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2話ー暗闇

 可愛い女神様とお別れしてすぐの出来事。俺はマジで死ぬかと思った。

 俺は無事異世界への生まれ変わりに成功したらしく、体の感覚があった。だけど周りは暗いまま。

 ちょっと違和感はあるが今は気にしない。

 そしてここは水の中らしい。

 水の中?俺泳げないんだけど?

 気づいた途端に一生懸命上に上がろうと手足をバタバタさせた。つまり、溺れたのである。


(ちょ!し、死ぬ!生まれ変わってすぐに溺死笑えないから!)


 泳げない人がそう簡単に水上にあげれる訳がない。しかも、パニック状態ならなおさらだ。

 何もせずにゆっくり足を動かせば、普通は上に行けるのだが、そんなことはこの状況で思いつかない。

 俺はしばらく手足をジタバタさせていた。するとしばらくしてあることに気づいたのである。

 全然苦しくないのだ。

 俺は一度落ち着いた。

 水中にいて何も苦しくないということは、俺は魚か魚人になったということか?

 まさか転生したら、魚介生物とは。たしかに何になるかはわからないとは言ってたけど、それはないだろう。手足があるということは魚人だろう。

 おれは魚人の姿を想像した。あんなやつにはなりたくない。

 しかしそれにしてが違和感がある。

 海にいるのだとしたら、ここは暗すぎるのだ。

 でもそれは深海にいると言えばいい話。

 一番違和感を感じたのは、体の比率だった。

 腕を組もうとしても胸の前で手を握るのがやっと。

 しかも腕、足、腹、と全体的に太ったのだ。さらに頭が体に対して以上にでかい。

 俺はこの特徴のある生物を考えた。


 ポ・ポ・ポ・ポ・ポ・ポ・チーン


 俺はこれしか考えれなかった。

 そう、赤ちゃんである。

 しかも、この暗く、狭い空間で水に満たされているということは、おそらく卵の中なのだろう。

 よかった、まだ魚人と確定した訳ではない。

 俺はとりあえず一安心した。

ーー

 自分が赤ちゃんだとわかってしばらくたった。

 周りが真っ暗だからどれくらい時間が経ったかはわからない。

 俺は今までの人生で一番暇していた。

 いや、今の俺は生まれ変わっているから、前の人生というべきか。

 とにかく暇していた。

 俺はすることがないから、卵の中で泳ぐ練習をしていた。練習といっても泳ぐ範囲が限られているから、その場でグルグル回ったり、上下に移動して遊んでいるだけだ。

 ちなみにこの卵の大きさは、俺の大きさがわからないからなんとも言えないけど、身長170cmくらいの人(俺がそれくらいだった)からすると、高さは片腕を挙げた程度。横は前習えをした時よりも少し大きいくらいだ。

ーー

 さらにしばらくたった。

ーー

 俺はさらに暇をしていた。

 なぜなら、俺は成長したらしく、卵の中がかなり窮屈になってきたのだ。

 狭くなったことですることもなくなり、さらに、もともと入っていた水が今は3分の1程度までに減っている。

 恐らく、俺は水に含まれていた栄養分だけでここまで成長したのだろう。

 酸素に関しては、大丈夫だ。ずっと密室だから心配する人もいるかもしれないが、なぜだか知らないけど、少々呼吸をしなくても生きていけたのだ。

 赤ちゃんの分際で何でそんなことしなければならなかったのか。でも、いい暇つぶしになった。

 しかも、卵はもともと穴だらけというし、そこから酸素が入る(と思う)から大丈夫だろう。

 しかし気づいたこともあった。

 水で満たされていた時は振動が水に吸収されて気づかなかったけど、水が無くなったことで振動が直接俺に届き、外の音が聞こえるようになった。

 2人の声が聞こえる。

 1人は女性の声でもう1人がおっさんの低い声だ。

 今はこれしか分からない。声が小さすぎる。だが今はそれは関係ない。外に出ればどうせわかることだ。

 そうして俺は自問自答を繰り返してまたねむった。

ーー

 さらにしばらく。

ーー

 もう、しばらくしばらくと言いすぎた。

 だけど仕方ない。この暗闇のなか、時間の感覚も分からず、ただ寝ているだけだからしばらくという表現しか当てはまらないのだ。

 ひよこはこんな思いをいているのか。

 そう思うだけで俺はひよこを尊敬した。

 そしてそろそろ俺も外に出る時が来たようだ。

 今まであった水もなくなり卵の中には俺だけとなった。

 その時俺にある不安が襲いかかっって来た。

 そもそも俺は今出ていいのか。今出てもちゃんと生活できるだろうか。

 いや、大丈夫とは思う。だけどかなりの不安がある。

 言語については美女女神さんが言っていたように強制的に俺の脳に入ってるから大丈夫として、問題は俺の正体はなんなのかということだ。

 卵から生まれる時点で人間ではない。

 ということは卵から生まれる生物、魚類、鳥類、両生類、などといったものだ。

 さて僕はなんなのでしょう。

 まあ、考えても仕方ない。

 その問題は生まれた時に考えよう。

 そして俺は卵から出る決意をした。

 ここでもまた不安が襲って来た。

 この卵の殻、割れる?

 もしかしたら固すぎて割れない可能性もなきにしもあらず、だ。

 しかし、これもさっきの問題と同様に考えても仕方ない。

 とりあえずやってみよう。

 ということで俺は、殻を思いっきり殴った。

 するとどうだろう。殴ったところからどんどん蜘蛛の巣状にヒビが大きくなっていく。

 多少の痛みはあるがそこまでではない。

 しかもヒビの隙間から少しだけだけど、光が入って来た。

 もう一度殴った。

 すると今度は前方が完全に割れた。

 眩しい!

 ずっと暗闇で生活して来た俺にとっては、少しの光もかなり眩しいと感じるのだ。

 しかし、ただそれだけだ。

 眩しいだけであとは何もない。

 俺は新しい人生の第一歩をかっこよく踏み出…


 ツルン!

 ゴロゴロドッテーン


 せなかった。

 実にカッコ悪い。まさか第一歩を踏み外してしまなんて。

 そんなことを考えている俺の目の前にはひとりの女性と大きなドラゴンがいた。

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