表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/30

8話ー戦闘準備

 ユリウスはガバンさんの家で寝泊まりしていた。ただで泊るのも悪いので、ガバンさんの仕事の手伝いをした。

 はじめは断っていたけど、俺が一歩も引かずガバンさんが折れてくれた。

 あと、剣道でも俺は話題になった。

 一国の幹部を倒したと言うことで、生徒の大半が俺に練習を請うてきた。その光景を見た先生が、かなり呆れていたけど、俺も先生もなんとかみんなを説得して、通常通り練習をした。

 しかし、ある日。街の外から声がした。


「おーい!ここの町長はいるかー!」


 その男は焦って町長を探していた。

 町長が来て話を聞くと、その男はどうやらドラーシップ街とロアンクルシル王国の一直線上にある、ギールという街から来たミラーというらしい。


「それでどうしたんじゃ?」

「俺がギールいたら、東の王国の兵達がゾロゾロやってくるからよ、1人の兵隊さんに何があったのか聞いたんだよ。そしたら、『理由は知らないが、今からドラーシップ街を潰しに行く』なんて言うからよ、こりゃあじっとしてられんってことで来たんだよ。ただ、俺、馬持ってねえから走ってきた。」


 それを聞いたみんなが一斉に俺を見た。


「はあ、やっぱり来たか。でも安心して。ここは俺が絶対に守るから。」

「何があったのか知らねえけど、歩いてたから明日にはここに着くと思うぞ。」

「丁度いい。その間にみんなは被害が出ないように、用意してて。」


 俺の声を聞いて、みんな家に帰った。何かあってからでは遅いため、みんな大きなバックに荷物を入れていた。

 俺はみんながいないのを見て、ミラーにどれくらいいたのか聞いた。


「正確な人数は知らないが、兵隊が喋ってた中で、1万っていう声が聞こえたが、それが兵の数かは知らねえ。」


 らしい。

 俺もガバンさんの家に入って考えた。

 どうやって迎え撃とう。

 考えているとガバンさんが話しかけてきた。


「どうすんだよ。お前のその能力を使えば勝てるとは思うが。」


 そう、それだ。そこを悩んでいた。

 刀だけでも、ある程度は倒せるかもしれない。でも、それにも限度がある。

 だからって下手に能力を使えば、ここのみんなに俺が魔物だということがバレる。

 確かに、もともとスキルを持っている人間もいる。

 ただ、俺も街のみんなからすれば成人したばかりの初心者だ。そんなやつが、1万人いるかもしれない兵を倒したら誰でも、俺が魔物だと気づく。

 どうしたものか。


「お前はどうしたい。」

「どうしたいって言われてもねえ。バレずにすむならそれがベストだけど、バラさないでここがなくなるっていうのも嫌だしね。」


 自分でいうのもなんだけど、俺は強い。だけど、能力なしでこの街を1万から守れるほど強くない。

 父さんから貰った刀もかなりのものだけど、まだものに出来ていない。ある程度使いこなせるだけで完璧ではない。

 タイムリミットは明日。どうしたものか。


「んー、もうみんなにバラシちゃったら?」

「え?」


 ガバンさんからかなり意外な言葉が出た。


「バラすっていっても、その後はどうすんの?」

「その時は俺がみんなを説得しよう。だが、万が一それでもダメだった場合は、一緒に別の街に行こう。そうすればまた、同じように始められる。」


 ほんと、ガバンさんは嬉しいことを言ってくれる。


「でも、ガバンさんはそれでいいの?」

「俺のことは気にするな。言っちゃあなんだが、俺の名はそこそこ売れている。他の街に行っても大丈夫さ。」


 そう言って、笑ってくれた。

 そこまで言ってくれるなら、俺としてはすることはひとつしかない。

 全力で相手をするだけだ。



 その日の夜、俺は夢を見た。

 周りは真っ暗だが、俺の目の前には母さんと父さんがいた。

 俺は近寄って、母さんと父さんの前で止まった。


「アル、元気でやってるじゃない。」

「いや、いろいろ大変だよ。」

「ハハハハ!あのロアンクルシル王国に喧嘩を売るとは、なかなかにやるな。さすがは俺の息子だ。」

「ふ、なんで知っているんだよ。2人はもう、死んじゃったんだよ?」

「なーに簡単なことだ。言っただろう、俺たちは常にお前の中にいると。お前が忘れない限り、俺たちは死なない。」

「じゃあ俺が今見てるのは、俺が作り出した母さんと父さん?俺は自分に話してるの?俺、1人になりたくないよ。」

「アル?母さんと父さんはね、悪魔が作り出しても、天使が作り出しても、アルが作り出しても、母さんは母さん。父さんは父さんよ。」

「母さん、俺、怖いよ。みんなの前ではあんなこと言えたのに。もしかしたら俺、この戦いで死ぬかもしれない。」


どうも俺は前世(むかし)から自分の悩みを溜め込むくせがあるらしい。

みんなの前では、できるできると言いながら、影でどうしようと悩んでしまう。

そのくせがまだ治っていない。


「何を甘っちょろいこと言ってんだ。お前は誰の血を持っていると思っているんだ。かの有名な破壊龍ヴェルハザード様だぞ?そんな簡単に死なれてもらっては困る。お前には果たして貰わないといけないこともあるのだからな。」

「グス…、そうだね。まだ、泣く時じゃないね。俺やるよ。見てて母さん、父さん。俺がこれから活躍する所を。」

「ええ、楽しみにしてるわ。」

「見せてもらおうじゃねえか、お前の活躍を。」





 夢から覚め、俺はベッドから降り、外を見た。

 綺麗な青空だ。

 見ててよね、母さん、父さん。

 そして、俺は着替えて、これから戦うための準備をした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