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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
火星革命軍の襲来
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第28話 旅立ちの時

 8月2日、亮と玲、ジェフ、リーの4人は江川から突如として召集がかかった。

 その内容は、リントヴルム艦隊のクルーとしての参加についてだった。


「君たちには、9月1日からはリントヴルム艦隊のクルーになって戦ってもらいたい……。その為に、まずは8月17日にアメリカ政府軍基地へ向かって貰う」

「えっ、リントヴルム艦隊というと、火星政府軍に総攻撃を行う予定の……」

「その通りだ、亮。アメリカ政府軍長官のマーティン氏がこちらに来ないかと呼んでいるのだが……」


 それを聞いて、4人は思わず戸惑っていた。


「でも、いきなり宇宙空間での戦闘を行えって言われたって困りますよ……。確かに以前俺達はその為の訓練はしましたけど…。いきなりそこに行くだなんて。ちょっと無理矢理過ぎません?」


 ジェフはいきなり他の仲間から引き離されるのが嫌だったのか、少し辛そうな表情をしていた。


「君たちの気持ちもよく分かるが、これは仕方無い事なんだ……。どうか頼む……」

「分かりました。そこまで言われてしまっては仕方無いですね……。参加しましょう……」

「ちょっと亮さん、アンタいいのかよ! 今まで戦ってきた仲間から引き離されるなんて……」


 リーは苛立ちを隠せずにいた。


「リー、こればっかりは命令だから仕方無いよ」

「玲さんもですか? うぅ…、仕方無い、江川長官が言うんだったら、参加してやりますよ!」

「お前ら三人がやるんだったら、俺も参加しなきゃな……」

「本当に済まない、君たち……。頼んだぞ」

「了解」


 こうして彼らは、宇宙へ旅立つ事を決意したのだった。



 そして、談話室で話していたリックや鎧達は、亮達と会い、彼らの今後の話を聞いた。

 この事を聞いて、鎧達は思わず驚かざるを得なかった。


「お前達……、本当にリントヴルム艦隊のクルーになるんだな……?」


 鎧は何か悪い冗談かと思っていたが、事実を受け入れて口を固く結んだ。


「鎧さん、せっかく私たち相思相愛になれたと思ったのに……」

「玲……、俺も本当に寂しいぞ。これからの残りの期間を大事に過ごそう。必ず大戦が終わったら、帰ってきてくれよ……」

「もちろんだよ、鎧さん!」


 玲は彼に向けて笑顔でサムズアップをして見せた。


「俺も必ず生きて帰るぜ! だろ? 亮……」

「あ、ああ……。そうだな、ジェフ」


 亮はその時、あまり自信のなさそうな表情をしており、ジェフ達は心配に思う。


「亮、アンタはリーダーだろ! もっと自信持たないと」

「リー、お前の気持ちもよく分かる……。でもよぉ、宇宙では、恐らく今まで経験してきた以上に過酷な戦いが待っているかもしれないんだぞ! それでも……、それでも胸張って言えるかよ」


 リーは何か言いたそうな顔をしていたが、言葉を渋る。


「とにかく、俺達は宇宙に行かざるを得なくなった……。だから、その時が来たら頼んだぞ……」

「分かった……、亮……」


 鎧は、いずれ来るしばしの別れを哀しみながらも亮たちの意思を汲み取った。



 その一方で、火星革命軍では人体実験が行われていた。

 そこには怪しげな巨大な生体カプセルや、様々な実験用の機器などが並んでいる。


「さて……、この二人を改造生命体にするわけだが……。デイブ君……、私の考えたプラン通りに頼むよ」


 科学者のエルク・ディザーンは、部下のデイブ達と共に改造手術をしようと企んでいた。


「それはもちろん分かっております。それに、実験ナンバー03と04は、なかなかに良質な個体ですよ。戦果もかなり期待できるでしょうね……」


 デイブはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。


「こいつ等は元々火星政府軍の兵士だったようだな。そいつらを捕虜にした上でコールドスリープ状態にしている。そして、こいつら以外にも改造生命体をもう一人用意しているが……」

