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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
それぞれの戦い
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第35話 大死闘前線

 9月30日、リントヴルム艦隊は火星に向けて今尚駒を進めていた。

 その中で、亮たちは火星政府軍に打ち勝つべく、艦内の重力ブロックで訓練を積み重ねていた。


「98、99、100…、っと。ふぅ……。背筋運動はやっぱ疲れるなぁ……。でも、これは長期戦で体を痛めないためだし、仕方ないか。 三人共、トレーニングは終わったみたいだな」

「うん。私は下半身のトレーニングをしたよ。バーベルを持ってスクワット100回するのも当然だけど、全然楽じゃないね……」


 玲はヘトヘトになった表情で手を団扇代わりに扇いでいた。


「俺なんて、腹筋に胸筋、そのうえカーフレイズまでやったぞ。あんまり一つのトレーニングメニューに絞ると、アンバランスな体型になるしな」


 ジェフは元から軍隊だった事もあり、まだまだ余裕そうな面持ちであった。


「ジェフさん凄いっすねェ。俺なんてベンチプレス50回やるだけで体がボロボロですよ……。いくらでもいけるなんて言うもんじゃないっすね……」


 リーは、当初こそ大口を叩いていたようだが、既に満身創痍の状態になっていた。


「さぁ、トレーニングも終わったし、部屋に戻って休むか」

「そうだね。私も部屋に戻って好きなことしたいし!」

そして四人は、個室へと戻っていった。

   ︙

 トレーニングが終わり、一人でタブレットを使ってパソコン情報誌を読み漁っていた亮の元に、少し久しぶりのコスプレをした玲が来た。


「うへへへ……。どうよこれ!」


 玲は黒いゴスロリの衣装を身に纏っていた。


「玲! お前自分用のミシンもここに持ち込んでたのか……」

「まぁね、ってそうじゃなくてさ! これ合計で丸一日かけて作ったのよ。可愛いでしょ」

「あぁ、玲はどんな格好をしてても可愛いからな」

「えっ……」


 玲は思わず顔を真っ赤にして照れた。


「どうしたよ、玲……」

「い、いや、なんでもない」


 そして玲は、そのまま自分の部屋に戻っていった。



 一方、マークは自分のグレインを整備士数名と共に

大幅な改造を終え、まじまじとその新しい愛機を見ていた。


「両肩にビーム砲搭載、両腕両足にミサイルポッド、大型スナイパーライフルも装備と来たか。これでもう完璧だな。ありがとう、アディン。俺のグレインもここまで強化すれば十分に戦える」

「いえいえ、大佐。礼には及びませんよ。我々は当たり前の事をしたまでです」


 アディンは冷静な面構えをしている。


「これからも、何かあったときは頼りにしていいか?」

「もちろんですとも」


 軽く頷くアディン。それを見てマークも安心した。



 時を同じくして、ジン達3人は新たな仲間を迎え入れたヴェスタ小隊と共に奇襲作戦のための計画を練っていた。


「ジン、今回の作戦はどうするのかしら?」


 アシュリーはニヤリと笑みを浮かべながら、ジンの答えを待った。


「今回は俺達三人と……、おや? 見慣れぬ兵士がいるが、彼女たちは新入りか?」

「ええ、ジンには紹介してなかったわね。左にいるのがファリア、右にいるのがアルマよ。階級は二人共軍曹よ」


 アシュリーは右手で二人を指差した。


「今回はよろしくお願いします、ジン少佐」


 ファリアはにこやかな表情をしていた。


「私、ジン少佐と作戦を共に行動できて光栄です」


 アルマはジンの事を元々敬愛しており、軽く頷く。


「二人共よろしく……、おっと、本題に戻らなくてはな。今回の作戦は、俺達三人とアシュリー達五人で行う訳だが、まず、少しずつ遠距離射撃で敵を疲弊させて、状況に応じてジワジワと近づき、接近戦に挑むという訳だ。また、この際はグレネードで敵を撹乱することも忘れないようにしておこう……」

