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第5話 クリストフォロス公カバルディア・ジョーンズ


あの事件の後、時間が深夜だったのでひとまず全員で休むことになった。

そして朝の6時頃に目が覚めた。俺達2人は寝床に戻り休んでいたのでテントの中で目覚め昨晩助けた彼女らの元へ行った。


「おはようございます」

「これは陸翔様、おはようございます」

「体調はどうですか?」

「はい!とても良いですよ」

「それは良かった。もし宜しければ一緒に朝食を取りませんか?」

「おぉ!是非ともお願いします」

「ではテントを片付けて来ますのでもう少しお待ち下さい」


そう言って俺はその場を後にし自分達のテントに戻った。そこには既に身支度を整えた豪志の姿があった。


「おはよう」

「おう」

「あっちで一緒に朝食を食べよう」

「分かった」

「・・・・・・・なぁ豪志?」

「ん?」

「お前昨日大丈夫だったのか?いきなり俺らは人を殺したんだぞ」

「大丈夫なわけないだろ…あの後派手に晩飯をぶちまけたよ」

「ごめん…」

「大丈夫だ。とりあえず俺は先に行ってるぞ」

「すぐおいかける」


テントを片付けた時にあることに気がついた。

(このテントとかどーやって持っていこう?)

創造を使って出したのはいいものの運ぶ手段がなかったのだ。

(これ持って移動しなきゃならないのか!…嘘だろ…)

テントを持ちながら移動するのはさすがにきつい。いっその事燃やすなりして"消してしまおう"なんて考えた瞬間!

目の前にあるテントが光に包まれた。そして光が収まるとそこにあったはずのテントが消えていた。

(創造は自分の出したものは消すことが出来るのか…)

それに気づいてからは片付けがとてもはかどった。思いのほか早く終わりそのまま自分の支度をし、みんなのいる馬車の元へ向かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「遅くなりました〜」

「おせーよ、早く飯を出してくれ」

「分かったよ」


俺は前もって創造しておいたおにぎりと豚汁を出し、それを全員に分けた。


「陸翔様、これはいったいなんですかな?」

「おにぎりですが?」

「失礼、私はそのおにぎりと呼ばれるものを知らないのです」

「お米がないんですか!?」

「待ってください!この白く輝く粒がお米なのですか!?」

「「えっ?」」


執事のトーマスさん曰く、彼らが普段食べているお米の色は茶色なのだとか?

彼らが驚いていた理由は白いお米なのだそうだ。そんな驚きもありながら朝食をとっている時に今日の予定を決めていた。


「クリストフォロス領まではどのくらいかかるのですか?」

「クリストフォロス領にはもうすぐ入るのですがお屋敷までは少しかかります」

「分かりました。それでは食事を済ませ次第出発しましょう」

「よろしくお願いします!」


アイリスとメイドのジェーンも頭を下げた。しかし思ったよりも早く街に出ることが出来そうで安心した。


「少し向こうで護衛のことについて相棒と話して来ますね、豪志ちょと…」

「今行く」


「どうした?」

「これを持っとけ」

「これって無線機か?」


そう、俺が渡したのはコータムの愛称で呼ばれている広帯域多目的無線機だ。これはトランシーバータイプで野外の通信に向いている無線機だ。この護衛は2人で馬車1台を守らなければならないので前と後ろで連絡が取れなくなるのは非常に危険だからだ。


《・・・こちら陸翔・・・豪志聞こえるか?・・・》

《・・・聞こえるぞ・・・》


無線は良好、護衛の配置は俺が前方、豪志が後方を守る形だ。

(何事もなく終わってくれればいいけど…)

とか言うとフラグが立つので思うだけにしておく。


「それじゃぁ出発しましょう!」


俺のその一言で動き出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


道沿いに進むこと数時間…

お城の外壁の様なものが見えてきた。トーマスさん曰くあれは日本で言う入国審査的なものっぽいが、やる内容は身元確認なんだそうだ。

(ん?…身元確認?俺ら何も持ってなくね…)


「あの〜…」

「どうか致しましたか陸翔様?」

「いや〜、自分たち身分証明を持っていなくてですね…」

「左様でございますか、しかしご安心ください。私共はこの領地に仕えている身にございます。我々に身元確認は不要です!」

「それは良かったです」

「しかし陸翔様方は冒険者ではないのですか?」

「これには色々と長い話がありまして…」

「これはこれは出過ぎた質問を致しました。心より謝罪致します」

「お気になさらないでください、こちらこそ訳を話せず申し訳ない」

「滅相も御座いません。あなた方は命の恩人、謝らないで下さい」


そんな話をしている内に検問所のような所に着いた。門の前に居た騎士に向け、トーマスさんが大きな声を発した。


「門を開けよ!!カバルディア家次女のアイリス様がお帰りになさった!」


いきなり大きな声を上げるものだから驚いたが、その声を合図のように騎士達が慌てて動き始め門を開いた。俺は初めての光景で目を奪われていると1人の騎士が俺たちの元に近ずいてきた。


