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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第38話 寒冷地最前線

 10月13日、火星革命軍はついに第二住居区・アルガスの前線基地を壊滅状態にまで追い詰め、三日後には区長がスパイ部隊の手によって暗殺され、残すは火星政府軍の本拠地マルセニアのみとなった。

 これにより、火星政府軍はより不利な状況下に陥る。このような危機に陥ったリザーグは、まさかの対応に出た。

 何とその内容は、地球政府軍との停戦協定及び和平交渉であった。

 このニュースは、世界中で波紋を呼んだ。

 一部の政治家は、何か裏があると思い込み、また一部のジャーナリストは、今更何をほざいているのだと頭を抱えた。

 両軍内では、この前代未聞の大事態に混乱。


 アメリカ政府軍長官・マーティンは今回の事態を受け、声明を発表した。


「現在、火星政府軍が我々とこの停戦協定を結び、最終的には和平交渉を行おうとしていることについては、否定はしない。彼らは現在革命軍の手により窮地に陥っているということだ。火星政府軍側は少なくとも我々の手を借りたいぐらいの事態になっているのは、現時点の情報を調査した限りだと事実のようである。よって、我々地球政府は火星政府と停戦協定を結ぶこととする」


 これをテレビ中継で見た世界中の人間は、ますます混乱し、メディアもこのニュースを追うことで手いっぱいであった。

 一部の国民は反対デモを行うが、保安部隊によって鎮圧が行われた。


「スタンリー警部、これでこちらのデモ隊の鎮圧は完了致しました。そちらはどうですか?」

“こっちはまだだ。早いとこ彼らの怒りを鎮めないとな”


 現場では張り詰めた空気が流れ、スタンリーたちも必死に対応する。



 その一方で、日本政府軍も基地復興作業の最中、このことを知り混乱する者も多く、ブレイダー隊地上班もこれに対し、多種多様な意見が飛び交っていた。


「四人共、今回の件はどう思う?」


 鎧は、停戦協定について疑問に思いつつも、他の隊員に意見を求めた。


「僕は、別にいいと思うけど…。火星政府軍が停戦協定を結ぼうとしているのなら、敵が減るからそれでいいんじゃないかな?」


 リックは少なくとも、肯定的な意見であった。


「これはあくまで私個人の意見なんだけど、火星政府軍は何か裏で企んでいるかもしれないわ……。

その陰謀を実現するために地球軍と手を結ぶんじゃないかしら……」


 アンナの意見は、聞く限りだとどうやら秘密裏に何らかの計画が動いているのではないかというものである。

 彼女はこの情報を知ってから、火星政府軍に対しますます懐疑的になっていたのだ。


「省吾は、どう考えているんだ?」

「そうですね……。僕なりの結論を出すとすれば、アンナの意見とほぼ同じと言っていいでしょうね。何かしらの計画が火星政府軍の連中によって組まれているのではないでしょうか。停戦協定を結んだ上で革命軍を殲滅したら、その手のひら返しに協定を破って我々を攻撃する……、という可能性がありますね」


 火星政府軍が、何か計画を練っているのだと推測する省吾。

 彼もまた、火星政府軍の動向を不自然だと思っていた。


「美奈はどう思っている?」

「私……、ですか? 私は火星政府軍が本当に助けを求めているに違いないと思っています。このチャンスを蹴ったりしたら、二度と平和的な解決が出来なくなると思います」


 美奈は、火星政府軍側の言う事を信じ、彼らと協力していこうとする意向を見せた。


「なるほど。様々な意見が出た訳だが、今はひとまず両軍の上層部の様子をじっくり覗うとしよう……」

「はい……。鎧さん、何で私達に意見を求めたのです?」


 美奈は、どこか不思議そうな面持ちで鎧の顔を見つめた。


「何故かって? それはもちろん、誰がどんな意見を持っているのか、ここでの事実上のリーダーとしてしっかり聞いておかなければと思ってな……」

「なるほど。そういう事だったんですね。頭の中のモヤが晴れたようで、スッキリしました」


 彼女は納得がいったのか、軽く表情を和ませる。


「まぁ、今後は火星政府軍の動向をよく見ておかなくてはならないな」

「確かに、僕達がどんな意見を言っても何か変わるかと言われたらそうでもないしね……」


 リックは椅子の背もたれに深くもたれかかる。彼らのこれからの戦いは、どう変化するのか。



 一方で、革命軍のグリィパー率いるグリムリーパー隊は、火星政府軍の停戦協定に驚きつつも、それを流して地球への降下作戦の計画を練っていた。


「では、今回の作戦はロシア政府軍シベリア基地を狙う事とする。現在世界中は、政府の停戦協定発表で混乱状態のはずだ。この混乱の最中を狙い、ロシア政府軍の拠点の一つを叩こうではないか。今なら、あの国を我が軍のものにすることができるだろう」

