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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第51話 火星革命軍の陰謀

 12月30日、火星革命軍がソリクト・アレスを拠点に移してから少し経ったが、現時点では両者共に譲らぬ状態。

 いわば一触即発といったところだろうか。

 その裏で、革命軍はマルチガンナー搭載型のサイファルを完成させていた。

 さらにもう一機、秘密裏に新たな機体が特殊部隊用に用意されている。


「アンフォーン。ついに君のために開発した新型機である、デルトリウスが完成した。次の作戦からはこの機体で戦ってくれ」

「了解です。ゼルガ長官」


 今までは改良型ベルバスに搭乗していたアンフォーンだったが、これにより更に敵軍にとって脅威となることは、ゼルガにとって目に見えていた。



 時を同じくして、エルクは艦内の施設で新たな強化改造兵を用意しており、既に20名が睡眠カプセルの中でゆっくりと眠っていた。


「さて……、調整も終わったところで彼らを目覚めさせるとするか」


 エルクは、全てのカプセルを操作する装置を操作し、強化改造兵を目覚めさせる。


「うぅ……、我々の強化改造は終わったのですか?」

「そうだとも。だからカプセルを開けたのだよ」


 エルクはふっと笑う。

 強化改造兵のリーダーとも言うべき人物は、ダグラス・ペイル。

 彼は手術を受けて体内の細胞を強化する前から活躍していたものの、革命軍の存続の危機に応じて自ら強化改造兵となることを懇願していた。


「ダグラスよ……。君には新たなCAESARのリーダーとしてこの19人の部下を率いてもらおう。君たちには地球侵攻作戦を行ってもらう。ターゲットは日本政府軍本部がある新宿だ。他の部隊には、別の国を襲撃するよう既に指示を出している。作戦の内容は君たちに委ねる」

「了解!」


 こうしてCAESARは、秘密裏に動き出す。



 ついに作戦を練ることとなった新体制のCAESARだったが、いかにして日本政府軍を攻撃しようか難航していた。

 案がいくつか出たものの、いずれも決定打に欠けており、悩む一方である。


「ダグラス大佐、いい考えは無いでしょうか……」


 部下の一人であるシュラウスは、上司の表情を覗う。


「うむ……、そうだな。いい事を思いついたぞ! 地球政府軍のサーバーをハッキングすれば良いだろう。以前の敵連合艦隊による作戦の時、我が軍のコンピューターは何者かによってハッキングされた。これをやり返してやればいいだろう」


 ダグラスはニヤリと笑みを浮かべた。


「確かに良い案ですが、どのように行うのです?」

「それに関しては、まず、地球圏を飛んでいる人工衛星のサーバーにアクセスし、コンピューターウイルスを流入させる。そして、混乱している内に我々が地球へと降下して攻撃を開始し、次に、日本政府軍全体が共有するサーバーを我が軍の情報処理班にハッキングしてもらうとしよう。そして、彼らを混乱させている隙に一斉攻撃を行う。そうすれば、日本政府軍を殲滅出来る……」

「なるほど。この考えは確かにやろうと思えば出来ますね……。ただ、下準備が大変です」


 シュラウスは納得していたものの、本当に出来るかどうか悩んでいた。


「安心しろ。これについてはゼルガ長官に話をしておく。長官は俺の事をかなり信頼しているからな」

「とはいえ、もしも折り合いが付かなかった場合はどうするんです?」


 不安な表情をするシュラウス。

 彼は人一倍心配症なこともあり、眉をひそめる。


「その時は、人工衛星の破壊を行えばいい」

「しかし、どうやって……」

「人工衛星の反応する範囲外から長距離弾道ミサイルを発射すればいいだろう。そうすれば我々の動向を見る事が出来なくなるからな」

「なるほど……。そういう事でしたか。それで、作戦はいつ行いますか?」

「ひとまず、三日後に行う……。それまでにしっかりと準備をしておけ」

「了解!」


 こうして、CAESARによる作戦会議は終了した。

 その後、ダグラスはゼルガに情報処理班との提携について承諾を得たという。


 時を同じくして、日本政府軍基地にいるブレイダー隊地上班は、各々の時間を過ごしていた。

 省吾は、横浜に住む両親が無事かどうか不安で仕方がなく、テレビ電話を行っていた。


「父さん、母さん……。省吾だよ」

“おお、省吾。お前が兵士になってから久しぶりに顔を見たが、元気そうだな”

