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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
火星革命軍の襲来
18/59

第17話 恐怖のアルガリオ島

 5月2日、ジン率いるシャドー隊は革命軍基地への攻撃を行い、そこにいた敵部隊の大半の殲滅に成功し、それから翌日、彼らはめでたく一階級昇進となった。


「ジン少佐、まさか昇進するなんて想定外でしたね……」

 

 基地の廊下を歩く中、ルードは嬉しそうに話しかけた。


「あぁ、そうだな……。しかし、今後革命軍が攻撃を仕掛けて来るかもしれない。油断は禁物だ」


 ジンは敵である火星革命軍を危険視していたのだ。


「確かにその通りですね。どうやら噂によると、あの“漆黒の死神(ブラック・デス)”と呼ばれたグリィパー・オルズが所属しているとのことですからね……」


 アルカディーが語るグリィパー・オルズとは、かつて火星政府軍に所属し、葬り去った敵は数知れずと呼ばれたグリムリーパー隊のリーダーである。彼の実力は誰もが恐れるほどのものであった。

 そんな彼が、革命軍の方に回ったとなると、大変なことになるのは間違い無い。


「あぁ、まさかグリィパーが革命軍側にいるとはな……。奴と出会えば死あるのみと言われているのに。どうなることやら。ハァ……」


 ジンは今後どうなるかを予想しつつ、溜息をついた。


「少佐、かなり不安そうな顔をしていますね。やはりあのお方の事を危惧しているのですか?」


 ラルフはそのように尋ねた。


「もちろんだ……。グリィパーがこっちに付いてくれていたらどれほど嬉しかったことか…」


 ジンは頭を抱えてそう言い、苦しそうな顔をしたのだった。



 一方、亮達は貴重な休みを思いのままに楽しんでいた。


「亮、すっごい似合ってるよ!」

「そうか……?」


 亮は玲と一緒にコスプレを楽しんでいた。

その時の亮は、RPGゲームの勇者のような格好をしており、正直彼はとても困惑していた。

 度々やっていることとはいえ、やはりそれでも恥ずかしい節があるのだ。

 とはいえ複雑な気持ちだったものの、これはこれで面白いと、頭の中のどこかで思っていた。


「おっ、亮! 何でこんな格好してんだ?」


 突如ジェフが、玲の部屋に入って来た。


「何でかって……? そりゃあ玲が着てほしいって言うから…。あいつって昔からこういう事すんの好きでさぁ……」

「ジェフもやる? とっておきのがあるんだよ」


 玲は大きなクローゼットから、幾つかの鎧のようなパーツとインナーの服を取り出した。


「これを……、着ろっていうのか?」


 ジェフは突然の出来事に少々戸惑っていた。


「うん!」

「分かったぜ。ちょっと待ってろよ」


 そしてジェフは、自分の部屋に用意された衣装を持って行き、着替えた後に再び玲の部屋に入った。


「どうだ? 似合うか?」


 玲の部屋に戻って来た時のジェフの恰好は、鋼鉄の鎧を身に纏った騎士のようであった。


「最高に似合ってるよ! やっぱガタイがいいからね!」


 玲は喜びながら、ジェフのことを褒めた。


「へへっ、案外こういうのも悪くねぇな」

「でしょ? やっぱ皆でコスプレすると楽しいよね!」


 彼女は屈託の無い笑顔を見せた。


「まぁな……」

「俺もそう思うぜ」


 二人も楽しそうな表情をしていた。



 その一方で、リックと鎧は談話室で今までの戦いについての話をしていた。

 その中で、鎧はあまり自分が役に立てていない事を悔いたのだった。


「どうして俺はこうも役に立てないんだ。あの時だって、銃火器さえ持っていれば……」

「大丈夫だよ。鎧さんだってしっかり活躍してるのは皆わかっているから…」


 リックは必死にフォローをするが、それでも鎧はネガティブな考えしか浮かばず、頭を抱えた。


「鎧さん、いつまでもそんなに暗い事しか考えていないと、本当に自分が駄目になってしまうよ!」

「えっ!? そ、そうか……?」

「うん、そうだよ。これ以上疑心暗鬼になったら普段やれる事もやれなくなるからね……。どんな事であろうと、物事は前向きに考えないとねぇ」


 リックは鎧に笑顔を見せた。


「リック……。よくわかった。これからはできる限り前向きな考えを持つようにしよう……。ありがとう」

「いや、僕はただ当たり前の事を言ったまでだよ」


 鎧が感謝したことに対し、リックは少し嬉しかったのか軽く微笑んだ。



 その一方で日本政府軍空戦部隊は、オーストラリア政府軍と共に空中を偵察していた。


「あれが火星軍の開発した人工島か。それにしても何て大きさなんだ……」


 広大な太平洋沖には火星軍の人工島である、アルガリオ島が存在しており、地球軍にとっては目の上のたんこぶのような存在であった。何としても地球における敵の拠点は潰しておきたいのだ。

