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7話 『羽ばたきノ刻 終』

 六条メイ――学校中の憧れで、人に厳しく、だが誰よりも自分に厳しかった、優しく可憐で気高き強さを持つ人。自分たちを守ってくれた人――


 だが今、その人は目の前で無惨な死を与えられた。

 壁中に飛び散った肉片を見ないように、目線を地面へと下げる。


「に、逃げなきゃ……!」


 体の奥から登ってくる酸性の液体を必死で飲み込む。

 サナキは隣で放心状態となっているキミカの手を引っ張った。


「キミカ、早く立って!逃げないと!」


 その呼び掛けにキミカは意識を覚醒させ、こくりと頷き立ち上がった。

 サナキはキミカの手を強く引き、巨大ジーヴァに背を向け走り出す。

 逃げられるかどうかなど分からない。

 ただあのまま呆然と立ち尽くしていれば、確実に死んでいた。

 それだけは確かだった。

 だから走った。どこまでも、どこまでも――オレンジ色のランプが照らす不気味なトンネルを。


「やった……あの怪物、あんまり足が速くないみたい」


 後ろを見ると、巨大ジーヴァはその巨体をあまり動かせておらず、どんどんその姿は遠ざかっていった。

 これならどうにか逃げられるかもしれない。

 そう安堵した瞬間だった――


「痛ッッ⁉︎」


 突然、サナキは何かに頭をぶつけ、尻餅をつく。

 ぶつかった額が痛み、血が滲んだ。

 一体何が起こったのか……目の前を見るが、ぶつかるような物など存在していない。ただ奥へと続く暗闇があるだけだった。



「か、壁だ……!見えない壁がある!」


 取り乱したキミカが金切声をあげ、空気の壁を触る仕草をした。


「壁……?」


「本当なんだよ!本当なんだよサナキちゃん!見えない壁がここにあって、私達を閉じ込めてるんだよッッ‼︎」


 目の前の空間に手を伸ばす。

 すると、何か硬い物が指先に当たった感触があった。

 手を広げ、全体で確かめる。

 間違いなかった。キミカの言うようにここには何かがある。

 見えはしないが、確かに透明な壁が存在していた。


「…………⁉︎」


 突然、強い振動が地面を揺らした。轟音がすぐ後方から響く。

 振り返ると、楕円型の体の下から生える腕を這いずらせ、巨大ジーヴァがゆっくりとこちらへと距離を詰めて来ていた。

 あと数十秒あれば、あの巨体で自分達を踏み潰すだろう。


「何とかしなきゃ……何とかしなきゃ……このままじゃ私もサナキも死んじゃうよ……ッ」


 スクールバックを振り上げ、見えない壁へと叩きつける。

 だが硬い壁にはそんな行為は何の意味も無かった。

 バックに入った化粧品のプラスチックが虚しく音を立てて壊れる音だけが響く。


「ここで死ぬわけにはいかないんだ……私には待ってる人がいるんだから!家に帰らないと、悲しむ人がいるんだから!」


 ジリジリと、ジーヴァは距離を詰めてきていた。

 その距離はもう数メートル程。

 焦る中、サナキは視界の端にジーヴァとは別の何かが動くのを見た。


「あ、あれは……」


