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異世界門と2つの世界  作者: 夜月 蒼真
1/8

月明かりの下の誓い



薄暗い夕方の二車線道路。雨で路面が滑りやすく、霧で視界が悪い。そんな中、1部だけ明るい場所があった。大型貨物自動車と普通車がぶつかりエンジンから火が上がってる。

普通車の後ろのドアから男の子を抱えた女性が出てくる。女性は頭と右足から血が出血して、右足を引きずっていた。女性に抱き抱えられてる男の子は頭から血を流しずっと泣いている。


「お母さん…… 痛いよ。ヒッ、ッ!」

「大丈夫。すぐ治すから」


女性は車から離れながら男の子の頭に手を触れる。すると、触れた手の位置が黄緑に光った。そして、男の子の頭の傷が治っていく。

女性は男の子の頭から流れた血を拭き、男の子に微笑む。自分の身体の痛みを堪えて。


「ふふっ、もう大丈夫よ」


女性がそう言った瞬間だった


ドカーン!!


車が爆発し、風圧でバランスを崩し、男の子を庇うように倒れた。


「お母さん!」

「大丈夫。お母さんは大丈夫だから」


男の子に心配にさせないよう、痛みを堪えながら微笑む女性。

そこへ、一台の車が来た。運転手の男はすぐにおり、女性と男の子の方に駆けつける。助手席に乗ってた女は警察と救急車に電話をしていた。


「大丈夫ですか!? 今、救急車を呼んでます! 耐えてください!」


男は上着を脱ぎ破いて血が出ているところを抑えたり、怪我してる上の部分を布で結んで止血していく。


「痛みますが我慢してくださいね!」


男の動きは手馴れた動きですぐに作業が終わる。


「わかりますか? 言葉分かりますか!?」

「大丈夫…… です」

「お母さん! お母さん!!」


男の子はずっと母親を泣きながら呼ぶのだった。


場所が変わり、病院。

白い床、白い壁。白い部屋の中央でベッドの上で人が横になってる。その人には白い布が被せてあった。


「お母さん…」


「こんな幼い子を残して逝くなんて」

「相手の運転手が運転中にクモ膜下出血で亡くなってたらしい。それが当たるなんて」

「でも、子どもは無傷だ。母親が庇ったおかけでな」


病室の入口付近で3人の中年男女が話していた。

ガラガラ


「すまん。通してくれ」


病室に黒い和服を来た老人が入ってきた。白みがかった髪で歩く姿はとても老人とは思えない人だった。


「すみませんが、退出をしてもらえませんかな?」


老人は少し睨んだ顔で、病室入口付近に居た3人を見る。


「わ、わかりました」


3人の中年男女は少し怯えて病室を出ていった。そして、老人は男の子の傍に寄る。


「おじいちゃん。お母さんはいつ起きるの?」


老人が近づいたあと、男の子は老人に聞いた。


「龍馬。スズ…… お母さんと手を繋ごう」


母親の左手に男の子が手を繋ぎ、その上から老人が手を繋げる


「お母さんは遠くに行くんだよ。でも、大丈夫。少しの間お別れするだけじゃ。お母さんはいつでも龍馬を見守ってるからのう。だから、お別れの握手じゃ」

「うん……」


そのあと、どのくらい時間が経ったのかは分からないくらい手を繋いでいた。




それから数年後。

窓から差し込む太陽の光。スズメの鳴き声が静かに聞こえる。広い部屋のベッドで寝ている少年が目を覚まし、体を起こす。


「また…… あの夢か。もう見たくないな」


そう呟いたあと、窓の外を見る。


「少し寝すぎたな。支度して挨拶しないと」


ベッドから降りて着替え支度を始める。龍馬は黒をメインとしたコート型の服を着る。所々に赤色があり、似合っていた。


「本当に、世話になりっぱなしだな」


そう呟いて部屋を出ると、1人のメイドが立って待っていた。


「おはようございます、リョーマ様。朝食の方は如何なさいますか?」

「時間も時間だし、朝食は要らない。エデナル様はどこに居るかわかりますか?」

「かしこまりました。エデナル様は書斎に居られます」

「わかった。ありがとう」

「失礼します」


メイドは立ち去り、龍馬はメイドと逆の方に歩き出すのだった。