「ああ、この前の実験ナンバー02のことですね。彼は01と違って優秀な個体だったので、あの二人と組ませれば敵はいないと言ってもいいでしょう」

「完成が楽しみだな、デイブ……」

「そうですね、ドクターエルク……」


 一方、グリィパー率いるグリムリーパー隊の4人は火星政府軍の前線基地襲撃に成功し、次の地球降下作戦に向けて計画を練っていた。


「さて……、今回のターゲットはアメリカ政府軍で秘密裏に開発したとされている大型戦艦だ……。これを破壊し、地球政府軍の作戦を妨害するのが主な目的というわけだが、それを行うのは、その新型艦の進宙式が実施される、9月1日だ。まだ先じゃないかと思う者もいるだろうが、これは上官からの命令だから仕方無い。まぁ、それはそうと何か案を出せる者はいるか?」


 一瞬の沈黙を破ったのは、ウィザルグであった。

 その時の彼の表情は、とても自信に満ちており、よほど良い案だろうとグリィパーは期待する。


「私の考えは、無理に圧倒的火力でねじ伏せるのではなく、1機のMU(メタルユニット)を包囲して、我々4人で攻撃するというものです。効率性には欠けると思いますが、これなら確実に撃墜できるでしょう……」

「なるほど……。それはいい考えだ。あえて一対一で戦わないのは多少卑怯な気もするが、戦いに勝つためなら仕方無いだろう…。レリィナとガズベルはどう思う?」

「私もウィザルグ大尉の意見に賛成です……」


 彼女はニヤリと笑みを浮かべた。


「私も賛成であります!」


 ガズベルは、ウィザルグの案が合点のいくものだと感じて頷く。


「二人も賛成のようだな……。包囲攻撃作戦を何としても成功させてやろうじゃないか!」

「はいッ! グリィパー少佐!」


 彼らは、意気揚々とした面持ちで敬礼をした。



 8月8日、ブレイダー隊の中で地球を一旦去ることとなった亮たち四人のことを考えて、鎧たちは何か出来る事は無いかと考えていた。

 そんな中、玲は鎧たちと一度別れなければいけないという事こそ分かっていたものの、その日が迫る事を受け入れられず、悲しみのあまりに涙を流していた。


「やだよ、リックや鎧さんたちと離れ離れにはなりたくないよ……、うっ……、うっ……。一時的とはいっても、二度と戻れなくなる可能性だってあるのに……。嫌だ……」


 彼女が悲しんでいると、部屋にとある人物が入ってきた。


「玲……、大丈夫か? 最近元気が無いと思って来たんだが……。そりゃあ泣きたくもなるだろう……」


 そこに姿を現したのは、鎧であった。


「鎧さん、私、別れたくないよ……」

「大丈夫だ。自分を信じるんだ。生きて帰ると心の底から祈っていれば、必ずまた会えるさ……」


 鎧は、彼女の手を取り目を閉じた。


「ありがとう鎧さん……、ここを離れるのはもう少し先になるけど、その日が来ても、ずっと心の中で生きて帰ると祈りながら頑張るよ……」

「あぁ、しっかりと頑張るんだ……、玲……」


 二人は、お互いのこれからの事を考えながら強く抱き合った。

 いつか来る別れの時を受け入れた玲は、自分が今までよりも精神的に強くなれたと思い、泣くことをやめる。



 その一方で亮は、美奈と共に談話室でコーヒーを飲みつつ話していた。

 亮は既に荷物をまとめ終えており、一応自分なりに覚悟を決めてはいたものの、どこか落ち着かない様子であった。


「亮さん、最近落ち着いてないようですが、どうしたんです?」

「え? いや、なんでもないって……」


 彼は無理に、不安な思いを押し込もうとする。


「なんでもない? とてもそんな様子では無さそうですがね。無理して自分一人で抱えこもうとしないで下さいよ! 正直な話をお願いします!」