 潰され、飛び散ったメイの体に纏われていたスーツ――その破片がまるで生きているかのように動き、ジーヴァの目の前にある紫色のリングへと収束していっていた。

 あれは普通の指輪じゃない。それは明白だった。

 六条メイが変身する時、この指輪が光輝いていたのを思い出す。

 小さい頃よく見た魔法少女のアニメ――主人公の女の子達は化粧箱だったり、杖だったり、様々な物を媒体として変身していた。

 あのスーツ姿へと変身するのに必要なのは、あのリングなのかもしれない。

 だがこれはアニメじゃない。現実だ。

 たかだか小さなリング一つで、あんな近未来的なスーツへと変身出来るはずがない。物理学者で無くとも、そのぐらい質量の違うだろう事は簡単に分かる。

 だが――――

 もし仮に、あのリングがスーツの起動条件だったのだとすれば、あの指輪を奪われてしまえば、自分達はあの怪物に対抗する術を無くしたことになる。


『ぁ……たすけ……』


 死の間際に見た、メイの黒い瞳が頭から焼き付いて離れない。

 絶望、悲壮、ただ負の感情だけしか、あの瞳は映していなかった。


『サナキちゃん……助けて……』


 記憶の中のメイの姿と、これから起こるかもしれないキミカの姿が重なった。


「やらない後悔が……一番怖い事なんだ」


 太ももを叩き、足の震えを無理やり抑える。

 そしてサナキは、リングへと向け走り出した。


「サナキちゃん⁉︎」


 キミカの呼び掛けに応えず、リングのあるジーヴァの方へと駆け出す。

 沈むような低い唸り声、ジーヴァがサナキへ向け突進する。


「きゃあッッ――⁉︎」


 直接当たらなかったものの、凄まじい爆風に吹き飛ばされ、サナキは背中から硬いアスファルトへと体を打ちつけた。


「う……ダメだ、全然近付けない……」


 右足に鈍い痛みが走る。もう歩けそうには無い。

 ダメだった……自分は最後の希望を掴む事が出来なかった――


『お姉ちゃん……助けて……冷たいよ……痛いよ』


 今度はメイの姿が、妹のミコトと重なった。

 だがどうしようもない。もう自分には何もする事など出来ない……。

 そう諦めかけた時だった――


「痛ッ……」


 コツンと何かが額に当たると、地面に落ちた。

 また見えない壁にでも当たったのか、いや違った。


「私、本当に悪運が強いみたい」


 下を見れば、地面に落ちていたのは求めていたリングだった。

 リングは妖しく黒々と輝き、まるで自分に呼び掛けているようだ。


「これで……変身出来るんだよね……」 


 自分の手のひらにある、その小さなリングを見つめる。

 もしこれが、何の効力も無いただの指輪なら、自分達はそこで終わりだ。

 あの怪物によって蟻のように踏み潰される。


「お願い!私に――私に力を貸して!」


 サナキは指輪を右手の中指にはめると、祈るような思いで必死に叫んだ。


 そして――

 サナキの周りを光の粒子が覆い、包んだ。

 ビリビリと電撃音を響かせながらサナキの体に禍々しいフルドレススーツ《FEZER》が装着されていく。

 顔は骸骨を摸した鋼のマスクで覆われていたが、装甲の半分がジーヴァにより捕食されてしまった分、どこかメイに比べると頼りない装甲で、スーツの色はメイの紫色とは違い、薄紅色に輝いていた。