 とはいえ、今は偵察が主な目的のため、戦いたい気持ちを抑えてここを通過したら基地へと戻るのみ。

 しかし、地上から敵が察知したのか、空中へと敵機動部隊が襲撃を開始した。地球軍側は偵察が主な任務だった事や、持っていた武装は少なかったという事もあり、不利な状況にならざるを得なかった。


「まずい! このままじゃ全滅する……」

「死ねぇ、地球軍の野郎共!」

「うわぁぁぁ! くそっ……」


 ある一人の兵士は、死んでいく中で悔しい思いをしながら炎に包まれて灰になっていった。


「早く逃げるぞ!」

“はい!”


 何とかして、敵の攻撃から逃亡することに成功したが、味方は半分近くが戦死してしまったため、地球軍の兵士達はアルガリオ島にいる敵を誰よりも恐れていた。


「アルガリオ島の連中はどうやって倒せばいいんだ?」

「どうやってやるか…。今回はたまたま武装が少なかったから負けたんだ。しっかり戦闘のための準備をしておけば少しはマシになるはずだ」

「まぁ、とりあえず近いうちにあの島を潰しておかないとな。

後々厄介なことになるだろう……」

「確かにそうだな……」

 

 彼らは思わず溜息をついたのだった。



 一方、火星革命軍では、グリィパー率いるグリムリーパー隊が作戦を練っていた。


「以前、地球の太平洋沖に火星軍の開発した人工島があると言ったな……。今回はそこに攻撃を仕掛けるつもりだ」

「なるほど。流石はグリィパー少佐です。目の付け所が違いますね……」


 グリムリーパー隊の紅一点、レリィナ・パルシードはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「そうだろう? 無闇に本拠地を攻撃して返り討ちに遭うよりも、まずは支部から狙っていくのが良いはずだ」

「確かに、少佐の言う通りです。本拠地を僅かな戦力で襲撃するような無謀な挑戦と比べれば、先程話していた作戦の方が十分成功する可能性は高いでしょうね」


 澄ました表情をしているのは、この部隊のブレイン的存在、ウィザルグ・ガスウェルドである。


「そうか……。お前ならそう言ってくれると思ったよ……。ガズベルはどう思う?」

「私も、少佐の意見に賛成であります」


 グリィパーに対し頷く男は、ガズベル・ゾーラック。他の3人よりも筋肉質で、色黒なのが特徴的な人物だ。


「全員賛成だな。では、作戦の計画を進めるぞ。まず、アルガリオ島に到着したら、少なくとも敵部隊のMU(メタルユニット)に一斉掃射を仕掛ける。圧倒的物量攻撃で全滅させてやろう。その次に行うのは、島に時限爆弾を仕掛けることだ。今回使うのは、世界最強の破壊力を持つ”B-100X”だ。これを2、3個仕掛ければ間違い無く島は吹き飛ぶ。そして、島を爆破したらそのまま帰還というわけだ」

「なるほど。でも、もし機動部隊を殲滅できなかったらどう考えているのですか…?」

「ウィザルグ……、それぐらいの事もわからんのか? そういう時は敵諸共爆弾の炎で焼き殺してやるまでだ」

「なかなか大胆な考えですね……」


 ウィザルグは驚きを隠せず、目を見開いていた。


「とにかく、今回の作戦は今言った通りに行う。実行日は5日だ。必ず成功させてやろう」

「了解!」

 

