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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第50話 作戦名X-DAY(後編)

  12月23日、ついにX-DAY作戦実行の時が来た。

 作戦の準備も万全に整い、亮が6時間ほどかけて開発したコンピューターウイルスも完成した。

 後は作戦を実行するのみとなる。


「ウィリアム艦長、いよいよですね」

「うむ。何とか上手く行くといいんだがな……」


 ウィリアムは少し頭の中に引っかかる事があった。

 それは、敵が自陣営より優れた戦法で反撃に遭わないかどうかについてである。


「やはり不安なようですね。でも、敵の数を分析しないと解らないので無理は無いでしょう」


 部下の一人もまた、本作戦における敵の戦力について不安を抱いていた。


「だが、前線基地というほどであれば、かなりの戦力があることは違いないだろう」

「まぁ、確かにそうでしょうね。例え戦力に差があれど、勝ってみせましょう……」

「うむ。この作戦を失敗したら次に攻撃を行うチャンスを失うというリスクがあるからな。必ずしも成功させよう」

「はい」

“こちらはガルード艦の艦長、ラゾウス・バーナードだ。進軍を開始しよう”

「了解!」


 そして、連合艦隊はオリンピウス基地へと進軍を開始した。



 その一方で、亮たちは出撃準備を終えており、いつでも戦える状態になっていた。


「さて……、まずは火星革命軍のサーバーにアクセスして……、次にコンピューターウイルスのデータを流入させておく。これで完了だ!」

“とりあえず敵ヘの妨害工作はこれで終わり?”

「あぁ、これで後は敵がどう反応するかどうか……。そこんとこが問題だな」


 そして、亮たちは出撃し、オリンピウス基地へと攻撃を仕掛ける。

 その事を察したゼルガは、即座に機動部隊を出撃させた。



 ついに戦いは幕を開け、両軍は勢い良く互いに敵の元へと駆け出す。

 しかし、革命軍側の管制システムにはコンピューターウイルスが仕込まれており、機動部隊どころか、基地本部でも錯乱する事態となった。


“現在、コノサーバーハ機能シテイマセン”

「何という事だ! 情報処理班は何をやっているんだ!?」


 ゼルガはこの事態に居ても立っても居られなかった。


「只今情報処理班が、復旧作業を行っているのでご安心を……」

「だが、出鼻を挫かれるような事をされては我々も黙ってはいられんな」


 怒りの余り、拳を強く握るゼルガ。

 その中で革命軍は苦戦を強いられた。


「何だ!? レーダーが使えないだとォ!?」


 コンピューターウイルスの被害は、メタルユニットのプログラムにも拡がっていた。

 これにより、連合艦隊は順調に駒を進めていく。



 亮たちは、レーダーを使えずに苦戦する革命軍の機動部隊を圧倒し、次々に撃墜していった。


“これはきっと勝てますね、亮さん!”

「そうかもしれないが、負ける可能性も無きにしも有らずだからな。油断するなよ、リー」

“はい…。分かりました”


 彼らは前線基地の奥へ奥へと突き進んでいく。

 さらにそこへとバルチャー隊が合流した。


「それにしても、ここまで有利になったら味気無いような気もするがなぁ」

“まぁ、有利に越した事は無いじゃないですか、アルフレッド中佐”


 アルフレッドの部下は、かなり余裕な表情を見せる。


「まぁ、そうだけどな。だからって相手がいつ復旧する事か……。亮、お前の作ったウイルスはどういう感じなんだ?」

“えっ? まぁ、かなり複雑なプログラムにしておいたので、短時間で復旧するのは困難でしょう”

「そうか……。なら、大丈夫だろうな」

“はい、少なくとも大丈夫だと思います”


