プロローグ2
文章にするって難しい。
『起きよ。』
まどろみの中で頭に直接響くような声が聞こえた。
「、、、ここは」
『目覚めたか、時間がないから率直に言うが、お前は時空の狭間から落ちてしまい違う世界に行くことになる。』
目の前にある光る玉が喋っているのか?
時空?
違う世界?
どういうことだ?
『わからぬか』
いや、むしろわかる奴がいたら教えてほしいくらだ。
『つまり、日本の漫画とかアニメとかにもある異世界転移することになる。
先に言っておくが、元の世界には戻ることなどできない。
時空の歪みというのは三千年に一度ほどの割合でおきる事故のようなものだ。
その歪みに落ちてしまうと上がることはできないし、違う世界に落ちるだけだ。』
俺は事故に巻き込まれたってことか。
元の世界に戻れないってことは漫画の続きもアニメも見れないってことか。
こんなことになるなら貯金なんてせずに豪遊すればよかった。
「違う世界とはどのような世界でしょうか?」
『わからぬ。私が知るのはこの世界のみ、お前が完全に世界を渡ってしまえば干渉することもできない』
ふぅ。
こんなことを言うのもあれだが、この光る玉は一切役に立たないじゃないか。
「では、あなたはいったい何をしたくて私の前に現れたのでしょうか?」
『あぁ、それはお前に力を与えようと思ってな。』
「、、、力ですか?」
『せっかく、この世界から違う世界にいくんだ。私の世界の住人の凄さなどを違う世界のものに教えてあげたいし、もしお前が違う世界をむちゃくちゃにしたとしても、この世界には一切影響ないしな。』
この光る玉はクズじゃないか。。。
違う世界は関係ないからむちゃくちゃにしてこいって言ってるようなもんだろ。
こちらとしては都合がいいか。
「どのような力をいただけるのでしょうか?」
『とりあえず言ってみるがいい。勇者のような絶大な力でも、どんな女でも魅了することができる力でもいいぞ。』
勇者のような力か、、、
どんな世界かもわからないのに、そんな絶大な力なんて必要あるのか。
「ちなみになんですが、違う世界には人間は存在するのでしょうか?」
『安心しろ、どのような世界に落ちるかはわからぬが人間の近くに転移することは確定している。』
人間が存在しているなら良かった。
もし人もいないような世界なら寂しくて死んでしまう。
『急げよ。
もうすぐ私の世界から完全に出ることになる。』
急がないと。
俺のほしいものはなんだ。
地球で過ごしてて絶大な力もハーレムも憧れはしたが絶対に必要かと言われたらそうでもない。
違う世界には小説のように魔物がいたり危険なことが多いかもしれないが、まず剣を持って生き物に斬りかかるのも嫌だし、何より命がけで戦うなんて以ての外だ。
「決まりました。私の願いは現在地球に存在するものを召喚する力をください」
『ふむ、最強の人間になりたくはないのか?』
「はい。私は今までの人生を充分に満喫していました。ならばなるべく環境を変えずに安全な場所でのんびりと過ごしていきたい考えました。」
『つまらぬが、お前がそれでいいならいいだろう。ただ先ほども言ったように世界と言うのは超えられぬもの。お前が言った召喚すると言うのは不可能なので、そちらの世界のお金を使い創造することを可能とする力を与えてやろう。』
そうか召喚することは不可能なのか、お金を使って創造するってことは買い物と何も買わないし問題はないな。
「ありがとうございます。地球にあるものを全て覚えているわけではないのでカタログみたいなものをいただけないでしょうか?」
『ではお前が持ってる携帯に商品と値段が書いてあるアプリを入れてやろう。ちなみに携帯は普通の携帯なので何かにメモするなりしてバックアップをとることをオススメする。』
こういう時って携帯にすごい力が働くとかそういうものではないのか。
あくまで俺の力ってわけだ。
『そろそろ時間だ。新しい力を使って新しい世界を最大に楽しんで来るがよい。ついでに長く楽しめるよう身体を若返らせてやる。』
こいつはどんだけ俺に違う世界で暴れてほしいのだろう?
まぁ若返るのはありがたいな。
「ありがとうございます。精一杯楽しませていただきます。」
とりあえずはこいつの反感をかって力を奪われたら嫌だし頭をしっかり下げておこう。
『ふむ、それではさらばだ。』
え?
なんか力を与えるような演出とかないのか?
光る玉が消えて、改めて身体が落ちていく。
目があけられない。
先ほどと同じように全身に痛みが走り意識が遠くなるのを感じる。
そしてまた俺は意識を失った。