しばらく歩き、ある部屋の前に着く。

コンコンコン


『入りたまえ』


扉の向こうから返事があったので扉を開けて、中に入る。


「失礼します」

「ん? おお~ リョーマか! どうした?」


上の方から下を覗き込んで話してる人は【エデナル・イフスター】。フェネイス王国8大公爵の1人。フェネイス王国の東領地収めてる領主貴族。東側の領民からは人気が高い。


「おっとぉ」


エデナルは持っていた厚手の本を1冊落としてしまう。だが、下にいた龍馬が落とさずキャッチする。


「大事なものを落とさないでください。エデナル様」

「いや~ すまないな」


笑いながら、数冊の本を持ち階段を降りてくるエデナル。持っていた本を机に置き、椅子に座って一息つく。そして、キャッチした本を机の上に積み上げられた本の上に置く。


「それで、どうしたんだ? わざわざ書斎まで来るとは。別に昼食の時にでも良かったぞ」

「いえ、今日戻るのでその報告に来ました。昼食の場だと他の人にも聞かれてしまうので」

「なるほど。確かに聞かれる訳にはいかんな」


エデナルは少し座る体勢を変えて、窓の外の方を見る。


「いつ行くのだ?」

「夕方頃に行こうと思います。その時間帯なら森にいる人は少ないと思うので」

「そうか…… 寂しくなるな」

「お世話になりっぱなしで、恩返し出来た気がしません」

「そんなことはない。キミが来てからは楽しくなったし、魔物討伐や賊退治の時は助かったさ。十分だよ」

「そうですか。それは良かったです」


龍馬は少し安心した後、机の上に山積みにされた本が気になった。


「そういえば、この本はなんですか?」

「それは各貴族たちが討伐した迷宮の情報だ。また新しく迷宮が出現してな。念には念だ」

「エデナル様らしいですね」


【迷宮】または【ダンジョン】と呼ばれるそれは、人が居ない森の中や廃墟、洞窟などに突然現れる。中は迷路のようになっておりモンスターがたくさん湧き出る。迷宮は1番奥の部屋に居るボスモンスターを討伐しなければ枯れることは無い。更に、放置すればモンスターを放つものになるため領主貴族にとっては厄介なものでしかない。


「僕も同行したかったですが、今回は無理そうですね。残念です」

「はっはっはっ! 仕方ないな! だが、次に来た時に迷宮が誕生したら討伐しに行こうではないか!」

「ええ、その時は喜んで参加させてもらいます」


2人で話していると後ろのドアからノックが聞こえた。


『エデナル様。お客様がお見えです』

「時間通りだな、通せ」


ドアが開き、エデナルさんと同じくらいの年齢の人が入ってきた。入ってきた人は、龍馬を見て口を開く。


「取り込み中でしたかな?」

「いえ、先程終わったところです。エデナル様、 私はこれで失礼します」


エデナルが頷いたあと、龍馬は入ってきた男とすれ違い書斎を出ていった。夕方になり、荷物を持って公爵屋敷を出て、裏にある山の奥へと向かった。




夜に差し掛かった夕暮れ時。ある家の一室に5人が集まっていた。年齢性別はバラバラで少し異様だった。


「そろそろじゃな。では、移動しましょう」


老人がそう言って全員で部屋を出て、中庭へ出る。中庭の中央に下に向いた門があった。木などが植えてあり、物陰で普通に見たらわからない場所。そこから少し離れたところに木製の椅子と机があり、さっきの5人が座っていた。


「ん?…… 来たのう」

「これは…… 1ヶ月でここまで霊力が精練されるとは、すごいですね」


老人の言葉に反応したのは、50代ぐらいの男だ。


「これで魔力もしっかりと使いこなせば、歴代最強になるかものう。末恐ろしいわい」


そして、ゆっくりと庭にある門が開き。刀を持った少年が現れるのであった。




1年後

夜。誰も居ない森の中、刀を持った少年が居た。

黒髪で、目立たない黒をメインとした服。そして、顔には黒の狐面をして異様な姿だった。

少年は木の枝に立ち、辺りを見渡す。


「よし、異常無し。あっちも順調かな?」


周りに異常ないことを確認して、人ではありえない速度で移動していく。


(次で確認は最後か。今日は満月だから綺麗だろうな)