 彼らは、通信を片手間に敵を相手にするほど余裕な状況であった。しかし、混乱している革命軍の中にただ一人鬼神の如き強さを誇っている者がいた。


「レーダーが無くとも、実力で思い知らせてやる!」


 なんと、その敵の正体は強化改造兵となったグリィパーであった。

 彼の強靭ぶりは他の追随を許さぬほどのものであり、立ち向かった敵は次々に斬り裂かれていく。

 その様子を見た亮達は、思わず血の気が引いた。

 それもそのはず、レーダーが機能していないにも関わらず、グリィパーが敵と互角以上に戦えているのだ。


「あの黒い奴、間違いなくグリィパーだぜ……。どうするよ、亮……」


 ジェフは呆然とした表情であった。


“どうするったって……、戦う以外方法は無いさ”

「亮がそうするんだったら、やるしかねぇな!」


 二人はまず、遠距離から攻撃を始めて、ジェフは玲と共に後方へと回って挟撃しようと試みる。


「何があっても倒すわ……!」


 玲はビームガンで上手く牽制し、そこからバズーカで攻撃を行うが、グリィパーはそれをひらりと回避。


「何でここまで避けられるの!?」

“わかんねぇよ、そんなこと……”


 途方に暮れるジェフ。最早打つ手は無いのだろうかと思われた時、WOLFが駆けつける。


“大丈夫か!? お前達……”

「ジェイク中佐、来てくれたんですね!」


 安堵の表情を見せる玲。


“亮、ここは俺たちが一斉掃射で片付ける……。手伝ってくれるか?”

「了解!」


 こうして、ジェイク達による一斉掃射が行われる。

「ほう……。無駄な鉄砲数撃ちゃ当たるとよく言うものだが、この俺に通用するとでも思っていたのか!?」


 大胆不敵にも、笑みを薄っすらと浮かべるグリィパー。

 しかし、彼の元に複数の誘導機雷が接近。


「誘導機雷を使えば、グリィパーの機体を誘爆出来るかもしれないな……」


 亮は少しではあるが、自信を取り戻す。


“だといいけどなぁ……”


 しかし、まだそれでも確実ではないと考えるジェフ。

 どうなるかは神のみぞ知る。


「馬鹿め! 機雷ごときでこの俺を……、何ッ!? 爆風の範囲が思ったより大きいぞ……!?」


 誘導機雷の爆風に思わず圧倒されそうになるグリィパー。

 それにより、グリィパーの機体は吹き飛ばされ、一時的に倒れ込むが、そこに凄まじいスピードで僚機が駆けつける。


「グリィパー少佐! ここは我々が護衛するのでご安心を……」

“おぉ、助かった……”


 味方が援護射撃している内に、彼はすぐさま態勢を立て直した。


「メガキャノンのエネルギーが切れたか……。なら、これで倒してやるまでよ!」


 亮は、右腕の大型粒子砲を使ってあっという間にグリィパーを守っていた部隊を殲滅した。

 しかし、敵機はまだ基地の最深部から出撃し、攻撃を行う。


“亮、ここは俺たちに任せろ! お前はグリィパーを相手にして戦え!”


 先陣を切ったのはシャドー隊であった。


「了解! ジン少佐!」


 そして、亮はグリィパーの元へと近づく。



 その一方で、シャドー隊はヴェスタ小隊と共に革命軍の機動部隊を相手に激しい攻防戦を繰り広げた。


「マルチガンナーでも許容範囲とは……。流石は革命軍の拠点だけあって、おびただしい数だ……」

“ジン、後ろから来るわ!“


 アシュリーは、後方から近づいて来た敵をビームライフルで狙い撃ち、撃墜した。


「助かったぞ、アシュリー」

“礼はいらないわ。とにかく今は敵の全滅が先よ”

「確かにそうだな」


 ジンは、その後もビームライフルで敵を牽制しつつ、最終的に近づいてアルカディーやラルフと共に挟撃して敵を確実に倒していった。



 それから数十分後、革命軍の管制システムはどうにか復旧に成功。

 ようやく連合艦隊と互角に戦えるようになる。

 しかし、戦力差では明らかに革命軍側が不利であった。

 その中でも、グリィパーは亮と死闘を繰り広げる。


「おのれ……、落ちろ、落ちろォォッ!!」


 巨大な鎌を素早く振り回し、亮を追い詰めるグリィパー。

 彼は憎しみに燃え、今までの仲間の仇と言わんばかりに激しい攻撃を行う。


「何て強さなんだ……。もしかして、コンピューターウイルス感染から復旧したのか?」

“多分だけど、亮の推測は正しいと思うわ。だって、他の敵がやっと本調子を出してきたみたいだからね……”