「へ、変身した――」


 スーツを通して、確かな力がサナキに伝わる。

 内部のモニターから通す視界には、敵の魔力波長を示すグラフ。周囲の敵の状況、そして人間の位置が書かれたマップが表示されていた。

 密閉空間にいるはずなのに、普段よりも酸素の濃度が濃く、体が浮くように軽かった。


「同じように言えばいいんだよね」


 手を胸の前に出し、メイの言葉を復唱した。


「エ、エリミネイトソード装備!」


 サナキの魔力に呼応し、 紫色の火花を咲かせ、魔法陣から白い大剣が出現した。


「ほんとに出た!」


 右手に握られた、自分よりも一回りほど大きいその大剣にサナキは思わず声を弾ませる。


「凄い――見た目より随分軽い。綿みたい」


 何度か宙を薙ぎ払う。

 数百キロはあるその大剣は、スーツの魔力によるアシストにより、サナキには一グラム程にしか感じられない程軽く感じられていた。


「次は――」


 メイの姿を思い出す。


「フォースD!展開!」


 胸にあるリジェクターが輝きを放つと、サナキの体から魔素を奪い、無理やり魔力へと変換した。


「うっ……⁉︎」


 体の底から力が根こそぎ生気を奪われる感覚に、思わず地面に足をつく。


 増幅された魔素がFEZERの装甲を突き抜け、背部から半透明の結晶となり露出した。


「六条先輩は……こんな苦痛に耐えて、私達を……」


 どれだけの苦痛に耐え、メイが自分達を助けてくれたのかを、サナキは身に染みて理解した。

 泣きたくなるのを必死に堪え、サナキは目の前にいる巨大ジーヴァを睨んだ。


「化物め……よくも六条先輩を――ッッ‼︎あんなにいい人だったのに!」


 大剣を振り上げ、巨大ジーヴァへと斬りかかる。


「はああぁぁ――――ッッ!」


 渾身の一撃に、ジーヴァの体に亀裂が入った。

 魔力の加減を知らない分、怒りに任せたサナキの攻撃は着実にダメージを与えていた。


「そんなもので、止められると思うなッッ‼︎」


 ジーヴァから伸びてきた無数の腕を、大剣を巧みに駆使し全て薙ぎ払う。

 メイでも追えなかったジーヴァの猛攻を、サナキは初陣にして全て見切り、切り返していた。

 次々と腕が伸びては、灰となって消えていく。


「負けられるかぁ――ッッ‼︎」


 激昂したサナキの乱撃がジーヴァに加えられ、徐々に亀裂が大きくなっていく。


「ここで負けたら、命を賭けてくれた六条先輩に顔向け出来ないんだッッ‼︎」


 サナキは地面を蹴り飛ばすと、魔力で一気に数十メートル跳躍する。



「これで……終っちゃえぇぇ!」


 サナキの意思に呼応し、今まで盾として機能していた黒い翼が剣に纏われ、巨大な剣の像が浮かび上がる。

 凄まじいの魔力の渦が大気を揺らし、轟音と共に衝撃が空間を振動させた。


ダージュ・(D・)デマイズ・(D)デスペラード(・D)‼︎」


 大剣が極光を纏うと、周りのアスファルトを抉り取りながらジーヴァへと放たれた。

 ジーヴァの体から岩を砕くような衝撃音が走った後――


 低い断末魔が響いた。


 ジーヴァから生えていた腕が灰となり消滅すると、バランスを失い、楕円型のジーヴァは地面へと崩れ落ちた。

 その拍子に盛大な土埃が、まるでサナキの勝利を祝福するかのように舞った。


「か……勝った……」


 動かなくなったジーヴァを見て、サナキは安堵からそのまま地面に崩れ落ちた。

 見れば自分の足は微かに痙攣していた。気合だけでようやく立っていられた状態らしい。


「守れた……私は、守れたんだ」


 最大出力の魔法を放った反動で折れた大剣を見ながら、サナキは勝利に微笑んだ。


「サナキちゃん……?終わったの?」


 後方の瓦礫からキミカが身を乗り出す。

 サナキは首を縦に大きく振り、マスクの下で笑った。


「うん!やったよキミカ!私、勝ったんだ!六条先輩の仇を取れた――――」


 サナキは背後から聞こえた音に、喋るのをやめた。

 小鳥の(さえず)りか、親鳥に餌を求め鳴く小鳥の産声が聞こえた気がした。


 バキッと、次は何かが砕け散る音が響いた。


「……⁉︎」