「なるほどね……、よく分かったわ」


 アシュリーは顔を縦に振った。


「ジン少佐、今回もなかなかいい作戦で……」

「ありがとう、アルカディー。それと、ラルフは何か意見はあるか?」

「はい、フォーメーションの方はどうすべきで?」

「それはだな、我々は三角錐を90度傾けたような形のフォーメーションで、ヴェスタ小隊の五人は五角錐を同じように傾けた形でやる事になっている」

「そうですか。ご返答ありがとうございます」


 ラルフは安心した面持ちをしていた。


「では、アシュリーの部下たちは他に聞くことはあるか?」

「いえ、私達はもう大丈夫です」


 ケイトは、静観しているかのような表情を見せる。


「そうか……。では、作戦内容を知った所で早く出撃準備に取り掛かろう」

「了解!」


 こうして彼らは、整備ドックへと足を運ぶのだった。



 その一方で、火星政府軍が近づいている事を知らないリントヴルム艦隊の兵士は、機体のメンテナンスを整備兵たちと共に行っていた。


「ここの配線を上手く繋がないとな……」


 亮は専用の器具を使い、機体の配線を繋ぐ作業を行っていた。


「装甲板を取り付けて……、っと。意外と様になってるな」


 リーは巨大な装甲板を溶接して取り付けている。

また、ジェフと玲はアディンと共に機体に異常が無いかどうか念入りに確かめていた。


「どこも異常は無さそうだな。玲はどうだ?」

「私の方も大丈夫そう。これなら十分に戦えそうね」

「そうか。なら安心だな」


 しかし、彼らが安堵するのも束の間、ついに火星政府軍の部隊がリントヴルム艦隊の攻撃範囲内に接近して来た。


“敵軍接近! 敵軍接近! 至急攻撃態勢に入れ”

「何!? 敵だと? なら仕方あるまい。行くぞ!」


 亮はすっかり覚悟を決めた面構えをしていた。


「了解!」


 こうしてついに、火星政府軍との戦闘が始まる。



 出撃直後に、亮はジェフやマーク達と共に行動をし、遠距離から一斉掃射を行った。


「喰らえェェッ!!」

「ウワァァッ!!」


 彼らは順調に敵部隊を撃墜していくが、

 突如として巨大な爆風が漆黒の宇宙に広がる。


「何だ……、撹乱作戦か?」


 ジェフは、突然の出来事に焦りを感じた。


「あれは……、ジンだ! 何としても今度は倒してやる!」

“よせ!”


 亮はビームブレードを構えて、接近しようとするが、ジェフはそれを静止させる。


「ジェフ、なんで止めるんだ!」

“近づいたら、アイツらの思う壺だ! 遠距離から攻撃を仕掛けよう。迂闊に近づいたら死ぬぞ”

「分かった……」


 そして彼らは、遠距離攻撃を続け、ジンを上手く牽制する。


「くっ、近づくにも近づけん…。こっちが近づくと奴らは遠ざかってしまう……」

“少佐、ここは私にお任せを……”

「アルカディー、いけるのか?」

 

 ジンはどこか訝しげな表情をした。


“はい、もちろんですとも……。さぁ、喰らわせてやりましょう!”


 そしてアルカディーは、全身に備わった火器をフルに使い集中砲火を喰らわせた。


「うぅ、何て火力なんだ……。アイツはジンの部下みたいだが、只者じゃ無さそうだな。なら、こっちもやってやろうじゃあないか!」


 ジェフも対抗し、自らの持つ全ての重火器を使いアルカディーに反撃を行う。これを受け、このままでは埒が明かないと悟ったジン達は、少しずつ近づきつつ攻撃をするようになる。


“亮、少しずつ近づいて来ているぞ! 気を付けろ!”


 マークは剣呑な状況に耐えかねて亮に注意喚起を行った。


「わかっています……。なら、これで!」


 亮は右腕の大型粒子砲で、ジンの周辺にいた敵を矢継ぎ早に撃墜していく。


「やるな、ロードブレイダーめ……。だが、お前の命運もここまでだ! マルチガンナー展開!」


 四基のマルチガンナーが、亮に目掛けて火を噴いていく。


「クソォ……、攻撃するにも、油断も隙もありゃしないな」


 亮は、激しい攻防戦にもがき苦しむ。


“亮、俺達もついているぞ! 負けるな!”


 マーク達もまた、ジンを倒すべく亮の援護射撃をしていた。


「マーク大佐! ありがとうございます! 何としてもやってやる! やってやるぞ!」


 亮はマルチガンナーの動きを見極め、その末にビームマシンガンで一基ずつ破壊していく。


「ま、まずいッ! ラルフ! 援護してくれ!」

“お任せを……、少佐!”