“私も心配だったから、省吾から話してくれるなんて

嬉しいねぇ……”


 両親は嬉しそうな顔をして、息子の姿を画面越しに見ていた。


「僕は今、ブレイダー隊という特殊部隊に所属しててね……。戦艦の操舵手をやってるんだ」

“あぁ、そうなのか。頑張ってくれよ”

“凄いねぇ。省吾が操舵手になるなんて……。昔はあんなに泣き虫だったのにね。しっかり頑張りなさいよ”


 二人は感心した表情で息子を見つめる。


「分かったよ、父さん、母さん……。顔を見る事が出来て良かったよ。電話切るね」

“いいよ、忙しいなら仕方ないわね”

“じゃあ、また会おうな”

「うん」


 そして、省吾はテレビ電話を一旦切り、作戦の手引書を読む事にした。



 一方、美奈はアンナと共に談話室で話をしていた。


「アンナさん、私……、悩みがあるんです」

「何よ。そんな暗い顔して。その悩みってのを聞かせて。私が解決するからさ」


 アンナは、明るい表情で彼女の悩みを聞こうとした。


「私……、死ぬのが怖くて。もし今後の戦いで死んだら……。でも、戦うしか無いですし」


 美奈は泣きそうな表情になってアンナにすがりつく。


「大丈夫よ。それくらいの事、私だって怖いもの。いちいちそんな事で悩んでても仕方が無いわ。もっと前向きに物事を考えなさいよ……。そうすれば、これくらいの悩みは消えるわ」

「そう……、ですかね」

「そうよ。今までどんな状況でも頑張って来たじゃない」


 優しい表情で、アンナは頷く。


「確かに……、その通りですね。今まで悩んでいたのが馬鹿らしくなって来ました。これからは前向きに物事を考えていきます……」


 美奈は少しずつではあるものの、元気さを取り戻していった。



 時を同じくして、リックと鎧は自分の子供時代の話をして楽しんでいた。


「僕は昔から、水泳が大好きでね……。あと、戦艦の模型を作るのも好きだったなぁ」

「それが、海軍に入るきっかけだったのか……?」

「うん、そうなんだけどね……。最初は厳しい訓練で嫌になりそうだったけど、夢を叶えるためなら……、と思って頑張ってたらいつの間にかメタルユニットのパイロットになっててさ……。まぁ、亮たちと出会えたから良かったけどね」


 リックはやや朗らかな面持ちであった。


「そうか……。俺も剣道を極めていなかったら亮たちと出会えなかっただろうな。元々俺も、剣道の腕を父の知り合いだった江川長官に認められてここに入るに至ったんだ。最初はもちろん困惑したが、今となっては良かったと思う。かけがえのない仲間とも出会えた。その上、愛すべき人とも出会うことが出来たんだ……。そして俺は、戦争の無い平和な世界を取り戻したいと思ったんだ……」


 いつにも増して穏やかな表情で、鎧は語った。


「これから、戦争終結のために戦い抜いていこう。これからもよろしく頼むよ、鎧さん」

「うむ……、そうだな」


 鎧とリックはしっかりと握手を交わした。



 あれから三日後、年も明けて2501年1月2日のこと。

 そう、ついに火星革命軍の作戦実行日が来たのだ。

 しかし、まだ民間人はそんな事など知らずに暮らしていた。

 ただ、いつ革命軍が来てもおかしくない。

 そんな状況である。

 それは、連合艦隊のクルー達も同様であった。


「亮、朝食だって。早いとこ行こうよ」

「おう、分かった」


 亮と玲は、朝食を食べに行くために食堂へと向かう。

 しかし、その平穏な時間は一瞬にして崩れ去った。

 何と、急に艦内に警戒音が響き渡ったのだ。


“緊急事態発生! 緊急事態発生! 敵軍の艦隊が急接近しております!”

「えぇ、嘘でしょ!?」

「こうなったら仕方無いな……」


 亮と玲は思わず手が震えた。そのあまりにも突然の出来事に。


「亮さん、玲さん!」

「早く行こうぜ、亮!」


 リーとジェフも警戒音を聞き、部屋から慌てて出て来た。


「皆……、必ず生きて帰ろうぜ……!」

「了解!」


 四人は戦う覚悟を決めたのだった。

 そして、刻一刻とソリクト・アレスを筆頭とする火星革命軍の艦隊は進軍を行っている。

 果たして、彼らの運命やいかに。

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