30話ー衝撃
エノ村で一泊した後、俺は旅立つ準備をした。
そろそろでようかなと村の周りを見渡していると、ファヴァルニールが何やら小包を持ってきた。それを受け取り中を開けてみるとサンドイッチが何個か入っていた。
行く道中におなかがすいたら食べてとのことだった。
俺は喜んでその小包を受け取った。
出る前に村長に一言言ってから行こうと思ったが、工事の邪魔になると思い静かに出た。
森に入って少し経つと空を飛んで移動した。
やっぱりこっちの方が楽だね。
村の真ん中で飛ぶと人目につく。それはなんかいやだったから森の中から飛び始めたのだ。
俺はファヴァルニールからもらったサンドイッチを食べながらこれからのことを考えた。
ちなみに飛んでる最中は風を受けなくしているからサンドイッチは普通に食べれる。移動しながら食べるのは行儀が悪いが今はだれも見ていないからセーフだ。
話を元に戻して、このまままっすぐ飛んでいくと中央都市国家群につくとアロンが言っていた。何やらそこは小規模王国が三つ集まって成り立っているらしい。フィリップ王国、オーデマ王国、コンスタン王国の三つだ。
中央都市国家群中央都市国家群では主に軍事、経済、政治の役割を分担している。もともとが小規模だったためにそれぞれは大したことないが、ほかの王国と比べて安定している。
ほかの王国だとどうしても何か一つが特化してしまう。ロアンクルシル王国なら経済力、イグリス王国なら軍事力といったように。
しかも、元々別だった王国が1つになったため、王国内の文化も独特らしい。でも、この話を聞いた時俺は文化に興味がなかったので、右から左に流した。今思えばちゃんと聞いておけば良かったと思う。
そんなことを考えているうちにサンドイッチがなくなった。美味しかったからつい夢中になって食べてしまった。
にしてもお腹すいたな。
朝起きてから直ぐに出たから何も食べていなかった。ファヴァルニールからサンドイッチは美味しかったけど、ちょっと少なかった。
こういう場合中途半端に食べると逆にお腹空くんだよね。
という訳で一旦降りて木の実でも食べることにした。
森のど真ん中に降りたから木しかない。当たり前だけど。
でも、この世界に来てからずっと森の中で過ごしてきたから逆に落ち着く。
そして木の実拾いを始める。
こういう所にはだいたい野いちごやどんぐりみたいなのがいっぱいある。
手のひらが埋まるほどに集めた。すると俺はある物を発見した。
みかんの木だ。
森の中にはたまに果物の木がある。誰かがこの森に来てみかんを食べたあと、その種を吐き捨てたのだ。
吐き捨てること自体はいけない行為だけど、今となってはその人に感謝だ。
みんな、ポイ捨てはダメだよ。て、俺は誰に言っているんだ。
てことで俺はいくつかみかんをとった。もちろん普通には取れないから空間支配を使った。
で、そのまま皮を剥きながら野いちごを食べた。
果物を食べ終わったあと、また空を飛んで中央都市国家郡を目指した。
しばらく飛んでいると、平野に出た。そこには緑といっぱいの地面をかける動物達の姿があった。その光景はずっと続いていた。
しかし俺はある異変に気がついた。
動物の姿が常に俺とは逆の方向であることだ。しかも全ての動物が走っている。
さすがにおかしいと思った。
動物は災害に敏感だ。どから遠く離れた所にいても直ぐに感じることが出来る。
俺は、何かあったに違いないと思い、スピードを上げた。
すると、無数の足跡を見つけた。俺は降りてその足跡を見てみた。その足跡は全て俺の進行方向に進んでいた。しかも数人の足跡ではない。ざっと見ただけでも300人以上はいる。
遠くを見ていると、小さな村みたいなのを見つけた。その場所にすぐさま瞬間移動をした。
そこにあったのは、見るも無残な姿になった村のあとだった。
俺は驚きつつもまずは生存者がいるかどうか確認した。
「おーい!誰かいますかー!」
辺りはしんとしていた。しかし、ひとつの家からガタガタと木材が落ちる音がした。
直ぐにその家に入ってぐちゃぐちゃになった家の中を丁寧にかき分けた。周りのものが崩れないように固定したり、浮かせたりしながら。
その中にいたのは男の子とその母親だった。
男の子は俺を見ると泣きながら、
「お、お願いじまず!母ちゃんを、母ちゃんをだずげで!」
俺は一瞬状況が飲み込めなかったが、母親を見てみると、かなりの重症だった。恐らく子供の盾になって瓦礫から守ったのだろう。
俺は直ぐに母親に手をかけ回復させた。
怪我はあっという間に無くなりやがて目を覚ました。
「は!ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!」
「いえいえ。それより何があったんですか?」
俺はこの女性から今まであったことを聞いた。
今から2時間ほど前。家でいつもの様に過ごしていると遠くから音が聞こえてきた。それは村のみんな聞こえていたらしく、外に出ていた。
歩いてくる集団が、人の形が目に見える程度に近づいてくると、いきなり走って向かって来た。
村中がパニックになり、それぞれ家の奥へと入っていった。
謎の集団は家の中を壊すだけ壊し、人を見つけたら殺す。それを繰り返した。
しかし、幸いに人殺しが目的ではなく、破壊行為をすることが目的だったらしく、人を探すことはしなかった。
それで、その謎の集団はどこかへ行った。
話を聞いたあと、他に生きている人がいないか探してみた。ギリギリ生きていた人が数人いたが、大体は亡くなっていた。
俺は村人の了承を得て、その人たちを埋葬した。
それで死体は無くなり、埋葬した所のそばでみんな泣いていた。
それと共に、俺の内側から激しい怒りが沸き起こってきた。




