第12話 戦争準備①
港に着くとそこには大海原が広がり、海岸沿いには市場のような屋台が並び魚や日用品を売っている。
俺達はまずスマホで杏美との接続が可能かどうかを調べた。やり方はいったって単純でただ杏美に俺のスマホをハッキングしてもらい遠隔操作をしてもらう。もし遠隔操作がさらたならばそれは接続が出来たという訳だ。
「頼むぞ杏美…」
「軍事利用を目的として作られたんだろう?それが出来なかったらただのAIと同格ってことか…。もしそうならこの戦争は俺達にはとてつもなく不利になる可能性が高くなるな」
「やな事言うなよ豪志」
「まぁ可能性の話だ。それよりスマホはどうだ?」
「とくにこれといって変化は…。あっ!」
スマホが勝手にスライドしメモのアプリを開いた。勝手にキーボードを押されて文字が打ち込まれた。
"陸翔様、ハッキングが完了しました。"
"無料通話アプリにて通話が可能です。"
"今しばらくお待ち下さい。"
するといきなりスマホが震えだし、画面上には杏美の文字と通話の拒否と応答が映し出され俺は応答を押した。
「もしもし…?」
『陸翔様、接続が完了しました。』
「流石だね杏美」
『ありがとうございます。』
「それじゃぁ新型のイージス艦を造りますか!」
「こんな一般市民の多いところでやるのか?」
「流石にまずいか」
「ほかのところの方がいい」
「となると…」
「あそこの倉庫前なんていいんじゃないか?人は少なそうだし」
「行ってみるか」
海岸沿いを通り先程豪志が指をさした倉庫の前まで来た。そこは現在使われていないような倉庫でさらに海沿いに進むと港の市場が見えなくなり、そこには古びた倉庫街があった。今は使われていないようで人影は全くなく、俺らにもってこいの場所だった。
「杏美、豪志のスマホに話してたイージス艦の写真とか設計図見たいのを映してくれないか?」
『わかりました。少々お待ちください。』
ピコン!
「ん?、なんか送られてきたぞ」
「見してくれ」
そこには新型のージス艦の写真からイラスト、さらに設計図までも映し出されていた。
「すげぇ…」
「これ全部国家機密かよ…」
『私が調べた限りですがこちらで全てだと思われます。』
「どうだ陸翔?」
「やってみる」
俺は杏美が送ってきた写真を隅々まで確認し、できる限り頭にインプットをして創造をした。すると海面が光り、少しずつ土台から姿が見え始めた。
灰色のボディがだんだん大きくなり船首かと思われる部分には白で200と数字が書かれていた。次第に甲板が現れ、前方部分には主砲の62口径5インチ単装砲が見えた。しばらくするとイージス艦の特徴的外見である六角形の板、SPY-1レーダー、通称スパイレーダーが見えてきた。
約30分をかけて俺は新型のAI搭載型ミサイル護衛艦(イージス艦)を創造した。
相当疲れたらしく俺は立っているのが辛くなり、地べたに座り込んでしまった。
「おおっ!なんだこれっ!カッケー!!」
「そりゃ良かったよ。こっちはもうヘトヘトだ…」
「ゆっくり休んどけって!」
豪志は初めてこんな大きな船を見たらしく、しばし興奮していた。
俺が今回創造したのは最新の護衛艦であるAIを搭載することが可能な新型イージス艦だ。
杏美の送った設計図通りならば全長170m、幅21m、出力69,000馬力の護衛艦で主な兵装は主砲の62口径5インチ単装砲、高性能20mm機関砲(CIWS)、ミサイル発射装置が前方に64セル、後方に32セルの計96セルで内部のミサイルは日本が対艦ミサイル、ハープーンを独自に改良した、JSSMと呼ばれる艦対艦空ミサイルで対空戦とミサイル防衛だけでなく、これは対艦兵器としての効果も合わせ持つ万能ミサイルなのだ。
(戦争しないって誓ったはずの日本がなんでこんな、いかにも攻撃するためのミサイルを作ったんだろう?)
