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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第40話 アルガス奪還作戦

 10月17日────

 ついに作戦実行の時は来た。

 亮たちはリントヴルム艦に乗り、アルガス前線基地へと到着するのを待つ。


「いよいよか……。三人共、何としても成功させてやろうぜ。そのためにも、油断しないようにな……」


 固い表情で自分の拳をしっかりと握る亮。

 何があっても成功させたいという思いでいっぱいであった。


「分かってるって。で、私達は確かガルード艦隊とは反対の所から攻め入るんだよね」

「あぁ、そうだぜ。まだ何が起きるかは分からないが、状況をよく見て判断しないとな」

「まぁ、そうだよね……」


 玲はやや不安そうな面持ちをしていた。


「二人共よォ、そんな固い表情じゃ駄目だぜ。もっとリラックスして……、かといって全く緊張しないというのもアレだけどな」


 ジェフは二人に対し、緊張し過ぎないようにするよう、優しく促す。

 彼も実は、心の中では強張っていたが、それはいけないと脳内で思っていたのだ。


「ジェフさんの言う通りです。今までどんな困難な戦況でも、土壇場で切り抜けて来たじゃないですか。だからこそ、今更緊張してても仕方が無いですよ」

「そうだよな……。ジェフとリーのお陰でちょっとは気分がすっきりしたように思えるぜ」


 亮は、うっすらと微笑む。

 彼らが会話をしていると、そこにマークが現れた。


「あっ、マーク大佐。疲れているようですが……」


 疲労困憊のマークを労る亮。心配そうな顔つきでマークは少し近寄る。


「そりゃそうさ。だって昨日は自分の機体のメンテナンスを半日掛けてやったからな。昨日も寝ることは寝たんだが、どうも肩が痛くてな……」


 どうやらマークは、昨日の作業や日頃の疲れで肩を痛めていたようだった。


「大丈夫ですか? 戦闘に支障が出るくらい痛いんですかね?」


 心配そうな面持ちの亮。

 

「いや、流石にそこまでではないな。もしそれほど痛かったら、ここにはいないさ」

「そうですか。でも、気を付けて下さいよ」

「あぁ、分かった……」



 それから三十分ほど経過して兵士達は、機体に乗り込んで、後は発進命令を待つのみである。


“全員大丈夫か? 覚悟は出来ているな?”


 作戦の総指揮を執るラゾウスは、数多くの部下の様子を覗った。


「大丈夫です。必ず手柄を挙げてみせます……」


 中でもジンは、かなり自信に満ち溢れた顔つきをしており、他の兵士達も、やる気は十分あるように見える。


“地球軍側、ウィリアムはどうだ?”


「こちらも確認を行ったが、全員問題は無さそうだ」


 艦隊のクルー達も闘志を燃やしており、いつ何が起きようと対処出来る状態になっていた。


“では、行くとしよう…”

「了解だ」


 こうして、ついにアルガス住居区奪還作戦が開始された。しかし、革命軍の部隊もまた、接近している事に勘付き、大至急戦闘態勢を整えていた。



 亮達はリントヴルム艦から発進し、意気揚々とアルガス前線基地へと駒を進めた。

 しかし、彼らを迎え撃つ者も当然ながらいる。


「隊長、来ましたよ!」


 兵士の一人は切羽詰まった顔つきで攻撃を仕掛ける。


「来たか地球軍! 今度こそ撃墜してくれる!」


 敵軍の兵士達は、亮達を撃墜しようと一気に接近して来る。


「落ちろよッ!」


 兵士の一人は、ビームライフルで素早い立ち回りで亮を狙い撃つ。


「スゲェ速さだ…。ならばスラスターを全開にして…」


 彼もまた、俊敏な動作で敵兵士を翻弄する。


「今だッ!!」


 即座にビームマシンガンを取り出し、光弾を連射する。


「ウワァッ! 脚のスラスターが利かねぇ…」

「トドメの一発だ!」


 光弾は機体の胸部に直撃し、簡単に粉砕される。


“亮! ここは私達も援護するよ”

「分かった、玲! 頼んだぜ」


 そして玲とリー、ジェフは、自らの銃でひたすら攻撃を仕掛けていき、亮と共に周りの敵を次々に薙ぎ倒す。

 だが、その様子を見てある者が接近して来る。


「エアブレイダーめ! 今度こそ撃墜してやる!」


 それは、新たな専用機・ワイバルドに乗ったアイザックであった。彼は血眼でジェフを執拗に狙う。


「コイツ……、俺を狙ってやがる! なら容赦しないぜ!」


 ジェフは即座にビームキャノンを取り出し、二本の光線を放つが、アイザックは巨大な盾で防ぐ。


「馬鹿めッ! このワイバルドはブレイダーシリーズの機体でも太刀打ち出来ないようになっている! それも知らずに攻撃して来るとはな…。馬鹿な輩どもだ。メイル、アヴィル、援護攻撃頼むぞ」

“了解……”


 そして革命軍の部隊は、凄まじい勢いで接近しながら一斉掃射を仕掛けていく。


「さぁ、喰らいなさい!!」

「これでどうだァッ!!」


 攻撃を喰らって、後方攻撃を行っていたWOLF(ウルフ)がピンチに陥る。


「まずいぞ! ならばバズーカ砲で攻撃を仕掛けるか……」

“了解!”