そんなことを思いながら少年は最後の確認地点に向かう。

少しずつ、水の音が聞こえる。少年が向かう先にあるのは滝。

少年がそこに辿り着いた。そこは、少し開けており、広い場所だ。

人によっては、秘境と言いそうな場所である。


「雲が掛かったか。晴れるまで待とう。そのうち、彼女も来るだろうし」


少年は、滝が正面から見える少し離れた岩の上に座った。

雲は先程よりも濃くなり、月明かりがより見えなくなり、辺りが暗くなった。


「今夜は無理そうだな。合流して戻ろう」


岩から降りて、滝に背を向けた時だった。後ろから光がした。


(月の光? 違う、雲がかかって見えない)


急いで思考して少年は振り向いた。そこには、光の円があった。

少年が警戒して、刀に手をかけた瞬間。光の円から少女が飛びだりてきた。年齢は15歳ぐらいで杖を持っており、服はボロボロで汚れも付いていた。

少女は走って森の中に行ってしまった。その後、光の円から狼が現れた。

ただ、普通の狼と違い大きく黒く目が赤い。それが、光の円から10匹出てきて

リーダー格の狼が少し辺りの臭いを嗅いだあと、少女が行った方に走っていった。他の狼も少女の方へ走っていった。


(あの女の子を追いかけてるのか? なら急ごう)


少年は少女と黒の狼が行った方に向かった。

それは、常人なら目で追うことすら難しい速さだった。


少年が光の円から離れたあと、光の円から人が出てきていた。




ー少女視点ー

森の奥。少女が走った先は崖の壁だった。他に逃げようと振り向いたが、少女は絶望した。振り向いた視界には、黒い狼に囲まれていた。


「――――――」


少女は、杖を出して何かを言ったが何も起きなかった。

黒い狼が少しずつ近寄っていく


「[待て!]」


誰かの声が聞こえた。黒い狼の後ろ。暗い森の中から1人の男が出てきた。ローブで顔が見えない。


「[もう一度聞こう。大人しく言うことを聞けば、殺しはしないぞ]」


男は、どこの国の言葉でもない言葉を喋った。そして、少女も同じ言葉を喋った。


「[何度も言わせないで! 私はあなたなんかの言うことなんて聞かない!]」

「[そうか、残念だよ]」


男が左手を上げた瞬間。黒い狼が少女に走っていった。飛びかかり、少女に噛み付こうとした。

少女は、目を閉じた。

しかし、襲いかかった狼の攻撃が来なかった。

ゆっくりと目を開けると。

刀を持ったお面を付けた人が立っていたのだった。




ー主人公、出水視点ー

走って、少女を追った。少女から見て右側の森の木の枝に、立ち膝をして見ていた。


(すぐに離れたから見てなかったけど、他にも居たのか。見た感じ、召喚師か)


すると、男は少女と話してる。


(やっぱり、向こうの言語。でも、遠くてあまり聞こえない)


もっと集中して聞こうとしたら男が左手を上げた。すると、狼が少女に目掛けて走った


(まずい!)


少年は急いで少女と狼の間に入り刀を抜いて狼を斬った。


「[誰だ! お前は!]」


術者の男が喋ったが無視をした。


「[君は必ず守る]」


俺は、少女にそう言った。少女が喋るその言葉で。


「[え?]」

「[行け!]」


狼が一気に3匹襲ってきた。

正面から来た狼を左から上段に斬りその遠心力で左から来てた狼を回し蹴りで上に吹き飛ばし、回した刀で右から来た狼を斬った。気づいたら男は居なくなっていた。

狼を無視して男を追いかけることはできるが少女を置いて行く訳には行かない。


「加勢しましょうか?」


上の方から声が聞こえた。崖の上に忍者の格好をした女の子が居た。


梨紗(りさ)か。こっちは大丈夫だ! それよりも滝の方に向かえ! こいつらの術者だ。頼むぞ!」

「了解」


梨紗は立ち上がり、崖から飛び降りた。崖は約7メートル近くある。普通の人なら骨折する高さだ。しかし、彼女は崖の壁を途中蹴り落下の勢いを殺し一回転して着地した。そして、彼女は術者が逃げた方向。滝の方に向かい森の暗闇に消えていくのであった。