 部下の3人は、グリィパーに向けて敬礼をする。その後、彼らは作戦の成功を期待しながら準備を進めるのだった。



 その一方で、レックス率いるハウンド小隊はリザーグの命令によってアルガリオ島への配属が決まり、それに向けての準備をしていた。

「支部に転属か……。実質左遷なんじゃあねぇか? コーディー、悔しくねぇのか?」

「いえ、そんな事は無いですけど……」

「全く、これだからプライドの無い奴は……」


 彼は額に手を当てて呆れた表情を見せた。


「ちょっと、馬鹿にしないで下さいよ。私にだってプライド位あります」

「本当か?」

「本当ですって!」


 二人が話をしている最中に、ウェインが部屋に入って来た。


「レックス少佐、どうしたんですか?」

「おっ、ウェインじゃねぇか。ちょっと聞いてくれよ! こいつよぉ、左遷される事に対して全然意地ってもんがないんだぜ? どう思うよ?」

「えっ、それが普通じゃ無いんですか?」


 ウェインの意外な言葉に、レックスはまたしても呆れ返った。


「お前までそんな事言うのかよぉ。だからよぉ、お前らにはなぁ……」

「少佐、そんな事より部屋の整理をやった方がいいのでは?」

「わかったよ。もう話はいいや……」


 コーディーからそのように注意されると、レックスはプライドについての話を諦めて、私物を整理することにした。


 翌日、日本政府軍はアルガリオ島の敵部隊からの襲撃事件を受け、ブレイダー隊にそこへと攻撃を行うように召集命令を出した。


「明日、君たちにはアーディック艦に乗り込んで、味方の艦隊と共に火星軍駐在部隊のいるアルガリオ島に向かって欲しい」

「なるほど。それで、アルガリオ島について、もっと詳しく教えていただけますか?」

「分かった、亮。このアルガリオ島というのは、太平洋沖に存在し、何百人もの火星軍の兵士がそこで護衛を行っている。造られた目的は、地球への攻撃をスムーズに行う為だとされているが、実際にその島から攻撃を仕掛けた兵士はやや少なく、去年の10月頃を最後に、そこから他の国を襲ったという情報は無い」


 江川はどこか不安そうな面持ちをしていた。


「そうなんですか。でも、どうしてアルガリオ島の部隊は他国を襲撃しなくなったのでしょうか?」

「それについては、まだ分かっていない。だが、私は戦力が十分でないからそのような判断をしたのだと考えている」


 江川はそのように話した後、アルガリオ島の地図を取り出した。


「これが我が軍の偵察部隊が作成したアルガリオ島の地図だ……。この島の面積は日本の本州の半分程度で、全て兵器で固められていて、迂闊には入ることが出来ないようになっている……。とはいえ、ここは我々に無断で開発された場所だからな。何としても潰さなくてはならん」

「確かに、無断で造られたのでは、黙って見ている訳にはいきませんからね……」


 ジェフも江川の発言に頷く。


「あのー、江川長官。今回の作戦ではこの地図を活用するんですか?」


 玲は不思議そうな表情をして尋ねた。


「もちろんだ。これが無くては作戦は到底考えられんからな」

「じゃあ、こいつをフル活用させて頂きましょうか!」


 亮は自信に満ちた顔を見せた。


「うむ。是非そうしてくれ。では、作戦については君たちに委ねる。健闘を祈るぞ」


そして、江川はミーティングルームから去っていった。

     ︙

 地図を渡されたものの、亮達5人はどこをどのように攻撃すべきか、かなり悩んでいた。この地図には事細かに島の形状や周りに設置されている兵器について記されていたが、それでも作戦会議は難航していたのだ。


「どうする? まず、艦から降りたら空中から攻撃を仕掛けて……、あっ、それだと大型対空砲に撃墜されてしまうな……。どうしよう」

 

 亮は作戦を練るのにとても悩み苦しんでいた。

 時に目を細めつつ、島をいかに攻略すべきか考えるが、どこから行っても上手く行かないように思えるのだ。


「じゃあ地上から攻撃したら?」


玲は地図に指を差して提案をした。


「それだとますます攻撃が激しいから行けないんだよなぁ……。どうすりゃいいんだぁ?」

「敢えてアーディック艦から降りずに、艦隊に攻撃を任せておけばいいんじゃないか……?」


鎧の鶴の一言に、亮は目を見開いて手を打った。


「それだッ! そうすればアルガリオ島の部隊を上手く殲滅出来る筈だ! 教えてくれてありがとう、鎧さん。助かったよ」

「礼には及ばんよ……」


 鎧は目を閉じてそう言った。


「これで後は島に上陸して、集中砲火を仕掛ければ倒せるかもな」

「飽くまで倒せる“かもしれない”ってことだよな。もし倒せなかったらどうするんだよ?」


 ジェフはどこか懐疑的な顔をしていた。


「その時は接近戦を行うつもりさ。あるいは、挟み撃ちにするってのも有りかな?」

「挟み撃ちか……。悪くないね」


 リックは微笑んだ。


「俺も亮の考えに賛成だ。そっちの方が有利に駒を進められるし、良いよな」

「玲と鎧も賛成か?」

「うん! 私も良いと思ってるよ」

「俺も右に同じだ……」

「そうか。じゃあ、この作戦で行こう! 明日は何としても勝ってやろうぜ!」

「了解!」


 勝つことを強く意気込んだ5人は、次の戦いに向けての準備を始めた。



 夜7時頃、亮達5人は機体の整備を行っていた。そんな中で鎧は、山田に遠距離攻撃を出来る武器が無いか尋ねていた。


「山田さん、ビームライフルみたいな武器は無いですか?」

「あるぞ。あそこにスペアの兵器が沢山ある」


 山田は武器庫がある向こう側を指差した。


「あそこから使えそうなのを選んで、あそこのロボットアームを使って持って行けよ」

「はい、わかりました」


 鎧はアームドブレイダーのウェポンラックに一丁のビームライフルを置いた。


「これで遠距離攻撃も十分に行えるだろう」


 鎧は安堵の表情を見せた。こうして、整備を終えてから、5人は明日に備えてゆっくりと眠りにつくのだった。

 今回は3話完結にするつもりです。

次回もお楽しみに!


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