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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
火星革命軍の襲来
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第25話 己をより強く……

 6月10日、火星政府軍が革命軍防衛艦隊と交戦するも、敗北を喫することとなる。

 この事から一念発起させられたリザーグは、新型量産メタルユニットであるソーディックを完成させるべく、開発を急ぐように指示を行った。

   

 それから、特に戦闘が勃発することなく二週間が経過し、ついにソーディックのテスト機を四機完成させ、初の実戦配備として革命軍の前線基地襲撃作戦に導入。

 結果は成功に終わり、機体の高性能ぶりを発揮させることが出来た。


「リザーグ長官、今回の作戦は成功です。ソーディックの開発を急いだ甲斐がありましたね」

「うむ。もしもあの襲撃作戦の時にこれが完成していなかったら、苦戦を強いられていただろうな……」


 リザーグは、顎に手を当てて目を閉じる。


「確かにそうですね。この作戦で指揮を執っていた兵士から貰った戦闘データによると、ソーディックが配備された部隊の撃墜率がかなり高かった様ですからね」

「なるほど。これでいかに我が軍の新型機の性能の良さがよく分かったな。このまま本格的に量産化を行うとしようじゃないか」


 リザーグは自分の思惑通りにいったこともあり、とてもにこやかな表情をしていた。



 その一方で、地球政府軍は革命軍及び火星政府軍を殲滅する為の宇宙機動艦隊編成を行っていた。

 また、その機動艦隊の旗艦となる、リントヴルムの開発が数カ月前から密かに行われていたのだ。

 そして、その艦載機であるメタルユニットであるグレインもまた、同時期に開発が行われ、あとは量産化を待つのみとなっている。グレインの開発を担うのは、イタリアの兵器開発企業であるアクイラ社であり、テスト運用も完了していた。


「レオナルド社長、イタリア政府軍との取引が上手く行きそうです」

「そうだな。これで我々も軍需産業のお陰でいい思いが出来るというわけだ。これで他のライバル企業の連中はどんな顔をすることか……」


 レオナルドは、他の企業を見下すかのように笑っている。


「これで我が社も安泰ですね、社長!」

「うむ、この上なく完璧なまでに取引が上手くいけば十分だな!」


 彼らは、とても自信満々な表情を見せた。



 一方、ブレイダー隊は2組に分かれて訓練をしており、亮、鎧、リー、省吾の4人は戦闘演習に参加し、どのように攻撃すべきか試行錯誤していた。


「あの、亮さん……、これって僕達が参加する必要あるんでしょうか?」


 省吾はやや懐疑的な顔をしていた。


「それがあるんだよなぁ、これが。一応、非戦闘員でも万一に備えて自分で戦う訓練はしないと後々困るみたいだしな」

「そうですか……。なら、仕方ないですね」

「亮さん、僕、足手まといにならないように頑張りますから……」

「省吾、そんな緊張すんなって! しっかり戦ってくれればそれでいいんだよ」


 亮は落ち着いた表情をしていた。


「お前ら、戦闘演習を始めるから至急準備をしろ!」

「了解!」


 そして、戦闘演習が開始。

 肝心の内容は、亮達が訓練用のラザックに乗り、人工知能を搭載した無人メタルユニットであるスカリアと戦闘を行うというものである。


「やっぱ慣れてないラザックだと扱いづらいか!?」


 亮は、普段扱っているロードブレイダーに搭乗している時との感覚の違いに違和感を覚えた。


“そうだな……。やはりいかんせん性能が違うからな……”


 鎧もまた、アームドブレイダーとラザックとの感覚の違いを実感していた。


“来ましたよ、亮さん!”


 突然、省吾からの通信が入った。


「分かった! よし、このビームライフルで……」


 亮は近づいて来た無人機を即座に狙い撃つ。


“直撃シマシタ。機能ヲ一時停止シマス”

「よし!」

“亮さん、背後からも来てるぜ!”


