23話ーお昼の知らせ
次の日の午後。二日酔いもだいぶ収まり、俺はアロンのもとに向かっていた。
午前中はかなり頭が痛くてずっと寝ていた。そこにここの使用人が「昼ごはんののちに国王からお話があるそうです」と言われた。昼ごはんの後ということは、みんなはもう朝ごはんは済ませているのだろう。
そう思い、また寝た。
そして今。
食堂に向かっている途中も気持ち悪かったが、何とか我慢してたどり着いた。途中で帰ろうかと思ったけど、アロンからの話のことを思い出して頑張った。
食堂には幹部の人たち10人とアロンがいて、俺は空いてる席に座った。昨日の夜はご飯は外で済ませてこなかったけど、ずいぶん大きな食堂だ。真ん中に長机が一つあり、幹部が5人ずつ長い面のほうに。俺とアロンが遠く向かい合うようになっていた。
みんなが黙っていたから俺もしゃべりづらくなって、しゃべれなかった。
しばらくすると俺が来たドアではない、奥のドアから料理を持ってきたコックずらずらと来た。俺はそのコック達にどことなく安心感を覚えた。
コック達はまず俺とアロンに料理を置いた。俺に料理を置いてくれた人は一礼して、料理の紹介をしくれた。
「こちらは秋鮭のマリネ、栗と茸のポタージュ、子牛のヒレステーキ温野菜添え、トーストとなっております。この中で何か苦手な食材はありますでしょうか。」
「いえ、ないです。」
あったとしても言えないよ、この状況で。
「ありがとうございます。では、ごゆっくりとお楽しみくださいませ。」
そう言って、コック達は下がっていった。
みんなは食事中も終始無言だった。聞こえるのは皿とナイフやフォークが当たる音と、自分が今食べているものの咀嚼音だけだ。料理ももちろん美味しかった。けど、会話がないだけでこんなに物足りないとは思わなかった。
そうして俺たちはご飯を食べ終えた。日本にいた頃のくせで、「ごちそうさまでした」と言うとアロンが、
「食べる前も思ったのじゃが、なんなのだそれは。」
「それ?ああ、合掌のこと?俺が異世界から来たって言うのは知ってるよね。そこでは食べる前に『いただきます』、食べたあとに『ごちそうさまでした』、と言って、料理を作ってくれた人達や料理の食材になった者達に感謝の意を表すための言葉だよ。」
その言葉を聞いてみんなが関心した様な目で俺を見た。みんないろんな目で俺を見てるな。
そのタイミングでコックさんたちが皿を下げに来た。アロンは皿を下げ終わった時を見計らって「話があるといったよな」と話を切り出した。
「先日のレヴィアタン襲撃に関して、感謝する。町への被害も最小限にされてある。幸い死人もいない。本当に感謝してもしきれん。」
そういってアロンが頭を下げると幹部のみんなも頭を下げた。
「俺たちはまだあなたのことを完全に信用することができていません。しかし、あなたが脅威でないことはわかりました。」
アーケードもそういってくれた。
でも、いきなり敬語になるのはなんか気持ち悪いな。
「あ、別に敬語を使わなくてもいいよ。」
「いえ、1人とはい一国の王です。今後は…」
「だから、別にいいって。」
「し、しかし…」
変なところで頑固になるな。
アーケードはちらっとアロンを見た。
「構わん。昨日みたくため口で話せ。そのほうがお前としても気楽で良いだろう。」
「うん、そうだね。」
アーケードはあきらめた顔をして、「わかった」といった。
この話はこれで終わった。
「あと、これは確認という形になるが、お主の種族はなんだ?」
種族?なんでそんなこと聞いてくるんだ?
疑問に思ったが、俺はステータスを見た。そこには、「種族:龍人」という文字があった。
「ステータスには龍人って書いてあるけど」、なんで?」
「やはりそうか。いやな、わしも龍人という言葉をどこかで聞いたことがあると思って調べてみたのじゃよ。そしたら、ある書物に『亜人』と書かれておったのじゃ。」
亜人という言葉を聞いて、幹部たちが驚いていた。
俺には何のことかわからないが、とにかくすごいことなのだろう。
「龍人、そういえばおとぎ話で聞いたことがありますわ。」
そういったのはカテリーだ。カテリーによると。
亜人は3000年に一度現れるかどうで、必ず何か大きな目的を持っている。
そしてその強さは、1人で魔族を相手にできる。
一番知られている亜人は、悪魔の生まれ変わり「アモン」、天使の生まれ変わり「ミカエル」、オーガの突然変異種「鬼神」、エルフの突然変異種「精霊神」、そして、龍の化身「龍人」。主にこの5つがある。亜人はほかにも種類があるとされているが、記録されているのは今の5つだけだ。
しかも、亜人は必ず人類の味方になるわけではない。その時の亜人の気分次第だ。
カテリーの話には思い当たるところがいくつかあった。
まず俺はヴェルハザードという龍の子孫で、人類と魔物を共存させるという目的がある。しかも、昨日のレヴィアタン、七つの大罪を1人で倒した。
ここだけでも共通点が3つある。これで確定したも同然。俺はどうやら「魔物」ではなく、「亜人」だったらしい。
分かったところで俺は何も変わらないが、周りは変わったようだ。空気は一気に張り詰めた状態になり、アロンが聞いてきた。
「聞くがユリウスよ、お主は本当に人類の味方なのじゃな?」
「そうだよ。まあ、正確には『人類と魔物の』だけどね。」
その言葉を聞いて、みんなため息をついた。




