、メイド達と共に行ってしまったミレイア。


「すみません。では、こちらへ」


1人の騎士が龍馬に話しかけ、部屋に案内する。龍馬はその騎士について行った。


(わたくし)、ミレイアお嬢様の護衛をしている騎士のワーカー。【ワーカー・シェルド】と申します」


騎士は、歩きながら自己紹介をしたので、龍馬も自己紹介をしはじめた。


「龍馬と申します。桜璻(おうすい)の国の者でして」

「なるほど。だから刀なのですね」


龍馬は桜璻(おうすい)という国の出身では無いが、聞かれた時に答えられるように用意している台本だ。

他愛もない会話をして、部屋に着く。


「奥の席におすわりください。すぐに参りますので」

「わかりました」


そう言って、ワーカーは立ち去ってしまった。龍馬は、部屋を軽く見て奥の椅子に座った。


少し待つと、ミレイアが部屋に来た。服は綺麗なドレス姿になっていた。髪も整えており、様になっていた。


「お待たせしました。リョーマ様」

「いえ」


ミレイアの後ろから男性が入ってきた。年齢は40前半ぐらいで、綺麗な灰色の髪。少しやつれており目にはクマが出来ていた。


男性は龍馬を見た後、一瞬目を見開き、すぐ元に戻し向かい側の椅子に座った。

ミレイアはその隣に座り、数人の騎士とさっき案内してくれたワーカーさんも居た。


「まず、自己紹介から。私はアレット。【アレット・システィー】だ」

「龍馬です」


龍馬は、短く自己紹介を済ませた。


「娘を助けていただき、ありがとう!娘から話は聞いております。追っ手から助けていただき、そして送ってくれたこと。感謝しきれない!…ありがとう!」


そう言って、礼をするアレット。ミレイアも一緒に礼をする。


「頭をあげてください、アレット様。私は当然のことをしたまでです」


頭を上げ、改まって話をする。


「本当に感謝しきれない。お礼をしたい!」

「いえ!結構です」

「し、しかし…」


「一つだけ、約束を守ってくれれば、それだけで十分です」

「約束?」


アレットは龍馬の顔を見たあと、真剣な話だと察し、騎士をさがらせる。


「ワーカー。騎士たちは席を外してくれ」

「しかし」

「大丈夫だ」


騎士たちは部屋から出て行き、部屋には3人だけ残った。

そして、アレットは先程までの態度を変え龍馬に話しかける。


「御無礼な態度、誠に申し訳ありません」


父親の急な変わりにミレイアは驚いていた。


「いえ!気にしないでください!私は気にしないので!」


状況が出来ないミレイアは、2人の顔を交互に何度も見て、アレットに話しかける。


「お父様?これはいったい…」


アレットは、ミレイアの質問に答えようとしたが、僕の方を一瞥(いちべつ)し言葉に困っているようだった。

僕が頷くと、アレットはミレイアを見て話し始める。


「リョーマ様はエデナル様の騎士だ」


それを聞いて、ミレイアは驚いた。今までの行動や言動から、不思議な人物だと思っていたが、公爵家の騎士をしていたとは思いもよらなかったからだ。


「まあ、あまり知られたくないんですけどね」

「え、えっ、えぇぇぇーー!?!?!?」


ミレイアは、あまりのことに驚きを隠せず叫んでしまった。慌てて口を閉じドアの方を見たが、騎士が入ってくることは無かった。


「改めて、自己紹介しようと思います。イフスター家の騎士・龍馬です。【クラウス・リフェルト】と言った方がわかると思いますが」


アレットは少しビックリした表情をし、ミレイアはさらに驚き、声も出ないようだった。


「リョーマ様が、エデナル様の右腕……クラウス様…」


ミレイアはあまりにも進展が早いため、頭の整理が追いついていなかった。

そんなミレイアを放置し、アレットは龍馬に話しかける。


「よろしかったのですか?」


アレットが聞いていることは、教えてもよかったのか、ということだ。


「大丈夫です。エデナル様からは許可を頂いています。それに、システィー家はイフスター家にとっても大事な寄子なので、信頼できるからこそです」


それを聞いたアレットは、ミレイアの方を見た。少しずつ整理出来たのか、平常心に戻りつつあった。


「アレットさん。今回のミレイアさんの襲撃についてですが、イフスター家はその襲撃団を撃退する方針にことを勧めております。私は、その襲撃団を撃退するよう依頼を受けて来ています。なので、情報があれば教えていただけないでしょうか?」


龍馬は、アレットに本題を話し始めるのだった。



だいぶ遅くなってすみませんでした。

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