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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第45話 ニューヨーク大侵攻

 11月26日、火星革命軍は再び地球侵攻計画を立て、ゼルガは迷った末に、ターゲットとしてアメリカ・ニューヨーク州の前線基地を選んだ。

 その作戦にはGHOSTやCAESARのシュトルムも参加する事が決まっており、作戦の指揮に関しては、GHOSTのリーダーであるアンフォーンが行う事になっている。


「アンフォーン中佐、今回はどうするおつもりで?」


 ガウルはアンフォーンの表情を覗う。


「今回の作戦では、ダミーバルーンを使う。さらに、誘導機雷も使用する事になっている。敵がそれを撃っている隙に、我々が攻撃を仕掛けるという戦法だ。最初は半月状の陣形で少しずつ迫って行き、最終的には逃げられない状態にした上で集中砲火を浴びせて全滅……、というわけだ。分かったか?」

「はい、もちろんです」


 ゆっくりと頷くガウル。彼は、作戦内容をしっかりと頭に入れていた。


「バルファーはどうだ?」

「私も作戦内容は理解しております。ご安心を」


 バルファーはニヤリと笑みを浮かべていた。


「他に聞きそびれた者はいないようだな? なら、明日に向けて出撃準備を始めるが……」


 アンフォーンは周りを見渡すが、特に意見のある者はいなかった。

 そして、彼らは明日に向け、作戦のための準備を整えるのだった。



 ブレイダー隊地上班の一人である高木省吾は、一ヶ月前からより優れた戦略案を考えるための勉強を自主的に行っていたのだ。

 彼は、人一倍努力する事が自分自身の最大の強みであると言っているだけあり、毎日五時間程訓練をしていたのだ。

 特に用事が無い日に関しては、ほぼ常に戦略のコツについて記された書物を読んでいた。


「あっ、省吾……」


 美奈は省吾の元に近づくが、彼は黙々と本を読み続けていた。

 その本には、戦略が上手く考えられるようになるコツや様々な戦術などが記載されているのだ。


「美奈、何しに来たんだ?」

「いや、あまりに勉強熱心だったもんだからつい……。私も戦術についての本を読もうかな……、なんて思って」

「そうか。戦術関連の本はあっちにあるよ」

「教えてくれてありがとう」


 そして、美奈は目当ての本を探しに行った。



 その一方、鎧たち三人は今後の奇襲に備え、戦術訓練を自主的に行っていた。

 そこには、以前美奈と共に訓練を行った中島大介や平井京馬の姿もあった。


「とりあえず、対戦相手はAIにさせるとして…、作戦はどうすればいいんですか?」


 アンナはどのようにして攻略すべきか迷いに迷っていた。


「ひとまず、接近戦は後回しにするといいんじゃないか?」


 平井は腕を組みながらモニターを眺める。


「分かりました、平井大尉」


 軽く頷いたアンナ。そして彼女は、戦闘方法の設定を変えた。

 しかしながら、まだ完璧と言うには程遠いため、そこに中島も手助けをする。 


「アンナはどういう陣形で戦うつもりなんだ?」

「そうですね……。個人的には僚機と連携を取って包囲するつもりなんですが……。まあ、これは現地の部隊の機数にもよるんですけど。味方が左右で100機、中央で200機程だとして、敵がそれより下回る計200機程なので、少なくとも確実に倒せるでしょう」