 ラルフは少し近づき、ビームライフルで攻撃を繰り出した。


「落ちろッ!」


 油断していたのか、亮はラルフの攻撃を喰らう。


「しまった……、被弾したか」

“機体右肩部、損傷アリ。警戒シテ下サイ”


 亮は緊迫し、歯を食いしばる。そしてそこから、ラルフに向けて銃撃を行う。


「これでどうだッ!!」

「グワァァッ! 右腕と左足に激しい損傷有りか。ジン少佐、私はここで撤収します……。何しろ機体の損傷が激しいので……」

“分かった。仕方あるまい。お前の分は、俺とアルカディーがフォローする”

「了解です、すみません」


 ラルフは、申し訳無さそうな面持ちをしてこの戦地を去っていった。

 その中でマーク達とジェフは、アルカディーを圧倒的火力で上手く翻弄していた。


「ジェイク中佐、マーク大佐! ジンの部下が攻撃を止めました。エネルギーを切らしたのでしょうか……」

“ジェフ、まだ奴は攻撃の契機を伺っているに過ぎない。接近戦はしない方がいいぞ”

「はい、でも、今がチャンスでは?」

“そうだな。よし、全弾発射だ!”


 そしてジェフ達は無数の光弾を放ち、アルカディーの機体を戦闘困難になる程のダメージを与え、撤収させることに成功した。ついに残るはジン一人となり、亮と一騎打ちを行っていた。


「おのれ…、おのれェェッ!!」

 

 ジンは眼を血走らせて自らの剣を素早く取り回し、亮を狙う。


「やはり接近戦に持ち込むのは無茶だったか……。でも、こんなとこで負けるわけにはいかねぇんだ!」


 亮は自らの大剣を大きく何度も振りかぶり、ウィンゲルドを撃墜しようとするが、上手く避けられ、焦燥に駆られていた。


「ロードブレイダー、落ちろ!」


 即座にジンは、剣をしまって機銃で光弾を何発も放った。


「そんな急には……、うわァァッ!!」


 盾で防いだものの、攻撃に耐えきれず破損する。


「やらせるかよォッ!!」


 亮は、勢いよく近づいて大剣でウィンゲルドの右腕を切り落とし、ジンの戦意を喪失させた。


「あぁッ、俺の腕が斬られた……。利き腕をやられてしまっては仕方あるまい。心惜しいが撤収しよう」


 そして、ジンはガルード艦へと戻っていくのだった。


「ふぅ、何とかやり過ごしたぜ……。ジェフ、マーク大佐、それにWOLF(ウルフ)の隊員の皆さん! 早く玲とリー達の戦っているエリアに向かいましょう」

“分かった。では行くとしよう……”


 そして彼らは、別の戦地へと向かう。



 一方で、玲とリー、バルチャー隊らはヴェスタ小隊と一戦交えていた。間合いを取りつつも、どちらも一歩も譲らない戦いとなっていた。


「何て強いの……。噂では聞いてたけど、さすがは

“閃光の女神(フラッシュ・ガデス)”の名は伊達じゃないわね……」


 玲はここに来て、かなり疲弊状態に陥っていた。


“玲さん! 疲れに負けないで下さい!”

「リー、でも私は……」

“全員で生き残って地球に帰るんじゃなかったんですか!? そんな弱音を吐いてる玲さんの姿を、鎧さんが見たら悲しみますよ!”


 その時、思わず玲は我に返った。まだ、地球には帰りを待つ仲間がいることを。

 さらにその中には、恋仲になった鎧もいる。

 我に返った玲は、戦意を取り戻してアシュリーに猛反撃を仕掛けた。


「ここで……、ここで負けてたまるもんですかァッ!!」


 玲はツインバズーカでアシュリーを狙い撃つ。


「ここに来て攻撃が激しくなってきたじゃあないの! でも私は倒されはしないわ! ケイト、援護して!」

“了解です”


 冷静な面構えで、ケイトは機銃を玲に目掛けて連射した。


「アシュリー隊長の邪魔はさせないですよ……」


 それを運悪く喰らった玲は、バックパックに異常をきたした。


「あっ! スピードが思うように出ない……。でも、的確に狙い撃てば問題は無いわ」


 玲は焦りを隠しつつも戦闘を続け、ツインバズーカで凄まじい威力のビームを放った。


「喰らいなさいッ!!」

「まだやるつもり? キャアァァッ!!」


 アシュリーは盾を破壊されたが、果敢にも接近戦に挑む。


「私はまだ負けない! えぇいッ!!」

「近づいて来た……。そのうえ、もう一機も攻撃して来てる……。でも、まだ終わらせないわ!」


 玲は咄嗟にビームソードで攻撃を何とか受け止めた。

 機体の性能をフルに発揮出来ないにも関わらず、彼女はかなり奮闘する。

 そして、さらに加勢したのは、ファリアやアルマを何とか撤収に追い込んだリーであった。


「玲さん! 俺も手伝いますよ!」

“ありがとう、リー!”


