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特殊部隊BLADER-FORCE  作者: 藤沢マサト
地上防衛戦線
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第14話 熱砂の戦い

 4月1日、本来ならこの日に亮と玲が入社するはずだった。

 しかし今は、ブレイダー隊の一員となっているため、当分は一般人に戻れそうにはなかった。


「あ〜あ、今頃メガテックの方じゃ入社式やってんだろぉな……」


 亮は、退屈そうな顔で窓越しの空を眺めて言った。


「そうだね……。私もあそこの会社員になりたかったなぁ〜。何で私達軍人になってんだろうね……」

 

 玲は今の状況に疑問を抱いたが、理由は簡単であった。

 自分の兄がロードブレイダーに乗り、敵の機体を撃墜した事を地球政府軍から認められたためである。


「多分それは俺のせいだよ……」

「あぁ……、確かにね」


 彼女は、太陽の光の眩しさに目を軽く細めた。


「何とでも言えよ。全部俺が原因なんだからよ」

「まぁまぁ……、そんな卑屈にならないでよぉ! 私達は軍人になって、頼れる仲間が出来た……。こればっかりは、日本政府軍に入って良かったなって……、私はそう思ってる。亮はどう思ってるの?」

「えっ? 俺? 俺も玲と同じだよ」

「ふーん、そっかぁ。まぁ、戦うのは大変だけどね…」


 玲は今の状況が辛いと思いながらも、一応何処か満足してるかのような様子であった。


「頑張るしかねぇよ。今はさ……」

「そうだね。ハァ……」


 彼女は思わず溜め息をついた。この長い戦いがいつまで続くのかは、誰も知らない。



 一方、ジェフとリック、鎧の3人は、談話室で様々な話をしていた。


「この前、革命軍が火星の第二住居区付近の基地を襲撃したらしい」


 ジェフは真剣な表情でそのように話した。


「何だと……?」


 鎧はそれを聞いて思わず驚いた。


「どうやら本当みたいだよ。信じ難いけど」


 リックも耳を疑ったものの、その事実を受け入れた。


「革命軍はそのうち地球にも被害を及ぼすだろうな……。どうやらその軍の連中は元火星政府軍の過激派らしいからな。いずれ戦争は激化するぞ」


 ジェフは今後の戦況を思い浮かべ、眉をひそめた。


「激化する!? そうなったら戦争は終わるどころか、長引くばかりだよ……。僕はもうこんな戦いなんてしたくないんだ……」


 リックは辛そうな表情でそのように言った。


「確かに、お前の意見にも一理あるけどよぉ……、今は戦わなくちゃいけないんだ。戦争が終わるまでの辛抱だ」


 ジェフは彼に対しそう話す。


「そうか。なら仕方ないか。ハァ……」


 リックはそう言った後、溜め息をついた。



〜2週間前〜

 火星政府軍の長官であるリザーグは、ゼルガ率いる革命軍によるアルガス住居区襲撃事件を受けて、住居区外部に複数の護衛部隊を配備したが、その後またしても攻撃を受け、護衛作戦に参加していたガンナー小隊のバーンとアレンが消息不明になってしまう。

 これを知った彼は動揺を隠せずにいた。


「何てことだ……。貴重な戦力が低下するとは。よりによってエースパイロットのあの2人がいなくなってしまうなんて思ってもいなかった」

 

 リザーグは頭を抱えた。


「確かにそうですね……。あの戦いの後、2人はどこへ行ったのかとても気になりますね…」


 部下のランスは、彼らの行方について興味深く思っており、不思議そうな表情をしていた。


「だが、こればかりは調べようが無い……。2人についてはもう諦めよう……」

「わかりました……」


 そう言った後、ランスは部屋を去った。


〜現在〜

 その一方でジン率いるシャドー隊は、新たなる作戦を練っていた。


「今回の作戦では、他の機動部隊と共にエジプト政府軍の補給基地を狙う。目的は戦力を低下させることだ。肝心の作戦内容だが……、まず全員で一斉掃射を行い、敵部隊の大半を駆逐する。そして残った敵は接近戦で完全に全滅させ、その次に補給基地を壊滅させる……」

「なるほど……。ですが、もし最初の一斉掃射で敵をあまり撃破出来なかったらどうするおつもりで?」


 アルカディーはジンに対してそのように尋ねた。


「その際は、新たに支給された拡散ビームキャノンを使って一掃する。ちなみにその武器は、マルスブレイダーやゾギィの背面にマウント出来るようになっているから、わざわざ艦に戻って取りに行くようなことはしなくて済む」


 ジンは大胆不敵にも軽く微笑む。


「そうですか……。今回こそ上手くいきそうですね……」

「ラルフ、いくら武器が強いとしても油断は禁物だ……。またあの連中が現れる可能性だってあるからな……」

「あの連中……、といいますと、ブレイダー隊のことですか?」


 ルードは念の為にその質問をした。


「もちろんだとも。それと、もうすぐ出撃準備に入らなくてはならないから、早急にそれを始めるとするか……。作戦も決まったから、早く行くぞ!」

「了解」

 こうして、シャドー隊などといった火星軍の機動部隊は出撃準備を始めたのだった。

     ︙

 そして、ジン達はガルード艦の中で地球に到着するのを待っていた。


「ジン大尉、私は寝ていてもいいでしょうか……」

 