 しかし、そこに待ったを掛けたのは鎧であった。


「待て。敵がもし自分達よりも凌ぐ程の数だったら理論上では倒すのが困難になるぞ。それと、AIの戦力は確認したのか?」

「もちろん確認しました。だから先程計200機と……」

「あぁ、そうか。確かに言っていたか。俺としたことが……」


 鎧は恥ずかしくなり、少しの間背を向けてしまう。


「アンナ、僕からも一言いいかな?」


 再び待ったを掛けたのはリックである。彼は、どこか訝しげな表情をしていた。


「敵の航空戦力は、どれほどか数えたの?」

「えぇ、数えました。航空戦力は左右に25機ずつ、中央に50機で計100機いることになります。味方に関してはその倍の200機です」

「そうか、流石はアンナだ。今まで以上に成長したね」

「そうでしょうかね……」


 アンナは少し嬉しそうに微笑む。


「準備が整ったみたいだな。ひとまず模擬戦闘開始だ!」


 そして、AIとの模擬戦が始まり、序盤はまずまずの状況かのように思われていた。


「おいおい、あれだけ期待させといてこれか?」


 平井は先程の説明に不信感を抱いた。


「いえ、ここからが正念場です」


 中盤で敵を包囲し集中砲火を浴びせる事で差が付き、残す敵は中央にいた主戦力のみとなった。


「なんか面白いことになってるじゃないか」


 そして、最終的には敵を全滅させる事に成功。アンナの計算は間違ってはいなかったのだ。


「ふーん、アンナもやるじゃないか」

「いえいえ、平井大尉程ではないですよ……」


 アンナは、どこか照れくさそうな表情をしていた。


「何とか上手く行ったな……。何も力になれなくて済まない」


 鎧とリックはどこか申し分なさそうな表情をしていた。


「いえ……、でも、注意喚起してくれたじゃないですか」

「まぁ、そうだけど……。作戦は成功したけど、もう少し力になれたんじゃないかなって思って」

「リックさん、落ち込まないで下さいよ。実戦でその分頑張ればいいと思います。」

「そう……、だね」


 リックは少しだけ微笑む。


「ともかく、革命軍が奇襲を仕掛けた時のためにも頑張ろうぜ! 俺たちももちろん戦うけど」

「はい!」


 彼らは、今後も団結して戦う事を決意した。



 そして翌日────────

 ついに火星革命軍はニューヨーク基地へと進軍を開始。

 この事を察知したアメリカ政府軍は、直ちにニューヨークに住む民間人を他の州へ避難させ、攻撃態勢を整えた。

 このことを受け、ブレイダー隊などの一部の部隊が現地へと召集された。


「とりあえず、現地の部隊の数が敵軍より多ければいい。陣形は中央と左右に分かれて挟撃すれば倒せるだろう。美奈、敵の数と味方の数をそれぞれ分析してくれ」


 鎧はこの状況の中であるにも関わらず、冷静さを保ち続けていた。


“敵軍の艦は10隻、メタルユニットの数は計320機だと結果が出ました”

「何ッ!? それだけの数がいるのか……。味方はどれ程か分かるか?」

“味方の艦は8隻、メタルユニットの数は計256機です……”


 それを聞き、鎧は思わず眉をひそめた。それもそのはず、こちらの方が物理的な戦力面で考えると不利であるからだ。


“でも、これぐらいの差であれば十分挽回できるでしょう”


 美奈は立体マップを鎧に見せた。


「ん? どうやら航空戦力は我々が上みたいだが……」

“はい、その通りです。僚機の空戦メタルユニットの数はこちらの方が遥かに多いので、数の差はフォローできるでしょう。では、戦力を確認したので出撃して下さい”

「了解!」


 そして、鎧たちは出撃した。



 ニューヨーク基地の領域内で、ついに地球政府軍と火星革命軍の戦闘が始まる。


「来たか……!」


 鎧たちは敵が来た事を察知し、現地の兵士達に作戦で考えた陣形について伝え、編成する。


「ゼルガ長官のために、貴様らを倒してやる!」


 数十機のベルバスがダミーバルーンに紛れて接近し始める。


「全員撃てェッ!!」


 中央にいた鎧たちは、機銃を使って迫り来る敵部隊を次々に殲滅していった。

 しかしながら、敵軍の中央後方にシュトルムの駆るフォートロンがいた事もあり、苦戦する可能性は高い。

 そんな中でも果敢に攻撃をしていくのは、鎧とリックであった。


「お前達、あまり前に出ると的にされて死ぬぞ!」

“あっ、すみません……”


 声を掛けたのは、陸戦部隊のリーダーであるショーンという兵士であった。


「あまり前に出過ぎるなよ……。気をつけろ。過去に、俺の仲間が前方で戦って死んだからな」

“分かりました”


