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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第41話 奇襲! 巨大MU・フォートロン

 11月1日、火星革命軍は再び地球への侵攻を行う事を決意した。超弩級MU(メタルユニット)であるフォートロンを、ついに実戦に導入する時が来たのだ。

 彼らは地球及び火星を支配する為に、圧倒的物量による作戦が、今始まろうとしていた。


「ゼルガ長官、ようやくこの時が来ましたね…」


 ランケルは、感慨深い面持ちで最終調整が行われているフォートロンを見つめた。


「うむ、この最終兵器とも言うべきこのフォートロンを量産化を達成できれば、火星は疎か、地球をも制圧する事は出来るだろうな。早くその日が来て欲しいものだ……」

「そうなれば、地球政府軍や火星政府軍に勝ち目は無いと言ってもいいでしょう」


 薄っすらと笑みを浮かべるランケル。彼らは、今回の作戦の成功を確信しているのだ。

 しかしながら、フォートロンの開発には莫大な予算を掛けたため、失敗した際のリスクも大きい。

 これからこの戦いがどうなって行くのかは、彼らが握っていると言っても過言ではない。



 その一方で、エルク達によって強化改造された兵士で構成された特殊部隊“CAESAR(シーザー)”達が作戦を練っていた。

 そのリーダーであるシュトルムは、他の二人に何かしら提案が無いか様子を覗った。

 何とその二人は、元ガンナー小隊のバーンとアレンであり、既に記憶を消されてゼルガに忠誠を誓うように洗脳されていたのだ。


「シュトルム中佐、今回は挟撃してみてはいかがでしょう?」


 バーンは、至って落ち着いた表情をしていた。


「そうか。まぁ、挟撃するというのは戦略の基本中の基本だからな……。ひとまずその作戦は採用するとして、アレンは何か意見は無いか?」

「そうですね。やはりフォートロンの武装を活かして、集中砲火を浴びせながら近づき、最終的には接近戦でトドメを刺す……、という形でやってみては?」

「うむ、それはなかなかに良い考えだ。とりあえず現時点では挟撃しつつ、集中砲火を浴びせて弱体化の隙を狙ってトドメを刺すというわけだな? ここに私の考えを追加しよう」


 シュトルムは不敵な笑みを浮かべる。


「おや、それはどういった考えで…?」


 アレンは興味深そうな面持ちを見せる。


「我々が出撃する前に、空中用誘導機雷を地上にばら撒き、敵軍をある程度誘爆させる形で撃墜する」

「なるほど。そうすればより万全ではありますが、それだけの兵器をすぐに用意出来るのですか?」


 バーンは、疑問に満ちた表情であった。それもそのはず、基地周辺を埋め尽くす程の機雷を用意するにも、かなりの予算が掛かるからである。


「勿論、可能だとも。事前に当作戦の指揮官に話をつけておいたからな」

「そうですか。なら、安心ですね」


 その言葉を聞いて、安堵の顔を見せるバーン。

 彼は、作戦成功を尚更確信した。


「では、作戦内容を決めた所で、本日の会議は終わりだ。さぁ、睡眠用カプセルに入ろう」

「はい」


 強化改造兵は、通常の睡眠では体力を維持する事が出来ないようになっており、気分を落ち着かせ、強靭な細胞を維持するために必要な粒子を撒くカプセルの中で眠らないとならないのだ。