 さらにその後方では、アルフレッド達が援護射撃を行っている。


「ミア! 早くソニックブレイダーを倒さないと厄介な事になるに違いないわ! 援護頼んだわよ!」

“分かりました!”


 ミアもまた、援護射撃を行いつつジワジワと距離を詰め寄っていく。

 アルフレッド達はそれに適応するように上手く間合いを取る。


「よし……、そこだッ!!」

「キャアァッ! これ以上喰らったらやられるわ……。アシュリー少佐、撤収させて頂きます……」

“分かったわ。流れ弾に気を付けなさい……”

「はい……」


 隙を狙い、ミアの弱点を狙ったアルフレッドは、彼女を撤収にまで追い込むことに成功した。


「ケイト! そっちはどうかしら?」

“私は敵機を三機ほど撃墜しました。このまま隊長機も撃墜しようと……、あっ、まずい!”


 その時、ケイトはリーの斬撃を防いだものの、弾き飛ばされてしまっていた。そしてリーは、さらに猛反撃に出る事となる。


「これでもまだやられないかッ!」

「あぁッ!! 左腕がッ!!」


 ケイトは防ぐ手段を無くし、逃げ惑いながらも機銃でリーを狙い撃つ。


「なんてしぶとい奴……。これでもか!」


 彼女の会心の一撃を喰らい、リーは一時的に怯んでしまう。


「トドメよ!」


 リーが命の危機を感じたその時、どこからともなく

一発の光弾が彼女を襲った。


「何よ! まだ邪魔者がいるとでも……、あっ!!」


 そこにいたのは、亮とジェフ、そしてマーク率いるWOLF(ウルフ)であった。


「亮さん! 来てくれたんですね!」

“俺達も加勢するぜ! 後は任せな!”

「はい!」


 それを見たケイトは、戦意を高揚させようと一旦ヘルメットを脱ぎ自らの頬を叩いた。

 そして、再び操縦桿を握るが、健闘も虚しく亮達の一斉掃射を喰らい戦闘不能となってしまい、撤収を余儀なくされた。

 さらに時を同じくして、玲はアシュリーと死闘を繰り広げていた。


「バズーカのエネルギーが切れた……。なら、ビームガンでやるしかないわね!」


 玲は二丁の銃を連射し、アシュリーを上手く牽制する。


「くっ……、なかなか近づくにも近づけないわ。ビームライフルで……、撃つ!!」


 アシュリーは光弾を放つが、間一髪で玲によって避けられる。


「トドメの一発!!」


 その時、玲の光弾を右腕に喰らったアシュリーは、攻撃手段を失い、事実上敗北となった。その後、火星政府軍は撤収しこの戦いは終結する。



 戦いが終わり、亮達四人はゆっくり休んでいた。


「玲、疲れたな……」

「そうだね。あっ、そういえばこれ! ホットアイマスクあるけど、亮も使う?」

「おっ、助かるじゃないか」


 そして二人はアイマスクを付けて、久々に二人で一緒に眠りについた。



 一方、ジェフとリーは、体を癒やすためにシャワールームで全身を洗っていたが、なんと二人は奇しくも隣同士の部屋にいたのだった。


「あれ……、なんか聞いたことある声だと思ったらジェフさんじゃないですか!」

「おお、リーもシャワーを浴びてたのか」


 二人は、軽くシャワーで体を洗い流しながら壁越しではあるものの、話に花を咲かせるのだった。



 その一方、革命軍親衛隊GHOST(ゴースト)の隊長・アンフォーンは地球軍全滅計画を企てており、その第一段階として、まずはブレイダー隊のいる日本政府軍基地を狙う事にしていた。


「さて……、始めようじゃあないか。ブレイダー隊の連中を皆殺しにする作戦を……」


 ニヤリと不敵な笑みを浮かべるアンフォーン。

 彼の作戦は思惑通りに行くのか。

 窓越しの漆黒の宇宙に、星が輝くのを見つつ、アンフォーンは自分で考案した作戦に陶酔するのだった。

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