 鎧は一度後退し、再び遠距離攻撃を行う。

 次々に革命軍の部隊が撃破されていく一方で、地球軍側も少しではあるが戦力は削られていた。


「ナパームミサイルを撃つか……」


 リックは低空飛行する敵艦に向けて、ナパームミサイルを発射した。


「何だッ!? ミサイル接近!」

「回避できません!」


 これにより、敵艦を一隻沈める事に成功した。しかしながら、まだ敵は諦めてはいなかった。

 とうとう主力であるフォートロンが前方に出て、無数のミサイルや光線を発射し、次々に地球軍の機体を撃破していく。


「俺は何としても…、ゼルガ長官のため、新たなる時代のためにも、この戦いに勝ってみせる!」


 最早、シュトルムに勝てる者はいないと思われていたが、地球軍はフォートロンの弱点を知っていたため、集中砲火を浴びせる。


「くっ……、寄ってたかって邪魔をするとは……! これでどうだ!」


 シュトルムはサーチビームを放ち、敵艦を沈める。


「まずい! 味方の艦が一隻やられた! お前達、攻撃の手を休めるな!」

“了解、ショーン大佐!”


 やがて、集中砲火を過度に浴びたフォートロンの電磁バリアーは打ち消され、さらにバリアー発生装置を破壊し、地球軍が有利となる。


「これで終わりよ!!」


 先程とは一転し、アンナはビームバズーカを使って光線を放ち、鈍重なフォートロンを翻弄していく。 

 さらに後方からSC-14や空戦部隊からの攻撃が行われ、一瞬にしてフォートロンは大破した。


「やった! フォートロンを撃破したわ!」

“アンナさん、凄いじゃないですか!”

「省吾と美奈も援護ありがとう!」

“どういたしまして。でも、まだ敵は残っているから、何としても殲滅しよう”

「分かったわ」


 その後アンナ達は、空戦部隊と交戦することになる。



 その一方で、鎧とリックはショーン達と共に敵陸戦部隊と交戦していた。

 しかしながら、相手はGHOSTを筆頭に強靭的な部隊だったため、かなりの苦戦を強いられた。


「この連中、確かGHOSTという親衛部隊だと聞いたが、やはり強いな……」


 鎧は、アンフォーンと激しい戦いを繰り広げ、最早自分自身が勝てるかどうか疑心暗鬼になっていた。


「落ちろ……。アームドブレイダー!」


 その時、アームドブレイダーの機体右腕部がいとも容易く斬られ、鎧は思わず歯を食いしばった。


「しまった……。なら、これはどうだッ!」


 即座に鎧は、ビームクナイでアンフォーンの機体に突き刺すが、致命傷を与えるまでには至らなかった。


「まずい……。だが負けんぞ!」


 アンフォーンは大剣を大きく振りかざすが、何者かが放ったミサイルによって妨害される。


「何だッ! 邪魔するとは小癪な……」


 そこにいたのは、デプスブレイダーであった。


「リック、助かった……。ありがとう」

「鎧、無理しない方がいいよ。ここは僕に任せてくれよ」


 ジャベリンをしっかりとした姿勢で構えて、勢い良くアンフォーンの方へ駆けるリック。


「これを喰らえェッ!!」


 しかし、アンフォーンはこれを即座に回避し、その後誘導機雷が敵艦から出される。


「何だ!? 機雷か!?」


 ショーンは思わず驚くが、何とかして冷静さを取り戻そうと試みる。

 じっくりとモニターに映る機雷を見つめる鎧。攻撃の契機を窺う。


「破壊するしかないな……」


 鎧はビーム刀を使って機雷を破壊するが、爆風でやや遠くの方へ吹き飛ばされそうになる。


「くっ……、機体のダメージは……」

“機体ノダメージハ、46%デス。撤収ヲ推奨シマス”


 機体の中に警告音が響く。


「仕方あるまい……。リック、俺の機体の損傷度が半分近い。だから、撤収する……。済まない」

“分かった、後は任せてくれよ”


 そして、撤収を余儀なくされた鎧。彼は悔しさを噛みしめながら去っていった。

   ︙

 アンフォーンは、誘導機雷で敵部隊を苦悶させた末に、リックとの対決を再開し、自分のペースに持ち込んでいくアンフォーン。


「くっ……、何て奴だ……」


 さらに、ガウルやバルファーが援護射撃を始め、リックは勝てないと思うようになる。


“おい! 大丈夫か!?”