ー召喚術士視点ー

暗い森の中。黒狼に跨り来た方向に戻る男。


(ちっ、仕留められなかった。何者なんだ奴は?…… まあいい。殺せなくとも、我々の前に現れなければいいのだ。……まさか、噂が本当とはな。噂通りなら、あの門は閉まる。その前に戻らねば)


そう思っていると、水の音が聞こえた。


「もうすぐか」


森を抜けると、さっき見た滝があり光の門があった。


「まだ消えてないな。これで戻れる」


黒狼から降り、光の門に近づいたその時。後ろにいた黒狼が唸り声をあげた。後ろを振り向くとそこには、小柄な人が居た。髪の毛の長さと、見た目から女だろう。そして、その少女は白い仮面をしていた。仮面は顔上半分しか隠していないが布で顔の下も隠していた。


(さっきの奴の仲間か。厄介だな。逃げるために強い個体を召喚したから、残り魔力も少ない)


男は、思考を急いで回転させていた。


(少しだけ気を背ければ、逃げられる)


男は少女の方に左腕を伸ばした。それが合図で黒狼は少女に向かい突っ込んだ。

黒狼が少女に飛びかかり、視界が遮られた。


(今だ!)


そう思い、男は門をくぐろうとした。


「!!」


しかし、男は門をくぐれなかった。脚に強烈な痛みが走り脚を見た。足に両刃のナイフが刺さっていた。

少女の方を見れば、黒狼は首が撥ねられ魔力となり霧散した。


(一瞬で首を撥ね、ナイフを投げたのか)


男は、相手を過小評価していたことに後悔していた。

今までも、こういう経験はあるが、この方法で逃げきれていた事もあった。

しかしそれは、相手が自分と同等レベルの時だけ通用することだった。


(足がまともに動かない。薬を塗っていたのか)


少しずつ、少女が近づいてくる。


「みっともないですよ。いつまで手こずっているのですか?」


門からローブを着た男が現れた。



ー少女、梨紗視点ー

(もうすぐ滝に着く)


木の枝を足場に、跳んで移動する少女。


(間に合った)


森を抜けると、門の前に男が居た。門に近づいて行く。

男と黒狼が1匹。他に人影は無かった。


(黒狼は強くないけど、沢山出されると厄介かな? 術者にも逃げられるかもだし、一瞬で決めないとかな)


少し考えて、左手を後ろにまわし腰からクナイ抜いた瞬間、黒狼が後ろを振り向き警戒体制に入った。黒狼が警戒体制に入ったことで、男も振り向き警戒する。


(しまった! バレた。でも、追加を出さない。魔力がもう少ないのかな?)


男が左腕を自分の方に向けて伸ばした。すると、黒狼が突撃をしてきた。


(追加は無し、陽動か)


少女は向かってくる黒狼に向かって突っ込んだ。腰にある短刀を右手で抜いて黒狼に向けて投げた。投げた短刀は飛びかかってきた黒狼の首に刺さった。そのまま少女は黒狼の攻撃を避けながら短刀を回収。回収する際に傷が広がるように回収。それと同時にクナイを男に向けて投擲。黒狼の首は撥ねられ胴体は倒れ、クナイは男の足に刺さった。

首が撥ねられた黒狼は魔力となり霧散した。


(あとは、アイツを捕らえるだけ)


短刀を右手に持ち、警戒しつつ近ずいて行く。


(薬を塗ってあるから、身体はほとんど動かないはず。早く拘束して連れていかないと)


念で警戒しつつ術士に近づいて行く。

すると、光の門が更に輝き光の門からもう1人出てきた。召喚術士の男と同じコートを着ていてフードを深く被っている。身長は召喚術士より高く痩せ型。そして、手には男の腰の高さまである杖があった。


「[遅いですよ。いつまで手こずっているのですか?]」


光の門から現れた男は、仲間は見てからすぐ周防を見た。


(もう一人。しかも、魔術士。分が悪い。最低でも時間稼ぎをしないと)