 ルードは最近疲れていたため、中で寝てもいいか確認をした。


「いいぞ。ゆっくり休め……」

「はい、ありがとうございます」


 そのままルードは椅子にもたれかかって、たまたま近くに置いてあった毛布を掛けて寝た。

 しかし、その一方でジンは、まだ見ぬロードブレイダーのパイロットに対して対抗心を燃やしていた。


「それにしても、あのロードブレイダーに乗っている兵士は一体何者なんだ……。初戦こそ有利に戦いを進められたが、それ以降はかなり腕を上げたのか、なかなか倒せん……。今回こそ絶対に倒してみせる!」

 

 彼は拳を握り締めて、ロードブレイダー討伐を決心する。その時の彼の紫色の目は、一層輝いていた。



 それから数時間後、エジプト政府軍カイロ本部の遥か上空に火星政府軍の艦隊が確認され、ブレイダー隊に出撃命令が出た。


「ブレイダー隊の諸君、エジプトから援軍に来てほしいという指示が出た。直ちに出撃してくれ」

「了解!」


 亮たち5人は、エジプトへと向かった。

 エジプト政府軍基地では、激しい攻防戦が繰り広げられていた。しかし、圧倒的なまでの戦力の差が浮き彫りになったのか、火星政府軍の方が優勢となっていたのだ。


「艦が3隻もいるなんて……。どうやって勝てばいいんだ!? しかも砂塵のせいで視界はかなり悪いぞッ! それにしても砂塵って奴はいつも厄介だなぁ。いつも俺たちの戦いの邪魔をしやがる……。まぁこればっかりはどうしようもないからな……」

 

 現地の兵士達は砂塵によって視界を遮られた上に、幾多もの敵に困惑しつつも攻撃を行うが、まるで歯が立たず、次々に撃墜されていく。


「ジン大尉、どうやらここの基地の戦力は思っていたよりも貧弱なようです。あの連中が全滅するのも時間の問題だと思います」


 アルカディーは冷静に戦地の状況を見て、ジンにそのように話した。


“確かにその通りだな……。まさかここまで守りが甘いとはな……”


 彼らは、ブレイダー隊が居ない事から勢いに乗って次々に敵部隊を倒して行くが、この快進撃がここまでとなることは知る由もない。


「何だこれ……。派手にやられちまってる。もっと早く来ていれば……」


 ジェフは上空から焼け野原になりかけている基地を見て呆然とした。


“ジェフ、どうしたんだ? 早く降りるぞ……”

「あぁ、分かったぜ、亮……」

 そして、5機のMU(メタルユニット)が戦地に降り立った。だが、状況はかなり悪化しており、襲撃前は数十機いた味方の機体が、今は10機前後しか残存していない。

 これを即座に察した亮は、果敢に敵部隊に攻撃を仕掛ける。


「よし、こいつを使って掃射してやるか……」

 

 彼は自らの機銃で光弾を連射した。


「やべぇ! ウワァァァッ!!」

「ダメだ。俺は死ぬ……」

 

 基地上空を飛んでいた敵機は次々に撃墜され、爆発四散していった。



 ジェフとリックは、空中と地上の二段構えで攻撃を行おうとしていた。


“現在確認出来ル限リノ敵ノ機体ハ17機デス”


エアブレイダーに搭載されたAIが、そのように戦況確認をした。


「何!? 俺達結構不利なんじゃないか?」

“そうみたいだね……。でも、やるだけやってみよう!”

 

 リックは例え自分達が不利でも諦めようとせずに、敢然と立ち向かおうとする。


「あ、ああ。分かった……」


 そして2人は、自らの武器を構えて砲撃を始めた。

 すると、唐突にエジプト政府軍の兵士から通信が入った。


“2機だけでは不利だ。我々も援護する!”

「わかりました。では、お願いします……」


そして、エジプト政府軍の小隊が加わり、少しではあるが状況は良くなった。


「よし、攻撃開始だ! 行くぞ!」

「了解!」

 

 無数の光弾やミサイルが飛び交い、さらに砂塵で視界が悪くなっている中で次々に敵機は撃墜されていった。しかし、敵の中には果敢に接近戦をしようと試みる者もいた。


「近づいて来た。なら、ジャベリンで……、刺す!」


 リックは、敵機に勢い良くジャベリンを突き刺した。

 