「スタンリー警部……! 来てくれたんですね! ありがとうございます……」


 拳銃を構えるスタンリー。彼は目つきを鋭くして敵を睨む。


“我々が援護する! 後は任せろ!”


 スタンリーが率いる保安部隊イーグルによって、援護射撃が行われる。

 そして、行動不能になった兵士のうち、数名が国家反逆罪の容疑で拘束される。


「何という事だ……。ガウル、保安部隊の撃墜を頼む!」

“了解!”


 ついに、ガウルはスタンリーと対決することになる。


「どこからでも来い! 保安部隊だろうが倒してやる!」


 先制したのはガウルであった。

 彼は即座にビームソードで斬りかかり、スタンリーの機体左腕部を切断する。

 これにより、彼はピンチに陥ってしまう。


「くっ……、倒されてたまるか!」


 即座にスタンリーは、拳銃を使ってガウルの機体両腕を破壊する。


「まずいことになった……。アンフォーン中佐、攻撃が困難な状態になったので撤収します……」

“分かった。後は任せておけ。お前のいない分までフォローしてみせる”


 そして、間髪を入れずにガウルは撤収した。彼を逮捕する契機を失ったスタンリーは、拳を握って強く悔しがるのと同時に、アンフォーンに攻撃を仕掛けようと試みる。


“リック、援護するぞ!”

「ありがとうございます、スタンリー警部」


 スタンリー達はアンフォーンに対し銃撃を行うが、銃弾は一発しかなく、敵の右腕を損傷させる程度に留まった。


「くっ……、腕の配線がやられたか。全員撤収するぞ」

“了解、アンフォーン中佐!”


 GHOSTが撤収する最中スタンリーはアンフォーンを捉えようとネット弾を放つ。


「馬鹿め! この程度の物で捕まえられるとでも思っていたのか!」


 しかし運悪く少し引っ掛かっただけであり、すぐに切られてしまう。

 スタンリーは、自分の不甲斐なさに激しく悔やむ。



 その後、革命軍が完全に撤収してから、鎧たちは機体から降りてスタンリーと直接会った。


「スタンリー警部、尽力出来ずに申し訳ありません……」


 鎧たちもまた、アンフォーンを撃破出来なかった事を後悔し、辛い表情をしていた。


「いいんだ……。君たちは決して悪くない。何も得られなかった訳ではないんだ。先程逮捕した火星革命軍の兵士から情報を得られるかもしれない……。今回は協力してくれてありがとう」


 スタンリーと鎧はしっかりと握手をした。


「こちらこそ。これからも、戦争終結に向けて尽力していきましょう……」

「うむ。また平和な世界が戻るといいんだがな……」


 鎧たちが日本に帰国する頃には、既に次の日になっており、到着時は朝の6時頃であった。

 その日の昼頃、アンナは美奈や省吾と共に江川から呼び出されることになる。


「三人共、よくやった。あのCAESARを壊滅状態にしたそうじゃないか。これで戦争終結も想定より早まるかもしれないな。そして、君たちには何よりも平和への道を切り拓いて貰いたい。任せたぞ」

「了解!」


 そして、三人はリックと鎧の元へ向かい、今回の手柄を江川に認められた事を報告した。


「アンナ、美奈、省吾……。良かったな。これからも頑張ろう……」

「僕たちも負けてられないね。鎧さん……」


 リックは胸の前で腕を組み、ゆっくりと頷く。


「次の戦いでも革命軍の蹂躙を食い止めよう……。そして早く戦争を終わらせて、平和な世界を取り戻そう」

「了解!」


 そして五人は、これからも戦争終結のために戦い抜くと誓った。


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