第6話 騎士パーシヴァルとの決闘
決闘を申し込まれどうするか豪志に聞こうと、顔を向けたら豪志の口がにやけていた。
「いいだろう!しかし条件がある」
「なんだい?」
「下級貴族の称号など要らん。その代わりにお前らカバルディア家が俺らのバックに付け」
「バック?」
「つまり後ろ盾になれって言ってんだ」
「なるほど…確かにそれは下級貴族の称号よりも価値があるな。よかろう」
「交渉成立だ」
俺は口を開けたままその光景を眺めることしかできなかった。それと同時にこいつ(豪志)とは口論しちゃいけないなと確信した。
その日は屋敷のゲストルームにて休ませて貰った。
「豪志、明日の決闘どしする?」
「決まってんだろ…ぶちのめすだけだ」
「ちげーよ、武器の話だよ。本物使ったら確実に相手を殺しちまうし、もしそんなふうになったらどーなっちまうか…」
話が勝手に進み豪志に任せてしまったが大変なことになったのだ。
相手のことを考えなければ勝つのは恐らく難しくない、しかしそれをしてしまうと恐らく後ろ盾という条件が取り消されることとなるだろう。
「相手を殺さずに無力化か…」
「足でも撃てばいいんじゃね?」
「相手がじっとしてくれていれば簡単なんだけどな。確実に殺すくらいの勢いで来るだろうから狙い撃ちは難しいしな…」
「…あれを使えばいいんじゃないか?」
「あれ?」
「あれだ!」
翌日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝は部屋の方で朝食を取らせてもらいその後で作戦会議をした。
「今回のかなめはお前だからな、頼んだぞ豪志」
「お前が失敗したらどうすることも出来ないんだがな」
「まぁ頑張るよ」
今回の決闘はお昼前に行われることとなり、俺達も自分の装備の準備をした。
そして決闘の開始時刻が近ずき、俺らは会場となる中庭にある訓練場に訪れた。
「広いというかなんというか…」
「まぁ中庭だから遮るものがなくて当たり前だけどな」
「弾を外したら誰かに流れ弾当たるかもしれないから迂闊に打てないな」
「頼むから1発で決めてくれよ、豪志」
「努力はする」
そして決闘開始時刻になった。
「それではこれより騎士パーシヴァルと魔術師の陸翔様、豪志様との決闘を開始致します。立会人は私、執事トーマスが務めさせて頂きます」
「魔術師どの、お力を拝見させていただきます」
(目が笑ってないな…、こいつは確実に殺す気でくる)
俺は気を引き締めると同時に銃のコッキングレバーを引いた。
「始め!」
そのトーマスさんの合図でパーシヴァルが抜刀し構えをとった。
俺は89式小銃に銃剣を付け、そのままパーシヴァルに向かって走り出した。
豪志はバレット(対物ライフル)の二脚を展開し、その場に伏せた。俺らを魔術師と勘違いしてたせいかまさか突撃してくるとは思わなかったようで驚いていた。しかし流石は騎士団長様、驚きながらも俺の銃剣をしっかりと受け止めた。
「流石は騎士団長様ですねっ」
「こちらも驚きましたぞ、まさか突撃してくるとは」
そのままパーシヴァルの剣に押され後ろに下がる。そして俺は懐からサングラスを取り出し、耳にかけた。
「なんですかなそのメガネは?」
「サングラスだ」
「サングラス?聞いたことがないですね」
「そりゃそうだな!」
俺は喋りながら腰にある筒状のものを取り出し、その筒のような物に付いているピンを抜いて俺とパーシヴァルの間の地面に叩きつけた。その瞬間、凄まじい閃光が訓練場を包み込んだ。
俺が投げたのはフラッシュバンと呼ばれる非致死性の手榴弾だ。これをくらうと一時的に失明や目眩の症状に陥る。当然パーシヴァルも無事ではないし、周りで決闘の様子を見ていた当主のジョーンズやメイドのジェーンなど、使用人達も目を抑えている者もいれば気絶している者もいた。
「ぐあっ!」
凄まじい閃光によって視界を奪われたパーシヴァル。その瞬間に重い火薬の爆発音が響いた。
ドンッ!
豪志の対物ライフルからの発射音が周囲を包み、それと同時にパーシヴァルの持っていた剣が弾け飛んだ。
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当主のジョーンズや使用人達の目が見えるようになった時には既に勝負はついていた。
騎士パーシヴァルは地面に尻もちをつき倒れていて首には89式小銃の銃剣が突きつけられていた。
立会人のトーマスさんの視力が回復したようで目の前の光景に驚いていたがすぐに理解した。
「騎士パーシヴァルの戦闘は続行不可と判断!よってこの勝負、陸翔様、豪志様の勝利!!」
決闘の時間はわずか5分程度で終わった。
(死人は出さなかったけど周りには被害が出たしどうなることやら…)
そんなことを考えながらも決闘に勝ったことを心の中で喜んだ。
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[涼木 陸翔 ]18歳 男
装備: 89式小銃、9mm拳銃
キル:8、総発砲数:15発 手榴弾:1
[藤真 豪志] 18歳 男
装備:M82A1、HK45、スコーピオンEVO3
キル:4、総発砲数:5発
[創造神デミウルゴス] 不明 男(?)
地球を造った神、全ての始まりの神でもある
[カバルディア・ジョーンズ] 48歳 男
カバルディア家当主
[カバルディア・アイリス]10歳 女
カバルディア家次女
[トーマス] 52歳 男
カバルディア家の執事
[ジェーン] 21歳 女
カバルディア家のメイド
[パーシヴァル] 35歳 男
クリストフォロス領の騎士団団長、剣の腕はかなりの上級者