「わかった……、わかったよ。本当の事を言うからよ。俺、心配なんだ……。玲の事が……」

「玲さんの事……? でも、亮さんは玲さんと一緒にリントヴルム艦隊のクルーになるんですよね……」

「そういうことじゃない。俺は、玲が鎧さんから引き離された後、どうなるのかが心配なんだ!」


 亮はその後、少しの間黙る。


「なるほど……。確か……、あの二人は最近恋人同士になったみたいですからね。突然引き離されたら、玲さんも悲しむのは想像がつきますが……。あっ! そういえば……、ここ数日、玲さんの元気が無さそうだったのは、そういうことでしたか」

「その通り! あいつは俺の妹って事もあるから、尚更心配なんだよ……。何しろ玲は、たまに感情的になることも昔あったし……」


 二人が会話をしていると、そこに玲が通りかかった。


「あっ……、玲! 鎧さんの件についてだけど……、大丈夫なのか?」


 亮は真っ先に彼女の元に駆け寄った。


「うん……、おかげさまでね! もう心配しなくていいよ。解決したから」


 彼は、鎧が解決してくれたことを察し、安堵する。


「良かった……。これで心残りは無いみたいだな……」

「もちろん!」


 玲は、屈託のない笑顔で明るく笑ってみせた。



 また、その一方でジェフとリーは、自分たちの部屋の荷物をまとめていた。


「よし、これで荷物は全部だな……」


 ジェフは何とか作業を終え、タオルで汗を拭う。


「俺も終わりましたよ……。もう覚悟は出来てますけど、ジェフさんはどうなんですか?」

「もちろん出来てるに決まってんだろ」

「そうですか。まぁ、戦う場所が違うとはいえ、今後も基本的には同じことをやりますからね」


 二人が会話をしていると、そこにリック達が近寄った。


「二人共、いよいよアメリカに行くんだね……。頑張ってきてくれよ」


 リックはやや悲しげな表情をしていたものの、新たな門出を祝っているようにも見える。


「わかったぜ、リック…。必ず生きて帰るからよ!」


 ジェフは、自信に満ちた顔をしていた。

 それを見て、リックは安堵する。


「リックさん、アンナ、省吾、心配することはねぇって! 俺達は必ず生きて帰ってやるからよォ!」


 リーは、心配する彼らに笑ってみせた。


「その約束、必ず果たしてくれよ……。二人共!」


 リックはジェフに手を差し伸べ、お互いに握手を交わす。

 その後、亮と玲にも同様の約束を交わした。


 そしてついに、しばしの別れの時が来た。

 日本政府軍から選抜された部隊の隊員の中には、涙を流しながら別れる事を悲しむ者もいたが、ブレイダー隊の中で選ばれた四人は、覚悟を決め、どこか誇らしげな表情をして、リック達に敬礼をする。


「行ってくるぜ、皆……。必ず……、必ずまた会おうな!」


 亮は、指先が震えていたものの、自分の感情を抑えていた。


「必ずですよ! 亮さん! あっ、それと……、私からはこれを……」


 美奈は、亮にある物を渡した。


「なんだい、これは……」

「これは、私たちからの贈り物です。このお守りを持っていれば、またお互いに、必ず巡り会えるといわれています。どうか……、これを大切に持っていて下さいね。何としても、ここに帰って来て下さい……」

「わかったぜ、美奈……。じゃあ、必ず全員揃った状態で会おう!」

「了解!」


 こうして彼らは、本格的な宇宙空間での戦闘訓練を行うためにアメリカへと旅立った。

 その別れの時は、まだ全ての終わりではないと彼らだけでなく、他の兵士達も祈っていた。

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