 三人は、不気味に明るい緑色に輝くカプセルの中へと入って眠りについた。



 その一方でブレイダー隊地上班の五人は、各々の夜を過ごしていた。

 鎧は、タブレットを使い歴史小説を読んでおり、どうやら楽しそうであった。


「なかなか面白いな。これからどんな話になるんだ?」


 彼が夢中になって小説を読んでいると、部屋の中に省吾が入って来た。


「鎧さん、お取り込み中失礼します」

「どうした、省吾。何かあったのか?」

「いや、今リックさん達とゲームをやってるんですが……、どうです? 鎧さんもやってみませんか?」


 穏やかな表情で彼を招き入れようとする省吾。

 せっかくの誘いを断るにも断りがたかったこともあり、参加しようと考えた。


「やってみるとしよう」

「じゃあ、早速行きましょう!」


 鎧は省吾と共に談話室に向かう。

 そこにはリック、アンナ、美奈の三人がおり、テーブルには大きなボードや駒などが置いてあった。


「これは、“アースガーディアン”という戦略ボードゲームです。とりあえずルールを説明しましょう」


 そして、省吾は事細かにこのゲームのルールを説明した。


「なるほど……、そういうルールか。まぁ、楽しんでみよう」


 そして、五人は交代しながらボードゲームを楽しみ、夢中になって遊んでいたら、気がつけば夜の九時になっていた。

 彼らはゲームを終えて、一転して今後の戦いに向けてどうすべきか話し合った。


「とりあえず……、ゲームは終わった訳だが、これからまたこの基地が狙われる事や、当然ながら海外での戦闘も想定した上ですぐに作戦を立てて行動に移せるようにしたい。俺は、基地を防衛する上でその外周から攻撃して敵を殲滅するという戦法を取りたい……。皆はどう思う?」


 鎧の発言を聞き、四人は少しの間考え込んだ。

 そして、初めに口を開いたのは、意外にも美奈であった。


「あの、鎧さん……、外周で攻撃すると市街地への被害にも繋がるのではないでしょうか。だから、基地内部で戦闘を行うべきだと思います」

「そうか。確かに、民間人に被害が及んだらただでは済まされないからな……。そうするとしよう」


 鎧は、腕を組みながら軽く頷いた。


「鎧さん、僕は海岸で戦うことになった時のために、水中戦が出来るようにマリナーブースターパックというものを山田さんに依頼して手配したんだけど……」


「何だ? それは……」


 リックの言葉に対し、不思議そうな表情で眉をひそめる鎧。

 それもそのはず、彼はそのような武装など存在自体知らなかったのだ。


MB(マリナーブースター)パックは、陸戦型の機体でも水中で性能を十分発揮出来るように造られた物でね……。オプションとして、アームミサイルポッドやビームジャベリンもあるみたいだよ。使って見る気は無いかな?」

「まぁ、あるのなら使ってみよう」


 鎧は首を縦に振った。


「分かったよ、鎧さん」


 リックはどこか満足そうな顔つきをしていた。

   ︙

 その次にはアンナからの提案として、フライトブースターを装備してみてはどうかという意見が出た。


「鎧さん、フライトブースターは私の機体にも装備されているのですが……、何といっても空中戦を長時間に渡って行えるというのが利点なんです」

「うむ、だが、俺のアームドブレイダーとは少し相性が悪いんじゃないか? 何しろ俺の機体は重量級で、せいぜい水陸両用に改造した方が有効活用出来ると思うが……」

「そうですか。確かに鎧さんは今まで地上での戦闘スキルが高いので、よく考えてみれば不向きですね」


 アンナも納得し、ゆっくりと頷いた。


「最後は僕ですね……」


 省吾は少し緊張した面持ちでタブレットを出し、今後の方針についてまとめたレポートを鎧達に見せた。


「これはレポートか……」


 鎧は文字を目で追いつつ、口を引き締める。


「どうです? 僕はこれからバーチャル戦闘訓練の頻度を増やしたり、機体の火力や機動性の大幅な強化だったり、全面において改善していきたいと思っています」

「なるほど、いい考えだ。軍の上層部の方々にも伝えておこう」

「ありがとうございます」


 省吾は、にこやかな顔つきで頷いた。


「とりあえず、これからはより敵の攻撃も激しくなるに違いないから、それにしっかりと備えておこう」

「了解!」


 こうして、彼らの方針会議は終わった。



 そして翌日、火星革命軍はターゲットを東京湾沿岸基地及び海上基地に絞り、進軍を開始した。

 しかし、そのような事を地球政府軍が黙って見ているはずもなく、大気圏突破を間近にした頃には地上戦闘部隊は攻撃態勢を万全に整えていた。


「八島少佐、革命軍の機動部隊が接近しています!直ちに攻撃を開始しましょう!」

“了解、任せておけ!”