周防は、光の門から出てきた男を警戒し、戦闘態勢に入った。

すると、魔術士の前方から一気に凍り、周りに侵食していった。

周防は軽く跳び氷の侵食を避けた。横を見ると周りが全部が凍っていき、白銀の世界にとなった。滝の一部も凍っており、川から跳ねた魚が凍っていた。


(!!最上級魔法を使うなんて! 分が悪過ぎる)


男が使った魔法を見て、梨紗は警戒度を最上級に引き上げた。


「[ーーーーーーー(小さい声)]」


すると、男の周りから氷柱が大量に宙に現れ、尖った先が全部周防に向いていた。


(中級魔法・アイススピア)


氷柱が周防目掛けて飛んでくる。一定の数が一方向から飛んできたので周防は右に避けた。しかし、避けた場所にまた【アイススピア】が飛んできた。


(最初の攻撃は陽動。やっぱコイツ手練だ)


周防はすぐに左の方へ低い抛物線上に飛んで【アイススピア】を躱した回避時に一回転しながら跳び、その途中で手裏剣を3つ投げたが、氷柱を動かし防御された。着地した瞬間、すぐ【アイススピア】が飛んできたので円を描くように左の方へ走った。

氷柱は、周防を追いかける形で攻撃してきた。周防は、バックジャンプして二回転して着地。追加の氷柱がくる前に魔術士に接近していく。男はすぐに何かを詠唱しはじめた。


「[ーーーーーーー(小さい声)]」


男の左側に大きな魔法陣が現れた。男が左腕を大振りで殴るように振ると、魔法陣から巨大な氷の腕が現れ攻撃してきた。

それを避け、足場にして上に高くジャンプした。その高さは人が飛べる高さをゆうに超えている。さっきまで周防が居た場所は、腕の氷の彫刻があり、【アイススピア】も、その周りに大量に刺さっていた。


(残りの【アイススピア】は少ない。一気に決める!)


周防は、手裏剣を十個投げ、自分に回転をかけ遠心力でスピードを上げて魔術士に向けて落下攻撃。

先に投げた手裏剣を魔術士は、浮遊してた氷柱で防いだ。

そして、魔術士の【アイススピア】の残弾はゼロになった。


「はあぁぁぁ!」


カンッ!


「!!!」


周防の攻撃は、氷の壁に阻まれてた。氷の壁は魔術士と召喚士、光の門を覆うようドーム状になっていた。周防が攻撃した場所は、ヒビが入っているものの壊れはしなかった。


(硬い! ……あまり使いたくないけど)


周防は黒いボールを取り出す。黒いボールは大きさはソフトボール程の大きさで紐が巻き付けられており、見た目よりも重い。


(【焙烙火矢・ほうろくひや】を使うと音がすごいから使いたくなかったけど)


(※【焙烙火矢・ほうろくひや】とは忍者が使っていた武器である。別名【焙烙玉(ほうろくだま)】とも言います。今で言う手榴弾です※)


周防は少しだけ躊躇ったが、すぐに覚悟を決め【焙烙火矢】の導火線に火を付けた。【焙烙火矢】を氷のドームに投げ捨て、ドームから飛び降り離れた。


ド―――ン!!!


大きな音と共に氷のドームが崩れ入れるようになった。周防がすぐにドームの中に入ると、魔術士が光の門をくぐっていた。追いかけようとしたが【アイススピア】が飛んできたのを躱した。

すると、光の門が小さくなっていった。クナイを投げたが光の門が消え、クナイは外れた。

光の門が消えた後、氷の世界が魔力となり霧散していった。完全に霧散し終わったあと、雲で隠れていた月が現れ月光が輝くのであった。




時は少し遡り

ー主人公、出水視点ー

数体の黒狼に囲まれていた出水は、襲ってくる黒狼を切り伏せて少女を護っていた。


(一体一体は、大した強さじゃないけど、数が多いと厄介だな)


黒狼の数は残り5匹。全て出水を標的としており、少女を狙うことは無かった。黒狼は出水を囲んでいた。

出水の後ろに居た黒狼が出水に襲いかかった。後ろから襲った黒狼は音もなく接近。それを見た少女が慌てて声を上げる


「[危ない!]」


出水は、まるで来るのが分かっていたかのように後ろに振り向きながら襲いかかった黒狼を腹から真っ二つにして斬った。

出水が黒狼の囲いから抜けて距離を取ると、膠着状態になった。

しばらく、膠着状態の後、森の奥から人型の黒いものが現れた。

体長は3メートルぐらいで頭は狼、肘から手がデカく、腕には赤い模様があった。


(上級召喚術・【グルード】。面倒なのがお出ましか)