 「しまったッ! グアァッ!」


 機体胸部に攻撃が直撃し、その後機体は凄まじい轟音と共に爆砕した。


「まだいるじゃねぇか! よし、このミサイルランチャーで全滅させてやるか……。喰らえ!」


 ジェフは上手く狙いを定めた上で、無数のミサイルを放った。


「ウワァッ! 落ちるゥ……」

「嫌だ、死にたくない……、アァァッ!」


 機体が凄まじい炎や煙を上げて崩れ去り、ついに周辺にいた敵機は全滅した。



 その一方で、鎧と玲は残り少ないエジプト政府軍本部の兵士達と共に基地の中枢部である巨大なタワーの周辺で敵艦隊と死闘を繰り広げた。

 建造物を破壊しないように、細心の注意を払って攻撃をする地球軍の部隊は、なかなか太刀打ち出来ずにいた。


「何て凄まじい弾幕なんだ……。玲、どうすればいい?」

“ここは私の機体の性能の見せ所よ! 任せて!”


 彼女は画面越しに、笑顔でサムズアップをして見せた。


「分かった。では、頼んだぞ……」


 そして玲は、上空へと舞ってビームソードを構えた。


「これを突き刺せば……! 喰らいなさい!」


 彼女は自らの剣を小型艦の砲台に勢い良く刺し、攻撃不能にした。


「左舷の主砲が攻撃不能です!」


 小型艦のクルーは、驚きを隠せずにいる。


「何ィッ!? 敵に戦艦が居ないというのに、一体どういうことだ!」

「原因はあの銀色の機体かと思われます!」

「分かった。あれを撃ち落とせ!」

「了解!」


 しかし、敵艦の攻撃を物ともせず、玲は軽快な動きで艦の砲台を潰していく。


「案外楽勝だね! 最後はブリッジに…、撃つ!」


 その時、小型艦のブリッジにビームが直撃し、艦は赤い炎と共に一瞬でスクラップと化した。


“玲、やるじゃないか!”

“よくたった一人であの艦を撃破したな……。凄いな”


 鎧やエジプト政府軍の兵士は玲のことを褒め称えた。


「まぁ、これが私の本気ですよ!」

 

 玲は誇らしげな表情でそのように言った。



 その一方でジンは、敵の大半を倒したので、次は基地を攻撃しようとしていた。


「アルカディー、次は基地本部を狙うぞ……」

“はい。あっ、あれは!?”


 アルカディーが目にしたのは、ロードブレイダーの姿だった。

「嘘だろ……。どこまでも俺の邪魔をしてくるとは。いいだろう。この勝負、乗った! アルカディー達は基地を攻撃しろ!」

“了解……”


 アルカディー達が基地ヘ向かう一方で、ジンはロードブレイダーの撃破を目指す。


「来たかジン! 今度という今度は……、必ず倒す!」


 亮は彼の機体を見た途端、目の色を変えて機銃を使って光弾を撃ち放った。


「うっ! ハァ、ハァ……。流石だな……。だが、お前の命もここまでだ!」


 ジンはそこから更に砲撃を行うが、全て躱されてしまう。


「接近戦で戦うしかないみたいだな……」


 亮はビームブレードを取り出し、それを大きく振りかざした。


「くっ……。ならばこっちも!」


 ジンも負けじと自らの剣で攻撃を行う。彼は大きく飛び上がり、縦一文字にロードブレイダーを切り裂こうと試みた。


「まずいっ! グウゥッ!」


 亮は辛うじて攻撃を盾で防いだが、その衝撃で機体は弾き飛ばされていく。


「おのれぇ! 今度こそ殺してやる、殺してやるッ!」


 ジンは感情をあらわにして剣を素早く振り回す。その中で亮は、ジンの動きを上手く見極めて攻撃の契機を見つけ出した。


「今だッ! てやあぁぁぁっ!!」

 

 亮はジンの機体胸部に剣で斬りかかった。


「グアァァッ!! 俺の顔がッ!」

 

 コックピットの装甲を損傷し、ジンも怪我を負ってしまう。


「くっ…、覚えていろ! アルカディー、撤収だ!」

“了解!”


 エジプト政府軍に多大な被害を与えてから、火星政府軍の兵士達はその場を去っていった。


 数時間後、亮たちは日本に帰還したが、彼らはとても疲れていた。


「ハァ…、もう疲れた…。早くシャワー浴びて寝るか…」


 亮はその時、とても眠そうな顔をしていた。

 それを見て、玲は敢えて何も話しかけないようにしようとした。


「ジェフ、亮がとっても疲れてるみたいだよ」

「そうだな……。あいつはよく頑張ったし、今日は寝かせてやろうぜ」

「うん」


 亮以外の4人も、疲れた体を癒やすのだった。



 その一方で、ジンは火星に帰還後、治療室で傷の手当てをして貰っていた。


「ジン大尉、あまり傷が酷くなくて良かったですね」


 ラルフは安堵の表情を見せた。


「あぁ、そうだな。それにしても、あの機体のパイロットはどれだけの実力を持っているんだ? 何としてもアイツに勝たなくてはな」

 

 ジンはそのように意気込みを見せたが、果たして彼が勝つことはあるのだろうか。

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