 八島率いるヤマト隊は、機銃を構えるものの未知の敵に思わず驚愕した。

 それもそのはず、革命軍のフォートロンは全長約30メートルと、今までに類を見ない程巨大な機体であったからだ。


「何だあの敵は!? 少佐、どうします?」

“こんな所で怯んでたまるものか! 撃てェッ!”


 機銃で集中砲火を仕掛けるが、シュトルム達の乗るフォートロンは全く動じない。

 その理由は、機体に電磁バリアー発生装置を搭載しているからである。

 それ故に、八島達は驚きを隠せずにいた。

 しかし、そこにブレイダー隊も遅れて合流する。


“八島少佐…、大丈夫ですか!?”


 即座に八島と通信を取る鎧。

 しかし、フォートロンの巨体を見て鎧は、固唾を呑んだ。


「どうしたんだい、鎧さん。確かに、あのデカさの敵は初めて見るけど……」

“あぁ、でもあんなデカブツ相手にどう対処すれば……”

「遠距離からでは厳しいかな?」

“いや、無茶だ。あのメタルユニットはどうやら電磁バリアーを発生出来るみたいだからな”

「何だって!? 確かによく見たら攻撃が効いていない。じゃあ倒す方法は無いのか……」


 リックは絶望のあまり、手が震えた。そんな中、フォートロンに接近戦を挑む味方部隊は次々にミサイルや光線で撃ち抜かれて撃墜されていく。


“どうしますか、八島少佐……”

「待てよ? ここは遠距離から高威力の火器で集中攻撃を仕掛ければいけるかもしれない。あと、電磁バリアー発生装置は基本的に稼働時間に制限がある。だから消耗戦を行えばいずれ倒せるだろう……」


 八島は、どこか冷静な表情をしていた。

 彼はフォートロンの電磁バリアーのシステムを紐解いていたのだ。


“稼働時間というと、どれ程ですか……?”

「1時間だ。電磁バリアー発生装置は定期的に排熱する必要があるからな」

“なるほど……、分かりました……”


 鎧は、本来の冷静さをようやく取り戻した。

 しかし、勝利出来る可能性はそれでも低い。

 果たして、どう出るのか。



 鎧は美奈と省吾の乗るSC-14やヤマト隊と共に、時間稼ぎとして遠距離から防御に集中していた。


「何て火力だ! やはり新型機は只者じゃないな……」


 八島は操縦桿をしっかりと握り、フォートロンが放つミサイルを破壊していく。


「左に回避しろ!」

「了解!」


 平本の指示通りに、省吾は艦体を左に動かして回避した。

 省吾は今までの戦績が評価され、操舵士に昇格していたのだ。

 彼はあらかじめ、操舵士に必要なスキルを得るため何度も演習を受けて来た。

 その演習での反省点などを活かし、彼は奮闘する。


「省吾! 気を付けてね……」

「分かってるよ……、美奈」

 その一方で、飛び交うミサイルを刀で薙ぎ払う鎧。

 彼は素早い動作でひたすら防御に徹していた。


「これを1時間も続けてやるとなるのなら……、どうなることか……」


 鎧は辛い面持ちをしていた。

 それもそのはず、彼は戦闘開始から30分も地道にミサイルを破壊していくだけの平坦な作業ともいうべき事しかしていなかったからである。

 そんな中で、アレンが駆るフォートロンの右腕部から凄まじい威力の稲妻にも似た光線が彼らを襲う。


「何だ! ウワァァッ!」

“八島少佐!!”


