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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
地上防衛戦線
8/59

第8話 真紅の悪魔

・前回までのあらすじ

 ブレイダー隊の亮、玲、ジェフがバレンタインチョコで一喜一憂する一方、ジン率いるシャドー隊は一晩中眠っていなかったせいか部下のアルカディー、ダンが睡魔に負け、作戦会議は先延ばしになってしまった。

 さらに、ハーガンは特殊部隊WOLF(ウルフ)の隊長であるマーク・ランディーを殴り、牢獄から脱出してしまう。

 果たして、ハーガンはどうするつもりなのだろうか。

 ついに脱出に成功してしまったハーガンは、とうとうマークだけでなく、ジェイクも殴ろうと考えていた。


「おい貴様……、俺の機体はどこだ?」


 ハーガンは、ジェイクに対して凶悪な鋭い目つきで睨みつけた。


「えぇ、えっと……」

「どうした? 早く言え……」


 ジェイクはガタガタと身震いしながらハーガンのことを見る。彼は今、パニック状態に陥っていた。


「もうすぐ廃棄処分されます……。残念でしたね」

「何だとッ!? 貴様よくもっ!」


 ハーガンはついに部下の一人であるジェイクに殴りかかるが、それを止める手が入る。


「待てッ!!」


 立ち上がったのは、隊長であるマークであった。

 先ほど殴られたにもかかわらず、かなり平気そうな顔をしている。


「殴るのなら、隊長の俺を殴れッ!」


 彼は怒りに震え、体内の赤い血潮を燃やす。


「ウォォリャァアッ!!」


 ハーガンの攻撃は上手く躱され、彼の腹にマークの怒りの拳が直撃した。


「グアッ!!」


 ハーガンは痛みのあまりに、腹を抱えてもがき苦しんだ。


「ジェイク!」

「はっ、はいッ!?」

「今のうちにハーガン・バルディンを別の牢獄に閉じ込めろ!」


 マークは先程の怒りのあまり、額に血管を浮き上がっていた。


「りょ、了解ッ!」


 ジェイクは、他の部下の一員と共にハーガンをより警備の厳重な牢獄に入れさせた。

   ︙

 結果的に、ハーガンの野望はいとも簡単に潰えた。



 それから数時間後、日本政府軍基地では今なお女性兵士達のチョコレートの受け渡しが行われていた。


「鎧さん! これどうぞ!」


 玲は、結果的に鎧より先にジェフへと渡してしまったので、その次にリック、そして最後に鎧となってしまったのだ。

 だが鎧は、にこやかな表情を見せた。


「随分と粋なことしてくれるじゃないか……」

「が……、鎧さん、どうしたんですか?」


 彼女は、思わず彼にそう問いかけた。


「ありがたく貰っておこう……。ありがとな、玲……」


 鎧は彼女に対し初めて笑顔を見せた。

 それを見た玲は目を輝かせた。


「鎧さん、どういたしまして! これ、自信作なんです!」

「ええっ……! 本当かッ……!?」


 頬を赤くして顔を隠す鎧。


「うん! まぁ、義理ですけどね……。全員共通の」


 玲は照れた表情で彼にそう言った。


「これだけでも嬉しい。ありがとう……」

「えっ!? は、はい! どういたしましてっ!!」


 だが、それを見ていたのはリックであった。


「おっ、玲……。君、もしかして鎧さんのことが……」

「リックゥッ! ちょっとぉッ!!」


 玲は思わずリックにそう言ってしまったが即座に申し訳無さそうな表情を見せた。


「済まない……。気にしないでくれ……」

「いいのよ、私、気にしてないから……、うん」


 彼女は顔を赤く染めつつそう話した。


「じゃあ、また!」

「またね……」


 玲はリックに対し手を振った。


「良かったな、玲……」


 次に現れたのは亮である。


「うん……、何か、上手くいっちゃった!」

「よしよし……、それでこそ俺の妹だ!」


 兄の亮は、妹の頭をそっと優しく撫でた。


「ありがとう!」

「どういたしまして!」


 その時の二人は、ジェフ曰く“いつも以上に爽やかないい笑顔”だったと言う。



 一方、遂にシャドー隊は作戦会議を再開していた。

 全員は、以前とは違い万全なコンディションで会議を行う。


「今回の作戦は、ロンドンの特殊部隊WOLF(ウルフ)の殲滅だ……。それは勿論解っているな?」


 それに対し全員は頷いたことで、ジンはいつもより嬉しそうな表情をした。


「そうか、ならば良しとしよう……。今回は圧倒的物量攻撃作戦だ!」

「圧倒的物量攻撃作戦ッ!?」


 全員は思わず目を見開いた。ジンの突然の発言に。