 リーが焦り気味な表情で敵に攻撃を仕掛けた。


「リー、援護してくれてありがとう!」


“礼には及ばないですよ。それと、まだ敵はいるんで油断しないで下さいよ!”

「それ位分かっているさ」


 通信をしながらも亮は、近づいて来た敵機に体当たりを喰らわせた。


“亮、まだ無人機がいるぞ! 油断するんじゃあないぞ!”

「任せとけって!」


 亮と鎧は、背中合わせになってお互いの自らの機銃で残りの敵を殲滅させた。


「よし、これで一段落したな」


 こうして、訓練は終了し、亮達は部屋に戻って行く。



 その一方で、ジェフ達三人は将来のことが想定された宇宙空間での戦闘訓練を行っていた。

 訓練内容は、バーチャル空間の中で完全再現された疑似宇宙空間で、制限時間内に何機敵を撃ち落とせるかを競うものとなっている。

 ジェフ達は、慣れない無重力状態での訓練に悪戦苦闘していた。


「無重力の中じゃ、結構敵を狙うのも難しいな……。でも、操作自体は分かってきたぜ」


 しかし、次第に独特の操作感覚に慣れてきたのか、上手く宇宙空間の中を動けるようになる。


「そこだっ!」


 ジェフは標準を上手くターゲットに合わせ、敵を次々に撃墜していった。


“訓練終了。結果ハ14機撃墜デス”

「よっしゃあ!」

「やるじゃん、ジェフ! 私でも10機が限界だったのに……」

「私も負けてられませんね……。今度は私の番ですよ!」


 そして、意気揚々とアンナはバーチャル訓練用マシンの中へと入っていった。


“訓練ヲ開始シマス”

「うわっ、やはり地上とは一味も二味も感覚が違いますね」


 ふわりとした無重力の空間特有の操作感覚に、アンナは驚きながらも上手く操縦しようと孤軍奮闘する。


「敵が来ましたね……。そこッ!!」


 光弾を放つも、運悪く躱されてしまった。しかし、それでも彼女は諦めずに敵に狙いを定めた。


「これでどうッ!?」


 彼女は光弾を放ち、見事敵に攻撃を命中させる。やがて、少しずつコツを掴んでいったのか、この後次々に敵が現れる中、一部の敵は逃すも大半は撃墜に成功した。


“訓練終了。結果ハ9機撃墜デス”


 マシンを降りて、アンナは一息ついた。


「アンナ、この調子で俺達の記録を越えられるように頑張れよ!」

「はい、ジェフさん!」


 彼女は満面の笑みを見せる。



 一方でリックと美奈は、戦略計画演習を行っていた。

 その中で、美奈は再びとある人物と再会した。


「あれっ、貴方は……」


 そこにいたのは、以前の演習で行動を共にした大介であった。


「おお、美奈じゃないか。確かブレイダー隊に転属になったんだって? それにしてもまた一緒になるとはな……。またよろしく頼むぜ」

「分かりました」

「2人共、知り合いかい?」


 リックは、初めて見る大介と美奈が会話を交わす様子を見て、不思議そうな表情をした。


「はい、こちらは中島大介さんといって、私が以前の演習で協力した方なんです」

「そうだったのか。大介さん、よろしく」

「あぁ、よろしく」


 二人は、握手を交わした。


「あっ、早く計画を立てないと相手に負けるからこっちもしっかり考えないとな……」

「そうですね……」


 そして、三人は試行錯誤しながらも約30分もの間、作戦内容についてじっくりと話し合う。


「とりあえず今回は、敵を囲んだ上で集中砲火を浴びせて倒す……、といったところでしょうか」


 美奈は自信無さげな面持ちであった。


「しかし、囲む前に倒されたら一巻の終わりだよ……。そこでまずは、包囲する前に移動しながら掃射を行って、それから取り囲むというのはどうだろう?」


 リックは自分なりに美奈の案を改善した。


「まだそれじゃ弱いぞ……」

「えっ!?」


 二人は、大介の発言に思わず唖然とした。


「移動時は防御態勢になりつつ銃撃戦を行い、さらに囲む前にV字フォーメーションになる。その次に後方の二人が、センターの一人が遠距離攻撃をしている間に斬りかかり、それでも撃破出来なければ囲んで倒す……、というのはどうだ?」