黒人狼が低く構えた瞬間、急接近して左腕を大振りにして出水に殴り掛かる。出水はバックステップで、後ろに回避する。黒人狼の攻撃は出水に当たらず、出水の居た場所に当たる。さっきまで自分がいた場所を見ると人1人分入れるクレーターが出来ていた。


「見た目以上に、初動は最小限で速いな」


独り言のようにつぶやき、攻撃を仕掛けようとした瞬間、4匹の黒狼が襲ってきた。

出水は絶え間ない連携攻撃で防戦一方になった。黒人狼は口を開け、口に魔力を貯め始めた。


「まずいな」


黒狼の攻撃を防ぎつつ、黒人狼の砲撃準備を見ている出水は、しゃがんで立膝になり左手を地面に付けた。4匹の黒狼はチャンスと思い飛び掛ったが、出水に攻撃が届くことは無かった。黒狼は、地面から出た円錐(えんすい)に串刺しになっていたからだ。

出水は立ち上がり、黒人狼を見た。丁度その時、魔力が貯め終わったのか出水に向かって砲撃してきた。回避するには難しくないが、このままだと少女に当たってしまう。

出水は、左腕を黒人狼に伸ばし、手の平を黒人狼に向ける。


「シールド」


出水の伸ばした左腕から黄緑色の壁が現れる。


ドーン!!!


黒人狼の砲撃は、出水のシールドに防がれた。


「グオォォォ!!!」


黒人狼が一気に接近してきたので、俺も接近していく。黒人狼の攻撃を避け、黒人狼の腕を切り落とそうと刀を振り下ろした。


「硬いな」


出水は、一言言ってから黒人狼の周りを高速で移動しながら攻撃して行く。その攻撃速度は早く、黒い何かが動いている、と大まかにしか分からない。

黒人狼は頭・首を守るように腕で守り、体を丸くして防戦一方状態だった。


(思った以上に硬いな。このままだとジリ貧だな)


出水は、黒人狼の真後ろにある木に跳び、木を足場にし黒人狼に接近していく。黒人狼は出水の方に振り向いた。黒人狼は、出水に右腕で殴り掛かる。出水は、空中で体を捻り黒人狼の攻撃をギリギリで避け、黒人狼の正面、右上から左下に刀を振り下ろす。


(前も硬いが、腕ほどじゃない)


出水は、追加攻撃をしようとしたが黒人狼の攻撃で後ろに避ける。出水はまた、高速攻撃を仕掛ける。

黒人狼は地面を叩き、衝撃と風圧、土煙が起きる。

土煙が晴れ黒人狼の方を見ると、砲撃を少女に撃とうとしていた。


「させるか!」


出水が黒人狼に飛びかかると、黒人狼は首を出水の方に向けた。


(陽動か!)


出水は、空中の何も無いとこでジャンプして砲撃を躱し黒人狼の後ろに着地した。黒人狼に背を向けて、しゃがんだ状態だった。

出水が着地した瞬間、黒人狼が出水に接近して攻撃しようとしていた。


「[危ない!]」


少女が出水に向かって叫ぶ。

出水は、地面に左手を付けた。黒人狼の攻撃が当たる瞬間。出水の位置が変わった。出水の居た位置が反対になったのだ。そして、出水はいつの間にか鞘に納めていた刀に手をかけ、黒人狼の首を斬った。

黒人狼の後ろに立ち、刀を振って鞘に納める。黒人狼は首が無くなり倒れた。そして、少しずつ魔力となり霧散していった。

すると、少しずつ明るくなり、空が晴れ月が現れる。月明かりが辺りを照らしていた。

出水は、後ろで結んでた紐を解き、狐面を外して少女の方に振り向いた。


「[もう大丈夫。僕が必ず君を守る]」


その言葉を聞いて、少女は気を失ってしまうのだった。




初投稿で不安で仕方ない蒼真(そうま)です。誤字や脱字があったら優しく教えてください。


不安で不安!(´・_・`)不安

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