「少佐、今回はどのように攻撃を仕掛けるのです?」


 ガズベルは、興味津々な表情で答えを求めた。


「本作戦では、ナパームミサイルランチャーを使用し、基地内の施設を破壊していく……。だが、その前に敵機動部隊を手当たり次第に遠距離から詰めていって、挟み撃ちにして潰すつもりだ」

「なるほど、ご返答ありがとうございます」

「グリィパー隊長は、当作戦では総指揮を行うのですか?」


 気がかりな表情で訊くレリィナ。

 彼女は他の隊員以上にグリィパーを信頼している事もあり、そのことについて尚更気になっていた。


「うむ、その通りだ。他に質問がある者はいるか?」

「はい、やや気になることがあるのですが……」

「どうしたウィザルグ。何が気になっているんだ?」

「いや、最近我々の作戦が失敗続きなので……、もう少し作戦をしっかり練ってみては?」


 ウィザルグは最近の戦績に納得がいかず、悩んでいたのだ。


「ほう、面白いことを言うな……。では、作戦内容の調整を行うか。ウィザルグの意見を聞かせてもらおう」


 グリィパーは、口を綻ばせた。


「私個人の意見なのですが、遠距離攻撃の際は小型化に成功したメガキャノンを使ってみるのは

いかがでしょうか?」

「なるほど、他には?」

「挟み撃ちにする際は、三方から攻撃を仕掛けて見てはいかがかと…。そうすれば確実に敵を殲滅出来るでしょう」

「俺としたことが……。そんな簡単な事を忘れていたとはな。ありがとう、ウィザルグ。これで作戦はより完璧になった。では、早いところ作戦準備を行おう」

「分かりました……」


 こうして彼らは、整備ドックへと駆けていった。

 グリィパーの金色の眼が、不気味に輝く。



 それから数十時間が経過し、革命軍の艦隊はリントヴルム艦隊の航路を回避し、ついに地球圏へと接近。 

 これを受けて、攻撃目標だと推定されるシベリア基地は、厳戒態勢に入りに大包囲網を敷いた。その後、ブレイダー隊にもその事が伝達され、彼らも出撃することとなる。


「鎧さん、今回の作戦はどうする?」


 リックは輸送艦内に到着して早々、鎧と作戦会議を行おうとする。


「そうだな……。俺と省吾、美奈の三人、アンナとリックの二人に分かれて攻撃を行おう。実は今回、メガキャノンを用意しているんだが、これで始めに遠距離から攻撃を仕掛けていくつもりだ」

「なるほど……、で、次は?」


 アンナも立体地図を覗いて、鎧に対し返答を急かす。


「その次に、メガキャノンのエネルギーが切れてある程度チャージ出来るまでの間は、機銃を使い一斉掃射を行う。そして最終的には二方から攻めるつもりだが、ここでおかしいと思ったのもいるだろう。何しろ二、三機程度では戦力にならないからな。この作戦内容は、シベリア基地の部隊にも伝えてあるから現地の兵士の方々も理解しているはずだ」

