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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
火星革命軍の襲来
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第23話 新たなる仲間

 6月1日、地球政府軍の宙域防衛艦隊は革命軍の艦隊に遭遇し、交戦を余儀なくされた。

 最終的には勝利を収めたものの、地球軍側のダメージは想定していたよりも大きかった為に、一時地上へと帰還することを余儀なくされた。

 このままでは戦争に敗北するのではないかと危惧したアメリカ政府軍長官マーティン・レイノルズは、地球圏宙域の防衛網の強化を開始し、さらに、新型機の開発が今まで以上に急ピッチで行われることとなり、それが開発されている工場へとマーティン率いる視察団は出向いた。


「新型メタルユニットの開発は順調かね?」

「はい、こちらは順調です。現時点では機体の最終調整が行われています」


 整備士の一人は、マーティンに向け余裕の笑みを浮かべた。


「そうか。このまま完成まで上手く導いてくれ。期待しているぞ…」

「はい、マーティン長官……」


 二人は握手を交わした。


 その一方で亮達は、各々で強化訓練を行っていた。

 亮と鎧は、剣術訓練に汗を流していたのだ。


「では、始めッ!!」


 教官の開始の合図の声が響き渡る。


「てやぁぁッ!!」


 亮は勢いよく竹刀を振りかざすが、鎧はその攻撃を上手く躱した。


「たァァッ!」


 鎧も負けじと反撃に出たが、亮は今までにない程俊敏な動作で攻撃から逃れ、更にそこから彼は怒涛の攻撃を繰り出す。


「メェェェンッ!!」

「何ッ!?」


 困惑しながらも鎧は攻撃を避けようとするが、間に合わず面を打たれる。


「一本!」

「この俺より速い動きをするなんて……」


 鎧は、亮が今までより遥かに成長していたことを身をもって実感したのだった。

     ︙

 そして休憩中、2人はタオルで汗を拭いつつ会話をしていた。


「鎧さん、最近調子悪いみたいだけどどうしたんだ?」

「いや、俺の調子が悪いんじゃあないはずだ。むしろ亮の方が強くなっているんだ」

「えっ? 俺が……? でも、さっきのはまぐれだって……」


 亮は照れながらも頭を軽く掻く。


「いや、まぐれじゃない。亮は今までの戦いを通して明らかに強くなっている……。もっと自信を持ったほうがいいと思うぞ」


 鎧は少し微笑みながら頷いた。


「そっか……。ありがとう、鎧さん……。俺、これからも頑張るよ!」

「あぁ、その調子で行けば更に強くなれるはずだ……」


二人の間には、以前よりも強い絆が生まれた。



 また一方でジェフ、リック、玲の三人は射撃訓練に参加していた。

 三人の中で、特に著しい成長を見せていたのは玲である。

 以前は、やや苦手意識を持っていたものの彼女は今までよりかなり正確にターゲットを狙い撃っていた。


「おお、玲のやつ結構いい感じじゃないか!」

「そうだね。軍に入ったばかりの時は半分行くのがやっとだったみたいだったけど、最近は90%台をキープできる位まで出来るようになったから驚きだよ」


 ジェフとリックは後方で玲を見守りながら、あまりの成長ぶりに感心していた。


“命中率ハ、92%デス”