「アイリス様のご到着、心より歓迎いたします。執事のトーマス殿、護衛の騎士はどちらに控えているのですか?そして見知らぬ格好の2人はなにものですかな?」


俺とトーマスさんは顔を合わせた。トーマスさんは少し戸惑いながらも昨晩に起きた全てのことを話した。


「お待ちください!山賊ごときにカバルディア・ジョーンズ様につかえる我々騎士団が全滅、そして全滅させた盗賊12人をこの2人の子供が倒したと仰るのですか!! 」

「落ち着いて下さい騎士様」

「落ち着いてなんかいられませぬ!あの護衛の中には我が弟が加わっていたのです!今すぐに助けに行かねば!」

「落ち着いて下さい!」

「離せ!俺は弟の元に行く!」

「だから死んだって言ってんだろうが!聞こえねぇのか!」


いつの間にか豪志が俺の隣に来て騎士に言い放った。


「何者だ貴様ら!! 名を名乗れ!」

「俺の名前は」


名前を名乗ろうとした瞬間に豪志が喋った。


「まずは自分が名乗り出ろや!そんなん常識だろーが!てめぇは5歳児か!!」

「騎士に対してなんたる無礼!今ここで死ね!!」


騎士が抜刀し今にも豪志に向け剣を振り下ろそうとした瞬間!


「止めなさい!」


1人の少女が騎士の動きを止めた。


「そのものの言う通りです。まずは自分が名乗りなさい、そして落ち着いて話を聞きなさい」


馬車から降りてきたアイリスだった。その小柄な外見からは想像も出来ない大きな声で騎士を止めた。

騎士の名前はパーシヴァルと言ってこのクリストフォロス領を守る騎士団の団長だった。今日はたまたまこの外壁の警備の仕事がありこの場に出くわしたんだそうだ。

(自分の弟が死んだってのに落ち着いていられる兄なんてこの世にいないだろうに。すごい人だなこの人は)

騎士パーシヴァルは俺らの名前を聞いたあと昨晩の事の詳細を聞くために俺らと一緒に領主様の屋敷まで行くことになった。


《気をつけろよ陸翔・・・パーシヴァルだとか言う騎士がいつ俺らを襲ってくるか分からない・・・くれぐれも気を抜くなよ・・・》

《了解》


この騎士がこれ以上俺らに関わるとは思えなかった。まして俺らに対して攻撃をしてくるなんて考えられなかった。それでも俺は警戒を緩めずに先を進んだ。

そして1回も街を見ることがなく屋敷の目の前まで来てしまった。どうやら俺達が入ってきた門は裏口らしく表の門の方には立派な街があるらしい。

そのまま俺達2人は屋敷の中に案内されカバルディア家当主のジョーンズの部屋の前まで連れてこられた。そしてトーマスがノックをして


「ジョーンズ様、執事のトーマスでございます」

「・・・入れ」

「失礼致します」


トーマスがドアを開け、トーマス、アイリス、ジェーン、騎士パーシヴァル、そして俺らの順で部屋に入った。


「よくぞ帰ってきたアイリス!!」

「お父様!」


アイリスが勢いよくジョーンズに抱きつきに行った。その光景を眺めているとジョーンズと目が合い俺はお辞儀をした。


「トーマス、そこの者達は?」

「少々長話になりますゆえ、アイリス様はお部屋に」

「うむ」


アイリスが自室に帰り、俺達2人は隣の部屋の対談室に案内されジョーンズと向かい合う形でソファーに座った。ジョーンズの後ろに騎士パーシヴァル、俺の横で執事のトーマスが立ってこれまでの経緯を話した。


「そんなことが…。ひとまず礼を言おう!我が娘のアイリスを守ってくれてありがとう!トーマス、彼らに褒美を」

「ははっ、こちら金貨50枚でございます。下級貴族の称号は後日用意致します」

「ご苦労!さて、騎士パーシヴァル。お前はアイリスを助けてくれた恩人に対し剣を抜いたのは誠か?」

「事実にございます…しかしっ…」

「バカ者っ!! お前の弟を思う気持ちは分かるが騎士であるならば剣を向ける相手を間違えるでない!」

「申し訳ございません!」

「剣を向けたことは私も謝るだから今回はこれで許してはくれないだろうか?」

「次はないぞ…」

「ありがとう」


豪志が言うと当主のジョーンズ、騎士パーシヴァル、それに執事のトーマスが俺達に向けて頭を下げた。


「ジョーンズ様、この者達の力はどれ程なのでしょうか?今回の護衛には我が騎士団の中でも優秀な者を使いました。その者達が負けた相手を子供で2人だけで倒したとは考えがたいものでして…」


「確かに私としてもそれは信じ難い、そこでお主ら2人に我が騎士団の者と決闘をしてもらいたいのだが…」

「決闘?」

「うむ」


返信をした当主、ジョーンズの顔は笑っていたが彼の目はピクリとも動かずこちらを見ていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[涼木 陸翔 ]18歳 男

装備: 89式小銃、9mm拳銃

キル:8、総発砲数:15発


[藤真 豪志] 18歳 男

装備:M82A1、HK45、スコーピオンEVO3

キル:4、総発砲数:4発


[創造神デミウルゴス] 不明 男(?)

地球を造った神、全ての始まりの神でもある


[カバルディア・ジョーンズ] 48歳 男

クリストフォロス領の領主でカバルディア家当主


[カバルディア・アイリス]10歳 女

カバルディア家次女


[トーマス] 52歳 男

カバルディア家の執事


[ジェーン] 21歳 女

カバルディア家のメイド


[パーシヴァル] 35歳 男

クリストフォロス領の騎士団団長、剣の腕はかなりの上級者


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