 大介はとても得意げな表情をしていた。


「なるほど。それなら完璧に敵を倒せる……。大介君、いい考えをありがとう」

「どういたしまして。まぁ、やれる事はやってみよう……。おっ、そろそろ時間だ」


 そして三人は、対戦相手と対峙し、どちらの作戦が優れているか、勝負を始めた。


「宮元は、以前あの平井少尉をこの演習で打ち負かした……。油断は禁物だぞ……」


 兵士の一人は、彼女に畏怖の意を表しながらも負けてはならないと歯を食いしばった。

 そして、対戦が本格的に開始し、自動的に事前に組んだ作戦プログラムを元に駒が動いた。


「よし、まずは以前火星軍がやっていた撹乱作戦で……」


 相手の部隊は煙幕弾を発射した上で、一時的に駒の行動を止める。

 しかし、彼らの想定よりも早く、リック達のチームが行動を再開したことで、ここから快進撃が始まる。


「よし、ここでV字フォーメーションで進んで……、行けェッ!!」


 大介は作戦成功を心から強く祈った。


「ゲッ!? こいつらなかなかやらしい動きをしてくるじゃあないか…。これは流石に想定してなかったな」


 やがて、対戦相手の駒はリック達の工夫を凝らした一斉攻撃によって殲滅。

 見事勝利へと導くことが出来たのだった。


「よし、勝ったぞ!」


 リック達は作戦を成功させ、喜び合った。


「アイツらやるな……。今度は負けねぇからな」

「こっちだって負けませんよ!」


 両チームは、互いに敬礼をした。



 それから数時間後、イタリア・コルシカ島にある沿岸前線基地が火星革命軍の手によって襲撃され、戦力の四割を失うという大きな痛手を負った。

 これを受け、翌日に急遽イタリア本土から戦力を補填し、次の攻撃に備えるべく、世界中から特殊部隊を召集することを決定した。


「諸君、集まってくれたのは他でもない。昨日、イタリアのコルシカ島にある沿岸基地襲撃事件の

話は聞いているな?」

「勿論ですとも。しかし、ニュースの内容を見る限りだと、かなりの数の犠牲者が出たそうですね」


 亮は、先程見たニュースの映像を見て驚嘆していた。


「よく分かっているな、亮。革命軍のあれだけの攻撃によって犠牲となった人々の仇を取るために、何としても革命軍の機動部隊を殲滅してくれ」

「はい、江川長官……」


 亮は心の中で、平和への道を切り開こうと決意した。


「現地に向かってもらうのは明後日だ。それまでに、念入りに心身共に準備をするように。任せたぞ、皆」

「了解!」


 その日の夜、亮は整備士数名との協力の上でロードブレイダーの強化を行うことになっており、整備ドックで疲れながらも完成を目標に努力していた。


「山田さん、この大型粒子砲は右腕に取り付けて下さい」

「了解! これぐらい余裕さ!」


 山田はロボットアームを操作して、武装を機体右腕部にドッキングさせた。


「俺のこの強化プランは、少々無理があるが、何としてもコルシカ島での戦闘で貢献するためにコイツを完成させないとな……」

「亮、脚部のスラスター増設はちと時間がかかりそうだ! それでもいいか?」

「構いませんよ、金子さん。脚部は複雑な構造になってますから、気をつけて下さい。あと、この部分は俺も手伝うんで……」

「分かった。じゃあ一緒にやろう」

「はい」


 このロードブレイダーの改造は深夜にまで及び、終わったのは午前2時であった。

 改造終了時、既に亮は満身創痍の状態となっていた。


「うぅ、眠い眠い……」


 フラフラと足元もおぼつかない状態だったが、何とか自力で自分の部屋に戻り、ぐっすり眠ったのだった。

 彼の努力は報われるのだろうか。

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