「ふぅ、終わった〜。二人共どうよ?」

「なかなか凄いんじゃないか? 数カ月でここまで伸びるなんてな……。俺たちも負けていられないな! だろ? リック……」

「あぁ、僕たちは元から軍人だから尚更だよ!」


 二人は玲の成長を喜びつつも、自分達も負けていられないと対抗心を僅かながらに燃やしていた。

 そのようなやり取りをしていると、後ろから聞いたことのある声が聞こえた。


「あっ、竜崎さん!」

「あなたは……、宮元さん!」


 そこにいたのは以前の戦術訓練で協力した宮元美奈であった。


「ジェフさん、リックさん。お二人の活躍は噂に聞いております。私は宮元美奈、階級は准尉です……」


 宮元は2人に対し敬礼を行った。


「よろしく頼むぜ。でも、どうして俺達の元に来たんだ?」


 ジェフは突然の出来事だった為に不思議そうな顔をした。


「それがですね……。私もブレイダー隊のサポート役に回ることになったんですよ!」

「えっ、そうなんですか!?」


 玲はいきなりその言葉が出たために、思わず驚嘆する。


「私の他にも、数名ほど玲さんの部隊に転属になった方もいるみたいですよ……」

「ふーん、新しい仲間が増えるとなると、ちょっと楽しみになって来たな……」

「どんな人が来るんだろうね?」

「私もちょっと気になって来たわ」


 新たな仲間の参加に喜びを膨らませる3人だったが、そのような暇は無かった。


「ちょっと君たち、早く交代して貰えるか?」


 そこには、他の部隊の兵士達が苛立ちを我慢しつつも次の番を待っていたのだ。

 それを見た玲達は、即座にその場から離れていった。


 訓練終了後、ブレイダー隊の5人はミーティングルームに集められ、新たに本部隊に入ることとなった仲間達の紹介が行われた。


「君達に良い知らせがある。このブレイダー隊に本日付より転属となった兵士が4名いる。さぁ、入ってくれ……」


 四人の兵士が、少し緊張した面持ちをしながらも部屋に入ってきた。


「四人共、そんなに強張らなくても大丈夫だ。では、それぞれ自己紹介を頼む……」

「どうも、私はブレイダー隊の通信担当となった、宮元美奈です……」

「僕は、4月より日本政府軍に入った同じくブレイダー隊の通信担当の高木省吾です。どうぞよろしく」

「俺は中国政府軍から来たルイジェン・リー。担当は戦闘員だ……」

「私はアンナ・イワノフです。ロシア政府軍から来ました。リー准尉同様、戦闘要員です。よろしくお願いします……」


 四人は名乗りを上げた後に揃って敬礼を行った。


「俺は竜崎亮。よろしく頼むよ」

「俺はジェフ・ディアロ・マイソン。よろしく!」

「僕はリック・フォーディー。皆さんよろしく」

「私は竜崎玲。亮の双子の妹よ。よろしく頼むわ」

「俺は上城鎧……。よろしく……」


 五人も同様に敬礼を返した。


「まぁ、そんな強張らないで気楽にやろうぜ?」


 ジェフは新たに入った仲間に対してにこやかな表情で接した。


「あ、そうだ! 俺、紅茶入れて来るからちょっと待っててくれよ……」


 亮は一旦部屋を出ていった。


「新しく入った皆さんは、全員階級は准尉なんですか?」


 玲は個人的に気になったのか、階級についての話を始めた。


「そうだね。僕たち4人は全員准尉だよ。もしかして君達も……」

「私達もそうなの。でも、一応亮が隊長扱いになっててね」

「あぁ、そうなのか……。てっきり奥の方に座ってる……、上城鎧さんだっけ?僕は、てっきりこの人が結構貫禄あるから隊長かと……」  


 彼は少し驚いた表情をした。


「確かに俺は、この中だと最年長だが実力面では亮の方が上だからな……。それもあってアイツに隊長の座を譲っているワケだ……」

「なるほど……。そういうことだったんだ……」


 省吾はやや驚嘆しつつも、亮の凄さに圧巻された。


「皆、紅茶を持ってきたぜ」

「おっ、ありがとよ!」


 亮は、自分を含めた全員分の紅茶を配る。

 そして、暫しの間紅茶を飲みながら、新しく入った仲間と親睦を深めた。


 一方で、火星政府軍のジン率いるシャドー隊はワシントン降下作戦の計画を練っていた。


「この作戦では、アメリカ政府軍基地への絨毯爆撃が行われる。また、今回は爆撃前に、行く手を遮る敵の機動部隊を殲滅する必要がある。これで敵の戦力を完全に叩き潰すという訳だ」

