18話ー滞在
ロマノフからの滞在許可が出たので、俺はしばらくロアンクルシル王国にお世話になることにした。
最初に行ったのはここの飲食店だ。俺は生まれて15年、ドラーシップ街のご飯しか食べたことがない。しかも俺は強くなるために、生き物のDNAを取り込まないといけない。それはもう、想像を絶する恐ろしさだった。例えば、虫とか虫とか虫とか。日本の芸人さんはほんとによくやると思う。それがテレビで放送されるならなおさらだ。俺なんか食べた時の表情だけで3日はネタにされた。
おっと、話がズレちゃった。
ご飯は予想通り、西洋風だ。基本的にお肉があり、その他の野菜が散りばめられている。国や店によっては多少異なるが、だいたいそんな感じだ。
あと、ひとつ思ったことがある。ここら辺、いや、この世界自体にかな?米がない!パンはあるが米がない!ドラーシップ街の でも米はないのか聞いてみたけど、全員が首を傾げた。この世界はどうやら米の良さが分からないようだ。
あ、そういえば異世界人がいるとか言ってたな。どこの国なんだろ?また、聞いてみよう。
さて、ご飯の次は。って考えたけど、何も思いつかなかった。突然暇になった俺は城に戻って、ロマノフに何かすることはないかと聞いた。俺の態度にかなり呆れていたようだが、なんとかすることをくれた。それはハリセン達の訓練だ。
ロマノフいわく、兵の訓練をさせたいけど、公の場に出すことが出来ないので、幹部を訓練されて、それを兵に教えるという形をとるそうだ。
というわけでさっそく集まった。
闘技場では出来ないので、城内の割と大きめの広場ですることになった。しかし、ハリセン達は俺から教わることがあまり好きではないらしい。理由は分かるけど、聞いてみた。すると、思ってたのと違う答えが帰ってきた。
「教わること自体は別に嫌と言う訳では無いけど、教えれるの?」
失敬な。俺だって教えるくらいできるよ。これでも一応、教師をやっていたんだからね。
と、考えて見たけど戦いの教え方は思いつかなかった。よく考えたら俺が教えていたのは数学だ。戦闘ではない。まあ、考えても仕方ないので、とりあえず、模擬戦をする。
5人は俺に向かって構えてきた。すると、バーンが勢いよく俺の方に飛んできた。
「ははっ!先手必勝だ!」
「ばっ!お前!」
勝手な行動をするバーンをウォントが止めようとしたが間に合わず、諦めてバーンに合わせることにした。
そして俺は飛んできたバーンをハエを叩くがごとく、ビンタした。横に吹っ飛んだバーンを見て呆然としている4人を見てやってしまった感がわいてきた。もしかしてバーンをおとりにする作戦だったとか?恐る恐る聞いてみるとコクコクとうなずいた。
仕方ないので先手を相手に譲ることにした。で、今度こそ秘密の訓練が始まった。
結果を言えばもちろん俺が勝つ。そして気づいたこともあった。
ハリセンは特にスキルを持っていなく、剣術だけでの勝負だ。リーナもスキルを持っておらず、スピアでの勝負だ。
一方でレスとウォントについては射撃と斬撃というスキルを持っていた。レスのスキルは弓で狙ったものを的確に射止め、威力、速度を上げるものだ。ウォントのスキルは、自身が持っている剣を振ることによって、剣から文字通り斬撃が飛ぶ。
一見結構バランスいいパーティーに見えるがそうではない。確かに見た目のバランスはいいが味方通しのバランスが良くない。連携が全く取れていないのだ。
普通ならレスやウォントを後ろで待機させて、ハリセンとリーナが二人を見えないようにして戦い、矢や斬撃を打った後にタイミングよくどいてそれを当てるといったような、だれもが思いつきそうな簡単な戦術で戦うかと思ったら全然違った。ハリセンとリーナ個人の剣術はいいがそれをうまく発揮できておらず、レスの動きも丸見えで、ウォントに関しては今回何もできていない。
個人個人は強いのにもったいない。
そして、戦い終了後、今のようなことを4人に言った。しかしそれはもうわかっていたことらしい。
じゃあなおさらダメじゃん。まあ、言っても仕方ないので言わなかったが、どうやって指導しよう。俺は今まで一人で戦ってきた。複数人で戦ったことなんて一度もない。
何をすればいいのか全然わからないけど、とりあえずハリセンとリーナ、レスとウォントで戦わせてみた。味方同士の癖をよく理解して、どうすれば相手が動きやすいか。どう動けば相手が自分の思った通りに動くか。ともっともらしい意見を言ってやった。
バーンに関しては俺がたたき起こして組手の練習をした。
柔道とかには行ったことないが、一時期、ブルース・リーやジャッキーチェンの映画がはやった時にインターネットで調べて自己流の格闘法を編み出したことがあるので(もちろん試した機会はないけどね)、それを適当に教えた。
すると5人ともうまいだけに覚えがよく、多少は連携が取れるようになった。そのあとでもう一度戦ってみると、さっきとは打って変わって、かなり連携していた。完璧というにはまだ早いがそれでもいい成長っぷりだ。
そのあとも組を変えて同じようなことを繰り返した。
そういえば、ロマノフが兵の訓練に関して役に立ちそうなことを教えろとか言っていたけど、ま、いっか。5人とも優秀だから何とかしてくれるよね?




