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3話ー龍人

 そこはどうやら洞窟の奥のようだった。

 そして、俺の目の前にはひとりの女性と大きなドラゴンがいた。


「ぎゃああーーーーーー!!!!」


 卵の外から誰かの声が聞こえるから誰かがいるとはわかっていたけどなんでドラゴンがいるの!?

 それになんでとなりの女性はそんなに平気なの?

 食べられるよ?

 すると女性が俺の方にやって来て、俺を抱きかかえた。


「わー。元気な男の子だよ、ヴェルさん。」

「うむ。そうだな。」


 俺は今までで最も恐怖を感じた。

 しかも女性はドラゴンに話しかけてる。大丈夫なの?し、しかしあんたたち誰?

 俺は今疑問に思ったことをついそのまま言ってしまった。

 なぜそんなことを聞く余裕があるか?そんなの簡単なことだ。

 今俺を抱きかかえてくれている女性がかなり可愛いのだ。

 その可愛さに俺は少し安心していた。


「だ、誰?」

「ん?私たちはねーあなたの…」


 女性はそういうと、突然気がついたように叫んだ。

 ドラゴンの方も同じように、


「「しゃ、喋ったーーーー!?」」


 何を言っているんだ。俺だって喋るよ。

 俺はドラゴンや女性の俺への接し方をみて俺に敵意を持っていないと判断した。

 そして今ではかなり落ちついている。(可愛い子の抱っこもあって)




 10分ほどたち、両者落ち着いていた。

 そして女性が俺に言ってきた。


「えー、いい?私はあなたのお母さんのコマ・マリン。そして、こっちのドラゴンがあなたのお父さんである、ヴェルハザードさん、よろしくね。で、あなたの名前はアルダート・ユリウス。」

「正確には破壊龍ヴェルハザードだ」


 まじかよ、破壊龍て、中々やばいやつやん。でもここで怖気付くわけにはいかない。

 なるべく堂々と。


「え、あ、よろしくお願いします。」


 赤ちゃんが敬語をつかうなんてかなりシュールだな。

 でも、なんとか動揺は隠せた気がする。


「敬語なんて使わなくていいよ、私たちは家族なんだから。」


 まあ、それもそうか’。

 家族間で敬語を使う方が珍しい。もちろん否定するつもりはない。

 でも、いきなり家族か。俺は前世の記憶があるから、前世の母と今の母がごっちゃになってややこしい。

 しかし、これは慣れるしかない。

 とりあえず俺は、今どんな姿をしているのか気になったので、近くにあった泉に行き、自分の姿を見た。

 自分で言うのもなんだが、かなり可愛い。

 いい感じに脂肪がついていて思わず見とれてしまった。

 目は青色で、髪全体的に青っぽい。

 そして、よく見ると頭にはツノが生えていた。これまたツノも青っぽく、後ろ向きにかっこよく生えていた。

 俺はツノを確認し終えると、見るものを見た。

 そこには小さくなった男の象徴があった。

 以前はジャングル並だったものが今では何もなく、砂漠のようだった。

 俺はなぜかショックを受けた。

 以前はあんなに立派だったのに。

 俺は自分の体をペタペタと触った。

 そして、尾てい骨あたりに違和感を感じた。よく触って見るとそれは、小さな尻尾だった。赤ちゃんらしいかわいい尻尾だった。

 ただ、ここで驚いたりはしない。ドラゴンを見たあとだからね。はは…。

 自分の姿を見ていると、ドラゴン、いや、俺の父さんのヴェルハザードが声をかけてきた。


「アル、お前、自分のステータスを見ることはできるか。」


 アルって俺のことか。

 それにしてもステータス?なんか面白そうだな。

 女神さんが言っていたけど、なんらかの能力が手に入るらしいね。


「どうやって見るの?」

「ふむ、やり方はな。心の中で『ステータス』といえば見ることができるぞ」


 なるほどね。よし、それではやってみよう。“ステータス”。


 《アルダート・ユリウス》

 所持スキル:奪取バク、龍人化

 サブスキル:なし

 種族:龍人

 流石に生まれたばかりはスキル少ないな。これから増えるのかな?


「所持スキルっていうのが奪取バクってのと龍人化で、サブスキルがないらしい。」

「何!もう奪取バクを持っているのか?我の息子だからって早すぎはしないか。いや、でも我の息子だしな。それくらいはあるかもしれんな。」


 なんか父さん(慣れてないから言うの恥ずかしいな)が俺のスキルを聞いて驚いていた。

 後半何を言っているか聞き取れなかったけど、多分聞かなくても大丈夫だろう。

 頭にハテナマークを出していた俺にその「奪取バク」についての説明をしてくれた。


奪取バクというのはな、相手を食らうことで相手のスキルを奪うことができるスキルだ。まあ奪うといっても相手のスキルを自分がそのまま使えるようになるだけだがな。俺も強制剥奪アブソリュートという奪取バクの上位互換のスキルを持っていて、俺のはじめてのスキルも奪取バクだったが、生まれた時からはなかったぞ。」


 自覚はないけど、なんかすごいことらしい。

 しかし中々面白いスキルだな。相手を食べたら相手のスキルを奪えるなんて。

 でも、相手を食べるのかー。なんかいやだな。

 そこは父さんが解決してくれた。


「食らうのは相手のDNAだけでいい。髪であったり、皮膚であったり、地であったり。とりあえず相手の情報が書かれているものだったらなんでもいい。それを少し食らうだけで、スキルを奪うことができる。」


 らしい。

 まあ、相手を全部食べろと言われても無理な話だからね。よかったよかった。

 ただ、この後父さんがぎょっとすることを言ってきた。


「じゃあ、試しにそこの蜘蛛を食って見るが良い。」


 はあ!?蜘蛛を食う?

 いやなんでいきなり蜘蛛?ハードル高すぎない?

 辛いものが苦手な人がいきなりハバネロを食べるくらいハードル高いよ!?

 しかも蜘蛛の場合、見た目からしてそうだけど、気持ち悪いし、どんな味がするのかもわからないし。やばい。想像しただけで鳥肌が立ってきた。

 するとそこに救世主がやってきた。


「ヴェルハザードさん。生まれたばかりの赤ちゃんに蜘蛛を食べさせたらいけませんよ?」


 そう言ってそっと抱っこしてくれた。

 天使だ。

 やばい。好きになりそう。

 いや待て待て。俺は前世の記憶があるから他人のように感じるけど、これは親子関係だ。

 ここで一線を越えるわけにはいかない。

 そう思い、俺は踏ん張った。


 そこから俺は「龍人」として生きることになった。

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