「ジン少佐……、私から少し言いたい事が……」

「何だ? アルカディー……」

「今回、勝手ながら私が使うメタルユニットを大幅に改造したのですが……。データ資料を見てもらうと早いでしょう」


 アルカディーは、自分の機体のデータが入った

 カードをコンピューターの挿入口に入れた。


「ん……? これはゾギィの様だが、武装パターンがかなり違うぞ」


 ジンは懐疑的な表情を見せた。


「これは、遠距離攻撃能力や機動性を大幅に強化したゾギィ・ブラストタイプです。

今回の作戦の為に、急造したものでして……」

「ふむ……。だが、実際にテスト運用はしたのか?」

「勿論ですとも。2日程前に行いました。

結果的には大成功でしたよ」

「この前、中尉が突然席を空けてたのはそういうことだったんですね……」


 ルードは納得した表情をする。


「そういうことさ、ルード……。あの僅か数時間のテスト運用で腕を鳴らして実戦に備えていたという訳だ……」

「それにしても、アルカディー中尉……。この短期間で、よくここまでの改造が出来ましたね……」


 ラルフは機体データを自分なりに分析し、機体の高性能ぶりに驚きを隠せずにいた。


「これは、前々から万事に備えて整備チームとしっかり綿密な打ち合わせをしておいて開発したものでな……」

「なるほど。それなら納得ですね」

「ほう……。データを見る限り、お前が開発した機体が理論上では強いというのはよくわかった……。それを把握した上で肝心の作戦における行動を決めるとしよう……」


 ジンは、この作戦で使用する兵装や機体のデータを元に、いかにして行動するか部下と共に話し合った。

 最終的にジンとラルフが地上戦担当、アルカディーとルードが空中戦担当となり、圧倒的火力で敵を殲滅するという作戦となった。


 それと時を同じくして、火星政府軍の女性エースパイロットである“閃光の女神(フラッシュ・ガデス)”の通り名を持つアシュリー・トーレスもまた、ワシントン降下作戦における作戦を練っていた。

 彼女は、ジン同様エースパイロットとしてめざましい活躍を見せている。


「何としても、私たちヴェスタ小隊で手柄を挙げて見せましょう! 少なくともハンドグレネードは必要ね?」

「はい、そうですね。敵の撹乱の為にいくつか必要かと思います」


 部下であるミアは、タブレットに記録された兵装のデータを彼女に見せた。


「これだけあるなら十分ね。あとは発煙弾も必要かしら?」

「そちらも確保しております」

「アシュリー少佐……、それは何に使うんですか?」


 部下の一人であるケイトは、まだこの軍に入ったばかりだったこともあり、発煙弾の必要性を理解できていなかった。


「ケイト、これはグレネードと同様に撹乱の為に使うのよ……。それ位覚えなさい……」

「すみません……、まだ未熟で」

「まぁ、ともかく今回の作戦は、最初に敵を煙幕で撹乱させて、地球軍の連中が混乱してる内に敵を殲滅させる……。これが私達の作戦よ……」

「なるほど……。しかし、それだと他の僚機のレーダーも妨害されてしまうのでは?」

「大丈夫よ。それについては今回参加する部隊の兵士全員に伝えてある上に、レーダーも今回の作戦の為に煙幕の中でも見えるものを使用されるから安心よ」

「そうですか……。なら大丈夫ですね」

「これでひとまず作戦会議は終了ってことでいいかしら?」


 彼女は部下の表情を覗った。


「はい、大丈夫です」

「じゃあ、一旦解散!」


 こうして、ヴェスタ小隊の作戦会議は終了した。



 翌日、アメリカ政府軍は当国の地球圏宙域にて火星政府軍の艦隊を確認し、至急攻撃体制に入った。

 そして、ブレイダー隊にもこの事は伝えられ、至急アメリカ・ワシントンへと向かった。


「私達のブレイダー隊としての初仕事ですね……。足を引っ張って叱られないといいんですが……」


 アンナはやや心配気味な顔をしていた。何故なら、彼女はあまり知人のいない状況下に置かれていたからである。

 しかし、その彼女を安心させたのはリーであった。


「大丈夫だ。俺も最初は不安な気持ちになった……。お前だけじゃないさ……」

「リー、元気づけてくれてありがとう。それにしても亮さん達の面構えが私達と違って……、何て言うか、リラックスしてるというか……」

「そりゃそうさ……。亮さん達は俺達以上に色々な経験を積んで来たからな……」


 リーは胸の前で腕を組みながら溜息を溢す。


「私も頑張らないと……」


 二人がやや緊張した気分で話していると、亮が立ち上がり彼女らの元へと近寄った。


「アンナ、リー、不安なのか?」

「亮さん、俺は大丈夫だよ。それよりアンナがちょっと心配そうでな……」

「そうなのか? アンナ……」

「いえ、リーのお陰で私は大丈夫です……」


 アンナはうっすらと微笑みを浮かべた。


「ならいいんだけどさ……。まぁ、すぐに打ち解けるさ。あれを見てみろよ」


 亮は、ジェフやリック達が美奈と省吾と共に楽しそうに会話をしている所を見せた。


「大丈夫だって。俺達、いつも肩の力を抜いてやってるからさ……。そんなしごいたりしないからよ」


 亮は二人に微笑みを返した。


「ありがとうございます、亮さん……」

「じゃ、戦場でも頑張ってこうぜ!」

「はい……」


 まだ慣れない環境の中でも、アンナはこの人達なら大丈夫だと確信するのだった。

 そして、亮達が乗る輸送艦はワシントンへと刻一刻と近づいていく。

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