 マークは、より威力の高いビームバズーカで集中砲火を仕掛けながら、火星政府軍側と共に三方から囲む。


「おい、コイツらもしや……、俺達を囲むつもりか! でも無駄だ……。俺をなめてもらっちゃあ困るぜ」


 アイザックは、肩部の大型キャノン砲を展開し、後方にいた地球軍の戦艦に何度もビームを放つ。


「喰らえッ!」


 その威力は、艦の右側面の砲台を全て破壊するほどのものであった。

 さらに追い打ちをかけたのは、アヴィルとメイル達による掃射であった。


「早いところ降参したらどうだ?」


 アヴィルは自信に満ちた表情で戦艦の主砲を潰す。


「艦長! スティンガー艦から脱出しましょう……」

「いや、諦めん……。撃てッ! 残った砲台で敵を殲滅する……」


 地球軍のスティンガー艦は、左側面の副砲のみで攻撃を行い、アルガス基地の機動部隊を撃破していく。しかし、ブリッジの目の前にメイルが現れる。


「これで終わりよ!」


 ブリッジに光弾が放たれ、スティンガー艦は爆散し、残骸が落ちて地上に残る。


“でかしたぞメイル!”


 アイザックは嬉しそうな表情を見せた。


「少佐、ここからが正念場です」

“おっと、そうだったな……。まだ艦を一隻潰したのみ。油断は出来んな……”


 一転して眉をひそめるアイザック。


「えぇ、そうですね」


 しかし、メイルの元に銀色の機体が驚くべきスピードで接近して来た。


「これ以上はさせないよ!」

「あれは……、ソニックブレイダー!? 近づいて来るなんて、なかなかやるわね…」


 メイルはビームソードで彼女の攻撃を防ぐ。互いの剣の刃は激しく衝突し、どちらも一歩も譲らない状況であった。


「そうだ……、これで……、撃つ!」


 鍔迫り合いをしている間に、玲はビームガンを取り出し彼女の機体頭部を破壊する。


「しまった!! メインカメラがやられるなんて……。何て馬鹿なの……、私って……」


 実質戦闘不能になったメイルは、そのまま艦内へと帰還した。



 一方でアヴィルは、亮に接近戦で挑み、ビームソードを素早く取り回していた。

 何度も激しく剣の刃が当たっては離れての繰り返しで、もはや埒が明かない状態であった。


「なら、コイツで決めてやる!」


 亮は、ビームマシンガンでアヴィルの機体を狙い撃つが、すぐに躱されてしまう。


「無駄だ。こんな攻撃なんて、赤子の手を捻るぐらい簡単だぜ!」

「よし……、ならチャージモードを使うか……」


 即座に一束の光線を放つ亮。この攻撃を喰らったアヴィルの機体は左脚部を損傷し、逃げるにも満足に移動が出来ない状態であった。


「これで決める!」


 ついに亮は、伝家の宝刀とも言うべき武装である大型粒子砲でアヴィルに致命傷を与えた。


「そ、そんな……、この俺がァァッ!!」


 アヴィルは機体ごと光に巻き込まれて、一瞬にして塵と化した。



 その一方、アヴィルの死をたまたま目撃したアイザックは、衝撃を受けた。


「そんな……、アヴィルが死んだだと!?」


 ジェフと戦う中、彼はぶつけようが無い怒りをこの戦いで一気に燃やした。


「あいつの分まで、戦ってみせる!!」


 両脚部のミサイルポッドと、肩部のビームキャノンから激しい攻撃を繰り出すアイザック。この攻撃により、ジェフの機体は激しいダメージを喰らった。


“ジェフさん、大丈夫ですか!?”

「俺の事は気にするな……、リー!」

“でも、これだけ損傷が激しいと満足に戦えないですよ!”