 玲は、ウイルスから克服した革命軍を畏怖の目で見つつ戦っていた。

 このままでは逆転されてしまうのではないかと警戒していたのだ。


「リー、そっちはどうだ?」

“こっちはもう本当に大変ですよ! 敵があまりにも強いので、もう頭が痛くなって来ましたよ……”

“俺も同感だぜ。何であれだけの戦力しかいないのに、ここまで俺たちを苦戦させられるんだ……”


 リーとジェフは、震える手で操縦桿を握っていた。

 最早、この戦いは泥仕合と言ってもいいほどの膠着状態となっていた。

 しかし、亮はそれでも諦めずに戦う。


「これで……、斬ってみせる!」


 亮はビームブレードを構え、一気に距離を詰め寄り、素早く斬りかかる。


「何ッ! 近づいて来ただと!?」


 グリィパーはビームサイスで防御しようとするが、亮に機体右腕部を斬り落とされてしまい万事休す。


「くっ……、ならビームライフルで!」


 利き手でない左手で機銃を握り、敵を狙い撃つが全く当たらなかった。

 そして、亮の手によりトドメを刺された。


「喰らえェッ!!」


 グリィパーの乗る漆黒のベルバスは一刀両断され、倒れ込んだ後に爆発四散。

 それは、一瞬の出来事であった。


「やった……。ついに倒したんだ……」


 亮は、グリィパーを撃破した事の嬉しさを噛みしめた。


“亮、凄いじゃん! あのグリィパーを倒すなんて……”

「褒めてくれてありがとよ。まさか倒せるとは思わなかった。でも、まだ敵は基地の最深部の方にいるみたいだからよ。早いとこ、そこに行こうぜ」

“うん、分かった……”


 しかし、彼らが基地の最深部へと向かう頃にはゼルガ達はもうそこにはいなかった。

 何と、巨大戦艦ソリクト・アレスを筆頭とした艦隊を編成し、そこへとゼルガ達は敗走していたのだ。

 前線基地に残っていた機動部隊も遅れて合流し、予想外の形でX-DAY作戦は終了した。


 翌日、オリンピウス住居区の人々は地球政府軍及び火星政府軍の兵士達を歓迎した。

 その理由は、革命軍によってそこの民間人達は、反乱を起こさぬように統制されていたからだ。

 もしも反乱を起こそうとすれば、その場で銃殺刑にされる事になっていた。

 それ故に、革命軍から開放された民間人は歓喜していたのだ。


「連合艦隊の皆様、本当にありがとうございます。

もしこのままずっと革命軍の支配下に置かれていたら、どうなっていたことか……」


 区長は、連合艦隊に花束を贈呈した。


「我々は、当たり前の事をしたまでです。オリンピウス住居区の皆様には本当に申し訳無い事をしてしまいました。元はといえば、我々が皆様の意見を受け入れずに戦争が起こってしまったのです……。全ては我々地球政府軍に責任があるのですよ。火星の制空権及び住居区の独立を素直に認めていれば……、こんな事にはならなかったでしょう」


 ウィリアムは、このように後悔の念を述べた。

 彼は戦争勃発前、当時の上層部の意向に対して密かに不満を持っていたが、彼らのに口出しを出来るほどの立場ではなかったために、火星政府の独立を認めさせる事が出来なかったのだ。


「はい、確かにその通りではありますが、自分達が間違っていたと分かっていただけただけでもいいのです。しかし、もっと早くこの事に気付けてくれていればと思うと、死んでいった罪なき人々が浮かばれませんがね……。ただ、この過ちを二度と繰り返さないためにも、我々も尽力していきたいと思います」


 ウィリアムは軽く頷いた。


「分かりました。よろしくお願いします……」


 二人は、しっかりと握手を交わした。

 戦争という名の夜が明けるのはもう近いのかもしれない。

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