「よく分かったわ。ありがとう。美奈と省吾も聞いてたかしら」

「えぇ、聞いていましたよ」

「僕もしっかり頭に入れておいたから、大丈夫!」


 二人は艦の操縦をしつつ、インカムを使ってしっかりと作戦内容を頭に入れているようである。


「お前達、作戦成功目指して頑張れよ……」


 後方から来たのは、SC-14の艦長・平本慶である。今までは他方面での仕事で忙しかったのだが、今回より本格的に指揮を行う事となった。


「平本艦長! 裏方での仕事は……」

「あぁ、それについては全て片付いたぞ。だから、今回からSC-14内で本格的に指揮をする。美奈も省吾も、よろしく頼むぞ」 

「はい、任せて下さい!」


 やがて、シベリアへと到着した五人だったが、外はかなり寒冷なため、出る前に厚着をしてから艦外へと出た。


「来たか……、シベリア基地に」


 鎧たちは緊張感に包まれた中、基地に入っていった。

 そこに、何人かの兵士が彼らを出迎えてくれた。


「よく来てくれた。私はクルイーク隊のリーダー、ガザム・ベルスキーだ。階級は少佐だ。今回はよろしく」

「私はブレイダー隊の上城鎧です。階級は少尉です。どうぞよろしく……」


 二人はしっかりと固く握手を交わした。


「さぁ、早速攻撃態勢に入ろう……。既に出撃している部隊も多いからな……」

「はい……」


 こうして彼らは、機体に乗り込んで革命軍との戦いに挑むのだった。



 鎧達が出撃する頃には、既に革命軍の艦隊が遥か上空に鎮座しており、攻撃の契機を覗っているようであった。


「よし、行くぞ皆!」

“了解、少佐!”


 グリィパー達は艦から降りて、早速メガキャノンを使って集中砲火を開始した。


「なんだいきなりィ! やられる!!」


 最も前方にいた小規模部隊は一瞬にして全滅してしまい、ガザムは思わず焦る。


「まずい……。味方がここまでやられるとは。ならば目には目を、歯には歯をってなぁ!」


 そしてガザム達もメガキャノンを使って攻撃を開始した。鎧達も同様の方法で攻撃し、次々に機体を撃破していく。


「くっ……、もっと早い段階でこれを使っていれば……。やられた味方の分まで頑張って行かなくてはな……」

“ガザム少佐、そろそろ二方向から挟み撃ちにしてみては?”


 鎧は焦燥に駆られながらも、作戦を早く進めようとする。


“鎧さん、焦ってるみたいだけど気を付けて!”

「分かっている……、それぐらいの事は……」

“上城少尉よ、焦りは時に隙を生む事を忘れるな……”

「貴方は……」

“私は、SC-14の艦長の平本慶だ。よろしく頼む”

「は、はい……」

“あまり焦るなよ……”

「分かりました……」


 鎧が腕を震わせながら、メガキャノンを放つ。


「しまったァァッ!!」


 敵の機体は、光線によって巻き込まれ、一瞬にして消滅した。


「よし……、アンナ、そっちはどうだ?」

“はい、こちらも順調に敵部隊を殲滅しています”


 彼女はゆとりを持った面持ちをしているように見えた。


「そうか、なら良い」


 その様子を窺って安心する鎧。

 彼は敵を掃滅をしながら突き進んで行くが、その最中に彼を妨害する者もいた。


「さぁ、どこからでも来い……」

「あれは…、グリムリーパー隊!?」


 巨大なビームサイスを持った機体を見て、鎧は即座にグリムリーパー隊だと判断し、足を踏ん張りながら彼らと戦闘を行う事を決意する。



 グリィパーのメガキャノンのエネルギーが切れた時、彼は三方からの挟み撃ちでの攻撃を行う事にした。


「さぁ、挟み撃ちにしてやろう……。ガズベル、ウィザルグ、レリィナ、準備はいいな?」

「了解……」


 三方から、徐々に革命軍の部隊は接近してトドメを刺そうと試みていた。


「鎧さん、これはまずい! 僕がナパームミサイルで敵を遠ざけるよ!」

“分かった、やって見せてくれ既に合流していたリックは焦りを感じながらも、今の状況を冷静に分析し、背面からナパームミサイルを放った”

「何だ何だ! 早く引き下がるぞ!」


 敵が後退するのに気を取られている隙に、ミサイルを発射するリック。これにより敵を四機も撃墜する事に成功する。


「やった! この調子で……」

“リック、油断するなよ……。ガザムは、勢いに乗ろうとしているリックに警戒心を持たせようとしている”

「その程度の事は十分知った上でやってます」

“なら大丈夫だな。俺も援護しよう……”


