朝からハプニング
酒場で情報を集めた龍馬は、夜に賑わう店通りを通りながらまっすぐ宿に戻った。
部屋に戻る前に、廊下の休憩スペースにより、貰った手紙を読み始める。
しばらくして、手紙を読み終わった龍馬は手紙を閉じポケットにしまった。
「問題は、いつ話すかだな」
龍馬は部屋に戻り、ドア横の壁に背中を当て座る。右膝を曲げ、右肘をかけ眠りにつくのだった。
朝。空は少し曇りだが雨は降っていない。1番いい天候だった。
ゆっくり目を覚まし、少しずつ体をほぐす龍馬。
「うーーん!!!……はぁ……少し、寝すぎたかな?」
窓から外を見れば、みな忙しそうに働いており、陽は少し高い位置に上がっていた。
「寝過ごしてないから、大丈夫かな?」
龍馬が外を眺めていると、ベットの方から布の擦れる音がなった。
「ん〜……眩しぃ……もう、朝?」
布団で全身を隠しているミレイア。窓から差し込んだ陽の光でゆっくり起きる。
起き上がったミレイアを見てすぐに龍馬は窓の方に視線を逸らした。
「おはようございます。ミレイアさん」
ミレイアは眠そうな顔で起き上がった。ミレイアの格好は寝た時の服装ではなく、下着姿だった。髪は昨日とは違い、あちこちに寝癖があり髪の毛が跳ねていた。
「……ふあぁ〜…」
ミレイアは寝ぼけているのか、大きな欠伸をして起き上がった状態でウトウトしていた。
「ミレイアさん。昼前には出るので、起きてください。あと……服を着てください… 」
顔を逸らしたまま、ミレイアに話しかける。
「…ふぇ?……んっ!?」
ミレイアは、自分の身体を見て、顔を赤くした。ミレイアは慌てて布団で身体を隠し自分の服を探した。中々見つからないのか、戸惑っているようだった。
しばらく待つと、布の擦れる音がして、小さい声で「よし!」と聞こえた。
「もう、振り向いても…大丈夫ですよ?」
ミレイアがそう言ったので、龍馬は振り返る。ミレイアは、モジモジしながらよそを向いていた。顔はまだ赤く、耳まで赤くなっていた。
「……」
「……」
お互いに気まずく先手を打てなかった。しばらく、沈黙が流れたがそれを切り裂いたのは龍馬だった。
「朝食を、取りましょうか」
「そ、そうですね…はい…」
そのまま、気まずい雰囲気の中食堂に向かい特に何も話さず食事を済ませ、部屋に戻った。
「2時間後に馬車が出発するので、1時間前に出ましょう。荷物はまとめておいてくださいね?」
「はい。わかりました」
龍馬は、ほとんど荷物がないのですぐに準備が出来た。ミレイアは朔夜から貰った物が少しあるので、荷物はあった。しかし、そこまでないのですぐに終わるだろう。
「今朝は、すみませんでした」
龍馬は、準備をしているミレイアに話しかける。ミレイアは、準備の手を止め龍馬の方を向き話しかける。
「リョーマ様は悪くありません。私は、寝相が悪いので……すみません」
お互い、申し訳ない雰囲気で暗い状態のまま宿舎を出てシスティー領に向かう馬車乗り場に向かうのだった。