そんなことを思い杏美に聞いてみたが、流石なそこまでは分からないようだった。
他の装備は90式艦対艦誘導弾、324mm3連装短魚雷発射管である。
「陸翔!これどうやって乗るんだ?」
「ちょっと待ってくれ〜、今階段出すから」
俺は自分の重い腰を上げてもうひと仕事することにした。
簡易な階段を創造し、イージス艦とくっつけて乗り降りが出来るようにした。
「うひょ〜、スゲーな陸翔!こんなの見たことねぇ!」
「俺もこんな間近で見たのは初めてだし、乗ったことないから興奮してるよ」
「これからどうする?動かすか?!」
「とりあえず俺は杏美をこの船と接続してくる」
「どこでやるんだ?」
「CICだ」
俺達はイージス艦の心臓部の一つであるCIC(Combat Information Center)日本語では戦闘指揮所と呼ばれ、レーダーやソナー、通信など自艦の状態に関する情報が集約される部署で、戦闘での指揮をとる場所である。
多くの機密情報がある場所なのでかなり頑丈な扉が使われている。
「おいしょっ!」
「よし!開き始めたぞ豪志、そのまま頑張れ!」
「おう!」
重い扉が開かれ、その中に入るとそこにはとてもくらい空間があった。
「なんだこれ?めっちゃ暗いな」
「まだ何も付けてないからね。杏美、電源はどこにある?」
『はい、CICの前方にあるメインモニターの下にあります。』
「了解」
暗いなかで入口から差すかすかな光でメインモニターを探しその前まで移動した。色んなスイッチやパネルがある中で真ん中に鍵穴があり、その横には鍵が置いてあった。
「杏美、この鍵を刺して回せばいいの?」
『はい、その通りです。』
「豪志!電源を入れるぞ!」
「頼んだ!」
「AI搭載型ミサイル護衛艦、始動!」
その言葉と共に鍵を回した。するとエンジンが動き始める音がし、次々とモニターが映り始めた。
「動いた!すげぇよ陸翔!カッケー!!」
「良かった。さてと、杏美は接続できる?」
『こちらのスマホをCICの内部にあるコンピューターに繋いで下さい。』
「了解!」
俺は中央にあるレーダー端末の所にあるコンセントを使いスマホを繋げた。
『接続を確認。リンクを開始します。』
「これでこの戦艦は杏美の思うがままになる訳か…」
「確かに恐ろしいわな。日本政府はとんでもないものを作ったな」
「でもそのおかげで俺達は助かるんだよな…」
「いいだろ、それで俺らは助かるんだからさ。ところで陸翔、操舵室はどこだ!?」
「あとで案内するから待ってて」
「分かった!」
数分後
『リンク完了。システムオールグリーン。艦内全てのシステムとリンクしました。』
「ありがとう、それじゃぁ操舵室に行こうか豪志」
「待ってました!」
俺らはCICを後にし、イージス艦の上階にある操舵室へ向かった。
「案外広いし、周りの景色は見やすいな」
「豪志、あれが操舵輪って言って車で言うハンドルだよ」
「これか!意外と小さいんだな」
「まぁ船にもよるけどね」
ひと通り艦内を見て、俺達はイージス艦の後方にあるヘリコプター甲板と格納庫へ向かった。
日本の海上自衛隊が持っているイージス艦にはヘリコプター甲板があり、航海中にヘリコプターの離発着が可能。あたご型護衛艦以降は格納庫も搭載しており、ヘリコプターを搭載することが出来る。
俺らがヘリコプター格納庫に着くとそこには2機のヘリコプターがあった。
1機は、SH-60K 哨戒ヘリコプター、三菱重工業と防衛庁で独自に改造開発を行い、哨戒能力の向上を目指した哨戒ヘリコプターで、もう1つはUH-60Jと言い自衛隊員からはロクマルの通称で呼ばれる救難ヘリコプターである。
「なぁ、もしかしてこのヘリも杏美が操作出来るのか?」
「ヘリは無理じゃね?」
『はい、私との同期を考えられて作られたのは多くありますがこの2機のヘリコプターは操作できません。』
「他にもAI搭載型の兵器が?!」
「日本はなんてものを作ったんだ…。陸翔の両親は自衛隊員だよな?なんか聞かされてないのか?」
「特には…」
「そっか。ところでさっきから外でなんか声がしないか?」
「確かに…。行ってみるか」
外が何故か騒がしかった。
(ここは見た感じ使われてない倉庫街みたいだったけど)
俺達は甲板に戻り倉庫の方を確認するとそこには騎士パーシヴァルの姿と騎士団の仲間であろう人達が騒がしく動いていた。
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[涼木陸翔]18歳男
装備: 89式小銃、9mm拳銃
キル:256、総発砲数:415発爆弾:6
[藤真豪志]18歳男
装備:M82A1、HK45、スコーピオンEVO3
キル:226、総発砲数:263発爆弾3
[杏美] 年齢無し 女?
地球上で誕生したスーパーAIで元々は軍事利用を目的とされた人工知能。
陸翔達を自分の主人としている。命令絶対なAI
[創造神デミウルゴス]不明男(?)
地球を造った神、全ての始まりの神でもある
[カバルディア・ジョーンズ]48歳男
クリストフォロス領の領主でカバルディア家当主
[カバルディア・アイリス]10歳女
カバルディア家次女
[トーマス]52歳男
カバルディア家の執事
[ジェーン]21歳女
カバルディア家のメイド
[パーシヴァル]35歳男
クリストフォロス領の騎士団団長、剣の腕はかなりの上級者
いつも読んでいただきありがとうございます!
今回から登場した新型イージス艦のAI搭載型ミサイル護衛艦は完全な架空の船でモデルは2020年から任に着くまや型護衛艦です。
そして同じく今回登場したJSSMも架空のミサイルで、ハープーンをモデルとさせて頂いました。
これから戦争に向けての準備をしていきます!
雑な描写もあるかと思いますがよろしくお願いします!