 ガザムは機銃で次々に迫り来る陸戦MU(メタルユニット)バルゾスを殲滅していく。

 しかしそこに、ガズベルがサイスを振り回しながら一気に近づいて来る。


「落ちろォォッ!!」

「何だ、コイツもグリムリーパー隊のヤツか!? ならば尚更油断できねぇな!」


 ガザムはビームソードを即座に取り出し、敵に挑んだ。


「これでどうだッ!」


 何とガザムは、ガズベルのビームサイスを真っ二つに切断し、使用不能なまでに追い込んだ。


「クソォッ、ならば遠距離から仕掛けるか……」


 機銃で掃射を行おうと試みるガズベル。

 だが、ガザムは果敢にも接近戦を行う。


「これで……、斬る!」


 何とガザムは、隙をついてガズベルの機体右腕部を切断した。


「くっ……、だがまだ終わらん!」


 ガズベルは右腕部を失ってもなお、攻撃を行う。

そこに鎧が驚くべきスピードで接近し、クナイをコックピットの部分に投げて突き刺した。


「グワァァッ!! そんな……、この俺が……」


 ガズベルは機体の爆発に巻き込まれて死亡した。それは一瞬の出来事であった。


「ガズベル! 何て事を……、許さん!」


 ウィザルグは、彼の仇と言わんばかりに猛攻を仕掛ける。


「何としても撃墜してやる……!」


 サイスを華麗に回転させながら近づいて来るウィザルグ。だが、そこにSC-14が接近し、集中砲火を浴びせる。


「よし、美奈……、準備はいいか?」


 念のために確認を取ろうとする省吾。


「もちろん大丈夫です」

「ならいい! 全弾発射!」


 さらに凄まじい火力の攻撃に、ウィザルグだけでなく、他の敵部隊も圧倒される。

 これにより、革命軍の部隊は十数機撃墜されるが、ウィザルグは何とか生還するが、機体の損傷が激しかったため、撤収した。



 一方でアンナは、レリィナと激闘を繰り広げていた。


「何て強いの……。さすがはエース級だけあるわね……」


 アンナはあまりの強さに怯みそうになるが、歯を食いしばり、ビームをひたすら放つ。


「遠距離からの攻撃は、いくらでも防御出来る事を知らないのかしら……? お馬鹿さんね」


 レリィナは余裕の笑みを浮かべつつ、攻撃を防ぐ。


「なかなか近づいて来ないわね。なら、こっちから!!」


 何とレリィナは、勢い良くビームサイスを振りかざし、アンナの機体右腕部を切断する。


「そんな!? なら、ビームライフルで……」


 隙を狙って、アンナは彼女の機体頭部にビームを何発も撃ち込んだ。


「キャアァッ!! メインカメラ使用不能!? これじゃ戦えないわ……。グリィパー少佐、撤収します……」

“分かった、気を付けて戻れ…”


 レリィナはやむなく撤収を余儀なくされるのだった。

 その後、アンナも機体の損傷が激しかったために艦内へと戻っていく。


 一方、グリィパーは鎧と一戦交えていた。しかし、その戦いは泥沼化していたのだ。


「何て動きだ……。避け方も上手い……」

「おのれアームドブレイダーめ……、破壊してくれる!」


 グリィパーはサイスを素早い動作で振り回した。


「何をッ! ならばクナイで……」


 鎧はクナイを二本投げるが、命中したのは一本のみであった。しかし、それでも打ちひしがれないのが鎧の精神である。


「刀で……、斬る!」


 二刀流でグリィパーに挑む鎧。彼は血気盛んに攻撃を繰り出していく。


「どうだッ!」

「そんな攻撃……、防いでやる!」


 互いの攻撃は防がれ、一歩も譲らない状態であったが、出力では鎧の方が一枚上手だったのか、グリィパーは押し切られて、後方へと弾き飛ばされる。


「そんな……、俺はまだ……」

「喰らえッ!」


 鎧は敵機の機体右腕部を切断し、ほぼ戦闘不能にし、グリィパーを撤収にまで追い込んだ。

こうして、戦闘は終わった。



 戦いが終わり、ガザム達との別れの時が来ることになる。


「五人とも、今回は手助けしてくれてありがとう。本当に助かったよ」


 ガザムは、鎧と強く握手を交わした。


「こちらこそ……。またいつか作戦を共に出来る事を祈っています」

「あぁ、俺もだよ。では、また会おう……」

「はい……」


 そして、鎧たちは日本へと帰還したのだった。彼らは疲れのあまり、艦内で眠りにつく。

 この戦いに、終止符が付くのもそう遅くはないのかもしれない。

 


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