 八島は咄嗟に回避し、何とか事なきを得る。

 それからも回避と防御に徹していくだけで、フォートロンには傷一つつけられず、基地の一部は破壊される。

 彼らはただただ蹂躙される様子を見ていることしかできずにいた。


「どうすればいいでしょうか、鎧さん……」


 アンナは悔しい表情を見せる。


“だが、1時間経てば電磁バリアーが切れるはずだ。その間を狙えば、倒せるはずだ”


 鎧はアンナを安心させようと試みる。


「確かにそうですけど、1時間あればここの基地は全滅してしまいます! 早く撃墜しないと……」


 やがて、戦闘開始から1時間が経過し、ついに時は来た。


「まずい、バリアーが切れる…。撤収だ!」

“了解!”


 そこに待ったをかけたのは、地球政府軍の機動部隊である。しかし、時すでに遅し。

 三機のフォートロンは空中へと飛び去っていく。

 虚しくも反撃は失敗に終わり、海上基地及び沿岸基地は、かなりの打撃を受けた。

 鎧達は、それに対し激しく後悔した。



 基地へと戻った五人は、今回の作戦失敗を悔やむが、クヨクヨしている訳にもいかなかったため、フォートロンの分析を始めた。


「フォートロンとの戦闘を行って分かったのは、1時間は攻撃が無効になるという事……。この1時間を縮められる事が出来ればいいんだがな」


 鎧はフォートロンへの対処法を考えていた。


「実はちょっと思った事があるんですが……、一言いいですか?」


 省吾は、自ら挙手をする。


「いいぞ……。で、その『一言』ってのは何だ……?」

「はい、電磁バリアーば全方位を纏っている分、使用中は凄まじいエネルギーを消費します。だから、発生中にその分高火力攻撃を行えば、電磁バリアーを打ち消す事が出来るかもしれません。少々強引かもしれませんが、いかがでしょうか?」


 それを聞き、鎧は軽く頷いた。


「なるほど。それが出来るのなら、この事を亮達にも伝えておこう。今後火星政府軍基地にも、フォートロンは奇襲を仕掛けてくるだろう」

「その方がいいでしょうね」


 すると、リックとアンナも意見を言いたそうな顔をする。


「二人とも、何か言いたそうだな。何だ? 話したい事があるなら言ってくれ。まずはリックから頼む」

「分かった。まず、これは直接的な対処法じゃないんだけど……、メガキャノンを出来る限り多く用意したいかな、って思ったんだ」

「そうか、確かにそれは理に適った考えだな。アンナはどうだ?」

「私は、現在試作段階の接近戦用兵器であるメガランスという武器を使ってみたらいいと思いました。ちなみに、メガランスというのはビームソードよりも遥かに高威力な攻撃を仕掛ける事が出来る武器でして……。とにかく、これを使えばフォートロンを倒すのも夢ではないんじゃないかと言いたい訳です……」

「おお、それはなかなか秀逸なアイデアだな。でも、実戦配備はまだなんだろう?」

「はい。ですが、明日にはテスト運用が行われる予定なので、上手く行けば私達の手にも渡るでしょう」


 アンナは少し微笑んでいる様にも見えた。


「そうか。そうなってくれればいいんだがな……。美奈は何か意見は無いか?」

「えっ、私ですか……。そうですね……、私なら戦艦に搭載されている兵器であるサーチビーム砲を上手くメタルユニットの武器に落とし込んだ物があるので、それを使いたいですね」

「なるほど。日本政府軍基地にはあるのか?」


 鎧は心配そうな面持ちであった。


「勿論です。現在テスト運用を終えて、実戦配備まで一歩手前なので使用出来ると思います」

「そうか……。楽しみだな……。じゃあ、作戦会議は終わりだ」

「了解。さぁ、早く寝ようかな……」


 リック達は思わずあくびをし、個室へと向かった。

 もうすっかり空も暗くなっている。そんな中夜空では、白い月がほのかに闇夜を照らしていた。

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