 振り返ると、巨大な爪の付いたトカゲのような腕が、ジーヴァの体を突き破り出現していた。

 パキパキ、とジーヴァの体を突き破り中からもう一本腕が出現する。

 そして――

 完全に突き破ると、中から紅い鱗に覆われた飛竜が出現した。

 その飛竜の背丈は優に10mを超え、背中に四対の翼があり、四本足を使いジーヴァの体から這い出てきた。


 そして知覚する。

 今まで闘っていたのは、卵でしか無かったのだと。

 攻撃を加えた事で殻が崩れ、中身の本体が今、産まれてきたということを――。


「――――――」


 思わず耳を塞ぎたくなるような咆哮が響いた。その咆哮はけたたましく、慄くものだった。

 ジーヴァは二本の巨大な前足で地面を揺らし、サナキを威嚇した。


「産まれたからなんだ……姿が変わったから何だって言うんだ……そうでしょ?」


 そう自分に言い聞かせると、サナキは再び立ち上がった。


「私はまだ戦える!――私の()はまだ折れていないぞ!」


 うちに秘めた戦闘センスがそうさせたのか、折れた刃をサナキは無意識の内に魔力でコーティングし、補強した。


「今度こそ、お前は倒す‼︎」


 突進するサナキに、ジーヴァは巨大な口を開き中から高温の熱線を出現させた。


「――ッッ⁉︎」


 サナキは類稀なセンスでその攻撃を見切ると、身を翻し躱す。

 卵形態の時と同じように、ジーヴァの攻撃は鈍く、サナキにとって動きの読みやすいものだった。


 熱線を躱されたジーヴァは、口を開けたままその場に項垂れる。

 一発光線を放てば、すぐに次の攻撃が来ることは無さそうだった。


「今のうちに……‼︎」


 ジーヴァが次の攻撃へと魔力を溜めている隙に、大剣で攻撃を加える。


「柔らかい――刃が通る」


 卵形態とは違い硬い殻に覆われてなく、産まれたばかりで柔らかい鱗のジーヴァの体は、いともたやすく大剣で切り裂く事が出来た。

 サナキを払い除けようと、魔力を充填し終えたジーヴァの巨大な口から熱線が放たれる。

 それをサナキはすんでのところで身を翻し避けた。


「危っぶな……!ならこっちにだって――」


 一気に片を付けてやる。

 そう決意したサナキは魔力を一気に解放する。


「フォースD!再展開‼︎」


 背部装甲を突き破り出現した魔力の翼が、大剣を纏う。


「これで……終わっちゃえぇえ――ッッ!」


 跳躍し、ジーヴァの頭上へと一気に舞い上がると、サナキはその刃でジーヴァの体を頭から縦に引き裂いた。


 肉と骨が砕け散る音が周囲に響く。

 だが体を逸らしたジーヴァに狙いは逸れ、右半身を切断するという形しか残せていなかった。


「くそ……外した⁉︎」


 激痛に狂乱したジーヴァが、咆哮をあげ熱線をあたり構わず撒き散らし始めた。


「いやああぁぁああッッ‼︎」


 ジーヴァの発した熱線がキミカのいる天井に当たると、アスファルトが溶けキミカの頭上へと落下した。


「キミカ――ッッ‼︎」


 サナキは攻撃の手を止め、キミカの方へと駆け出すと、落ちてきた瓦礫を受け止めた。


「ぐふっ……ッッ⁉︎」


 瓦礫を持ち上げるため両手が塞がったサナキの隙をつき、ジーヴァがサナキの腹部に腕を貫いた。


「大丈夫……キミカ?怪我は無い……?」


 血反吐を吐き、マスクの隙間から鮮血が流れ出る。


「私よりサナキちゃんがッッ!」


「大丈夫だよ、こんぐらい何とも無いよ」


「そんな()流して、大丈夫なわけないよ!馬鹿だよ!サナキちゃんは嘘つくの下手すぎだよ……もうそんな辛いこと、しなくていいよ!」


「だめだよ……私が諦めたら、キミカも死んじゃうもん」


「私は死んだっていいよ……私はグズでのろまで役立たずだもん……サナキちゃんが傷つく方が嫌だよ!」


「ははっ……キミカ、そんなに自分を卑下しないで」


 サナキはマスクの内側で、柔らかな微笑みを浮かべた。


「大丈夫だから。私がキミカもミコトも……みんなを守ってみせるから」


 ジーヴァはサナキの腹部から腕を抜くと、至近距離から光線を放つ。


「フォースD!再展開!」


