旅
投稿が遅れてしまい、申し訳ありませんでした!
門をくぐり抜け、異世界に来た龍馬。ミレイアをお姫様抱っこをしたまま、森の中を掛ける。
「できるだけ抑えますが、噛まないように注意してください」
ミレイアを抱えたまま、森の中を駆けていく龍馬。途中、魔物に遭遇することもなく少し進んだ後。道に出た。
龍馬は、ミレイアを降ろし周りを確認する。幸い、誰もおらずミレイアと龍馬の二人だけだった。
「あの、今どの辺に居るんでしょうか?」
「あ、すみません。イフスター領地の中央付近です。まずは、中央の街・ヒメナに向かって、システィー領に向かう馬車があればそれに乗っていきます。無い場合は一泊してからですね。システィー領までは遠いので」
ミレイアは、家に帰れることよりも。龍馬の事や光の門の事が気になり始めた。
最初こそは、色々あって気にすることもなかったが。落ち着いてきて、龍馬は普通の人ではないと思い始める。
(彼は、何者なのだろう?)
そんなことを思って居ると声をかけられる。
「それでは、行きましょうか。見た感じ、馬車なども通ってないので、歩くことになりますが。……ミレイアさん?」
龍馬が声をかけるが、反応しないミレイア。
「ミレイアさん!」
「え?あ、はい。なんでしょうか?」
「いえ、そろそろ移動します」
「はい。わかりました」
先頭を龍馬が歩き、その後ろにミレイアがついて行く。1時間程歩くと、街が見えてきた。街は高い壁に囲まれており、遠くから見てもわかる綺麗な街並みだった。
「行きましょう」
龍馬が先に歩きだし、慌てて追いかけるミレイア。そして、街の入口に到着する。
街の入口には、兵士がおり街に来た目的と税をもらい、通している。
しばらく待つと、龍馬たちの番が来て呼ばれる。
「次の方、どうぞ」
呼ばれた龍馬たちは、奥に進んでいく。簡易的な受付に来るとそこには黒肌で少しゴツイ男が座っていた。
「これで通りたい」
そういうと龍馬は、ポケットから金の板を取り出し。兵士に見せる。
兵士は、金の板を受け取り見ると。驚いた顔をして控えの方に入っていく。
しばらく待つと、さっきの男の人と身なりのいい男の人が現れた。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません。こちらにどうぞ」
身なりのいい男に奥の方に進められ、街の中に入った。
街の中は、人がたくさん行き交い。街は賑わい、発展していた。
「それでは、私はこれで。ゆっくり楽しんでください。では」
身なりのいい男は、龍馬が先程渡した金の板を返すと中に戻って行った。
「では、行きましょう」
「はい」
龍馬は、迷いなく中央の方に歩き始める。そして、中央付近にある1つの店に入る。
「いらっしゃいませ!」
店に入ると、女性の店員が受付に立っていた。
龍馬が受付嬢と話すと奥に進んでいき、ある部屋に入る。
入った部屋は机と椅子があり、カウンター風になっていた。
「あの、リョーマ様。ここは?」
「ここはイフスター家が管理している店で、主に街への馬車で荷物や人を送る場所です。少し高い分、安全性は上がります。なので、こちらの馬車に乗ってシスティー領に向かいます」
龍馬がミレイアに説明すると、カウンターの奥から人が入ってきた。
「お久しぶりです。リョーマ様」
入ってきた人は、受付に立っていた女性よりも若くミレイアと同じぐらいの少女だった。
きつね色の黄色い髪で紫の眼。ポニーテールで綺麗な人だ。
「久しぶりです、リンさん。相変わらず綺麗ですね」
「リョーマ様にそう言われると、嬉しい限りです。そちらの方は?」
ミレイアは、慌てて自己紹介をする。
「あ、初めまして。ミレイア・システィーと申します」
ミレイアは、綺麗に礼をする。
「初めまして。私は【リン】と申します。この店の責任者です」
ミレイアは、リンの話を聞いてビックリした。自分と同い歳、もしくは年下なのに。店の責任者を務めている目の前の少女がすごいと思った。
リンがイスに座ると、リョーマも座る。ミレイアもリョーマの隣にあったイスに座る。
「それで、リョーマ様。今回はどのような依頼でしょうか?」
先程までの雰囲気が無くなり、しっかりとした雰囲気に変わる。
「システィー領に向かいたくて。そっち方面に向かう馬車に乗りたい」
「システィー領方向に向かう馬車は、今日はもう満員です。なので、乗るには明日になります。明日の分は、どの時間も空いていますが、要望はありますか?」
「昼にお願いしたい」
「分かりました。リョーマ様がよろしければ、システィー領に向かう馬車を用意致しますが?」
「いや、大丈夫。すぐ近くに村があるから、そこまで行ければ充分だよ。ありがとう」
「分かりました」
テキパキと話しが進み、置いていかれるミレイア。ミレイアは、本当に頼りきってばかりで申し訳ない気持ちが湧いていた。
「あと、手紙を書きたいんだけど」
「わかりました……どうぞ」
「ありがとう」
リンは机の引き出しから紙を取りだしリョーマに渡す。リョーマは紙を受け取り左側にズレて手紙を書き始める。
「では、私は発行書を作成してくるので、しばらく待っていてください」
リンは、入ってきた扉から出ていった。
しばらく待つと、リンが戻って来た。同じタイミングで龍馬も手紙を書き終わり、封に手紙を入れて、最初に座った席に座る。
「こちらが、チケットです」
リンが1枚の紙を渡し、龍馬が受け取る。
「ありがとう。これをお願い。送り先は書いてあるから」
龍馬もリンに手紙を渡す。
「お預かりします。今夜、お泊まりになる宿はもう決めていますか?」
「まだ決めてない。お願いできるかい?」
「分かりました。こちらが紹介状です」
龍馬は、リンから封を受け取り、最初に渡された紙と一緒に鞄の中にしまう。
「ありがとう。これ、馬車の代金。それじゃ、そろそろ行くよ」
「ありがとうございます。またいらしてください!」
「あぁ。じゃあ」
龍馬は、部屋を出ていく。
「失礼しました」
ミレイアも、リンに挨拶をして部屋を出る。
部屋に残ったリンは、独り言を言い始める。
「リョーマ様、やっぱりカッコイイ!やる気出てきたわ!頑張るわよ!」
気合いを入れて、仕事に戻るリンであった。
店を後にした龍馬とミレイアは、リンが渡した封に書いてある宿に来ていた。
リンの紹介状のおかげで良い部屋に入れたが、1つしか空いていなかった。
そして、使用できる部屋に入り一息いれるミレイアと龍馬。
「すみません。1部屋しか取れなくて」
「いえ、ここまでして頂いてありがとうございます。私はなにもしてないので、すみません」
ミレイアは、ずっと世話になっていて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「リョーマ様には、感謝しきれないほど感謝しています。この恩は必ず返します!」
ミレイアは改めて、龍馬に感謝の気持ちを伝える。
「いえいえ。私はただ、見過ごせなかっただけですので」
龍馬は、荷物を整理していた。ミレイアは、龍馬に、ずっと気になっていたことを聞いた。
「リョーマ様。あなたは一体、何者なんですか?」