「ジン大尉ッ、やめてくださいそんなこと! そのような戦い方は軍の経費の負担が……!」


 ルードはあたかも真っ当なことを言う。


「その点は大丈夫だ……」

「えっ!?」

「アルカディー、例のコンピューターを持って来い!」


 ジンは、作戦に使うコンピューターの操作を担当するアルカディーを呼んだ。


「これです………」

「えっ!? これですかッ!?」


 ダンはアルカディーが使うコンピューターが

 あまりにも小型だったことに驚いた。


「アルカディー少尉、これ普通のパソコンじゃないですか…」

「あぁ……、だがこれは、この俺が改造したハイスペックの自分専用パソコンだ…」


 ラルフはこれについて首を傾げる。


「自分専用? 何故、軍の汎用パソコンを使わないんだ」

「これには、ちょっとした仕掛けがあるのでね……。ちょっとお見せしましょう……」


 アルカディーは自分専用のパソコンの画面を全員に見せた。


「なるほど……、画面がとても見やすいじゃないか!! その他にも、さらにホログラフィック・タッチパネル内蔵式とは……」

「それだけではありませんよ」

「何ッ!?」


 何と、自分専用パソコンの能力は他にもあるのだ。


「ですが、今回は割愛させてもらいます」

「そうか……、わかった。では、話を本筋に戻そう」

「了解……、ジン大尉」


 アルカディーは冷静な表情をして応えた。


「今回は、特殊部隊の殲滅を行う!」


 ジンは、待ってましたと言わんばかりに部下の四人に指示を出した。


「そうか! アルカディーのコンピューターは今回の物量攻撃のコントロールに使うのかッ!」

「ルード、その通りだ……!」


 ジンはニヤリと笑みを浮かべてそう言った。


「フフッ……、ラルフ、ルード、ダン、この作戦ではお前たちも必要だ」

「そうでしたか。では、どのように協力を?」


 ラルフはジンにそう問いかけた。


「まず、ルードとダン、そして俺が物量攻撃をする…。次にラルフとアルカディーが砲撃兵器用のシステムをコントロールする…、という感じだが、どうだ?」


 ジンはさらに言葉を返す。


「なるほど…。それならこの私とアルカディー少尉にうってつけですね…」

「確かにそうだな…、ラルフ!」


 アルカディーとラルフはその時、笑みを浮かべながら話していた。


「ダン、よかったな! コンピュータの操作じゃなくて」

「確かにそうだな。 俺が仮にアルカディー少尉のパソコンを操作したとしても、一瞬でバグだらけになってしまうからな……」


 ダンは薄っすらと笑みを浮かべていた。


「とにかく、俺たち3人は大型ビームバズーカを上手く活用して戦闘を行う……。それをコントロールするためにも、アルカディーとラルフ、2人の操作能力が必要だ……」

「はい、ジン大尉……」


 ラルフは、ジンに対して頭を下げた。


「ジン大尉、私にお任せください」


 アルカディーは軽く笑みを浮かべてそう言葉を返した。


「では、頼んだぞ……。必ず生きて…、なお且つウルフの連中を殲滅させて行くぞッ!!」

「了解ッ!」


 こうして彼らは攻撃準備に入った。



 そして、それからさらに十数時間後、シャドー隊の乗り込むガルード1番艦が地球へと迫ろうとしていた。


「亮、猫耳似合う?」


 玲はまたコスプレをしていた。しかし、今回は鎧も巻き込まれていた。


「おい…、何故この俺まで巻き込む…!」


 何と、鎧も彼女のコスプレ祭りに巻き込まれていたのだ。


「だめなの?」

「えっ……!? 駄目なワケないじゃないか! 何しろかわいいし……」


 鎧は意外なことを言う……。


「カッ、カワイイッ!? ありがとう鎧さん……」


 その時、玲はいつになく顔を真っ赤にしてそう言った。


「どういたしまして……」

「玲、よかったな……。鎧さんと打ち解けて!」

「うん!」


 だが、警告は突然入った。


“地球圏宙域にて、火星政府軍の輸送艦接近!”

「ええッ!?」


 三人は声を上げて驚いた────────

 突然の警報に。


「うぇぇ……、鎧さんと仲良くなったばかりなのに……。鎧さん。あれ? いつの間に」

「玲、亮! 速やかに整備ドックに至急行くぞッ!」

「は、はぁい!」


 彼女は思わず、いつも以上に高い声を出した。


「俺たちの出番が来たか!」


 竜崎兄妹も気を引き締めて、戦闘準備に入った。

     ︙

 遂に戦闘態勢は整ったのだ。

 果たして、亮とジンの対決で勝つのはどちらだろうか。

 それは、神のみぞ知る。

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