 リーはこの様子を見て、援護射撃を始める。

 さらに、火星政府軍のガルード艦隊と地球政府軍のリントヴルム艦隊がますます接近し、革命軍の機動部隊は次々に殲滅されていく。


「おのれ……、よくも俺の仲間をやってくれたなァ!」


 アイザックは、ビームキャノンから凄まじい速さで攻撃を繰り出し、地球政府軍の後方支援部隊を撃墜していく。


「やめろッ! これ以上は好きにはさせないぜ!」


 リーはビームライフルを使い、光線を放ち、アイザックのビームキャノンを破壊する。


「しまった!! この俺としたことが……! お前も撃ち落としてやる!!」


 即座に攻撃を避けるリー。

 彼は勢い良く接近し、ビームソードでアイザックの機体右腕部を切断した。これによりアイザックは味方の艦の方へと敗走していった。



 しかし、まだアルガス基地にいる革命軍の艦隊は二隻撃墜されたのみで、まだ諦めてはいないようだった。


「主砲撃て!」


 革命軍の艦隊指揮官は、中央にいた地球軍と火星軍の混合艦隊を少しずつのペースではあるものの、沈没させていく。その最中、凄まじい勢いで左右双方から敵艦隊の集中砲火にさらされる。


「艦長、右方向から攻撃が!」

「艦を緊急回避させろ!」

「了解!」


 何とか避ける旗艦だったが、それを守るように囲んでいた味方の戦艦が矢継ぎ早に沈められていく。

 さらにそこに、ブレイダー隊やWOLF(ウルフ)、バルチャー隊も接近していく。


“亮、何としても革命軍の艦隊を潰していくぞ。攻撃が激しいエリアだから、上手く避けろよ”

「分かっています、マーク大佐」

“なら良いだろう”


 そして亮は、ビームマシンガンで敵の副砲を地道に潰していく。


「何という事だ……。このままでは沈むぞ!」

「分かっています! 何としても守らなくては」


 革命軍のブレイズ艦のクルーは、必死に拠点を守ろうともがく。


「よし、弾倉を替えて……、チャージモードに変える!」


 亮は、隙を狙って機銃を使い一束の稲妻にも似た光線を艦橋に撃ち放った。

 これにより、ブレイズ艦は一瞬にして巨大な鉄屑と化し、地上へと墜落した。



 やがて、地球軍と火星軍の連合艦隊は、ついに革命軍を追い詰めていく。

 しかし、それでも革命軍は負けじと応戦する。


「我々の力を思い知らせてやれ! サーチビーム砲、発射だ!」

「了解!」


 革命軍の旗艦から巨大なビームが発射され、それは湾曲して、地球軍の戦艦を一隻沈めた。


「何という事だ……。こちらもサーチビーム砲を使うしかあるまい! 撃てェッ!」


 リントヴルム艦の両側の主砲から、二束のビームが狙いを定めて革命軍の戦艦に直撃し、一瞬にして爆散する。


「そんな馬鹿な……。残りはこの艦のみとなったか。仕方あるまい……。降参せざるを得ないな」


 その直後、旗艦であるゼノン艦は降参を意味する信号弾を発射し、アルガス前線基地から立ち退く事を表明した。

 それから数時間後、革命軍の兵士達はアルガスから完全撤退する準備を始め、その区域は二日後には再び火星政府軍の元に戻った。



 戦闘が終了し、マルセニア基地へと戻った亮達は、すっかり疲れていた。

 そんな中で、亮の部屋にとある人物が入って来た。


「失礼するぞ」


 その声の主は、ジンであった。

 何故に彼が自分の部屋に来たのか、疑問に思った亮だったが、とりあえず彼を部屋に入れる。


「今回は上手くいったが……、次の作戦が成功するかは分からない。今度は俺と共に作戦を練ってみてはどうだ?」

「まぁ、いいですけど。でもどうして?」

「この前の戦いの中で、お前がかなり活躍していたのをラゾウス少将から聞いてな……。だからだ」

「分かりました。ひとまず、よろしくお願いします」


 亮とジンは、互いにしっかりと握手を交わした。彼らの協力により、戦争の早期終結への道が開けるのか。



 一方、火星革命軍では秘密裏に開発されていた超弩級MU(メタルユニット)・フォートロンの

テスト運用が始まっていた。


「さぁ、実験ナンバー02、シュトルム・ハウゼンよ……。このフォートロンの操縦を始めてくれ」

“分かりました、ドクターエルク”


 シュトルムは、ニヤリと笑みを浮かべていた。彼は操縦桿を握り、両足を動かして歩く。


「おお、いいぞいいぞ! 次は腕を動かせ!」

“了解…”


 さらに、フォートロンの巨大な両腕や手指が滑らかに動く。

 これを見て、エルクはこれが第三次大戦での最後の切り札になると確信した。


「次は首を動かせ……」

“はい……”


 フォートロンは首を左右に振り、不気味に頭部のモノアイが輝き続ける。


「よし……。機体の動作に異常は無いな。一旦降りろ」

“分かりました”


 そして、シュトルムは機体から降りてエルクの元に行く。


「お前がこれを操縦できるなら、03と04もできるだろうな……」

「あぁ、火星政府軍の連中から捕らえたバーンとアレンの事ですか。彼らも優秀ですからね……。我々が人類の新時代を切り開いてみせますよ……」

「是非ともそうしてくれ……」


 彼らがそのようなやり取りをする中、フォートロンの濃灰色のボディーが不気味に煌めく。


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