 装甲を突き破り出現した黒い翼が、ジーヴァの攻撃を防ぐ。

 だが防ぎきれなかった熱線がFEZERを焼き、装甲が音を立て割れていく。


「――ッッ‼︎」


 防ぎきれなかった熱線が、サナキの装甲を焼き切り、皮膚を焼いた。


「サナキちゃん!もうやめてよッッ!」


 ジーヴァは魔力を充填すると、再び超至近距離で熱線を放つ。


「フォース……D……再展開――ッッ‼︎」


 内臓がぐちゃぐちゃに(ただ)れ、もはやサナキが生きているのが不思議なほどだった。

 今までより格段に精度の落ちたそのフォースは、ジーヴァの熱線により容易く砕け散る。


「フォースD……再展開ッッ――!」


「サナキちゃん――ッッ‼︎」


 だがそれでも、サナキは諦めなかった。

 自分の身がたとえ滅びても、友人を守れるなら、この世界を守る事が出来るのなら――それがサナキの願いだった。


 瞬間、胸にあるリジェクターが一際大きな輝きを放つと、FEZERの背部装甲が膨張した魔力により内部から剥がれ落ちた。

 露出した強大な魔力は、そして一つの形を形成していく。


「私の大切な人達を――お前なんかに奪わせてたまるかああぁぁぁぁああああーーーー‼︎」


 不死鳥(フェニックス)の羽ばたき――FEZERの中から現れたその神々しい不死鳥は、まばゆい輝きを放ち飛翔すると、ジーヴァへと突進した。

 強大なな魔力の塊であるその不死鳥は、ぶつかると花火のように綺麗な火花を咲かせ、ジーヴァの体を燃やした。

 体を焼かれ、ジーヴァが咆哮をあげる。

 ジーヴァは自身の魔力を内から放ち対抗するが、それでもその炎は消える事がない。

 憎悪に満ちたその憎しみの炎は、ジーヴァが灰となるまで消える事がなかった。


「――――」


 やがて、ジーヴァは細い断末魔をあげると地面へと倒れた。

 体を維持出来なくなったジーヴァは、灰となり炎と共に完全に消滅した。


「や……やった……」


 キミカは瓦礫の中から這い出ると、サナキの肩を揺らした。


「やったねサナキちゃん!勝ったよ!化物に勝っ……た…………」


 唖然と、キミカはその場で立ち尽くした。


「えっ……サナキちゃん……?」


 少し感性に任せ揺れた後、FEZERはバラバラに砕け、地面へ音を立てて崩れ落ちた。


 キミカの前には、いるはずのものがいない――あるはずのものが無くなっていた。


 視界に映るのは、代わり映えしない景色だけで、サナキの姿はどこにも無かった。


 自身の肉体を介し、サナキは最大威力の魔法を放った。

 その代償に、サナキの体は消滅していた。

 鳥となり、飛び立っていた。


「サナキちゃん……嘘だよね……?ねぇ……」


 キミカはバラバラになったFEZERの装甲を手に取り、それを結合させようとする。

 だがそんな事をしても、失った友人の体が戻るはずもなかった。


「サナキちゃん……サナキちゃん……」


 神でも無い。

 人類を守るなどという大層な使命があった訳でもない。


 誰とも変わらない普通の生活を送っていた、ただそれだけの少女の名前が、虚しくトンネルの中でこだましていた。

1章からのあらすじ


【母に虐待を受けていた過去から、心を塞ぎ込みがちな少女《天月ミコト》

七年前の大震災で両親を失い、二つ年の離れた姉の天月サナキと共に生活を送る中で少しづつ心を取り戻して来ていたが、その姉が両親と同じように事故で無くなった事を知らされ、再び心を塞ぎ込む。

そんな落ち込むミコトの元に《薬師町》という人物が現れ、姉の死はジーヴァと呼ばれる人類の脅威との戦闘によるものだと知らされる。

薬師町は力のあるミコトにも、神としてFEZERを装着し戦うように強いる。ミコトは姉のようにはなりたくないとそれを拒否する。

だが数日後、ミコトの通う学校をジーヴァが襲撃し、次々とクラスメイトが傷ついていく。

絶望の中でミコトは神としてジーヴァと戦う事を余儀なくされた。

そしてミコトは人類の脅威であるジーヴァとの望まない闘いへと身を投じていく事となる】

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