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南の国のタイムトラベラー  作者: 麦食くま
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5、テレビも見られない夜

だが、聞こえてくる会話の内容は非常に危険なもの。「しまった。服を着替えるの忘れた。とりあえず橋本君逃げよう」顔色が変わった黒山に引っ張られるように橋本も走り出す。歩いてきた道を全速で戻る。10分くらいして先ほどの場所の近くまで戻ってくると、籠に入っていたベアーが用意していたこの時代の服を出す。「そうか、確かに1990年の格好では怪しまれる。急いで着替えよう」そう言いながら2人は慌てて1550年代のマレーシアの町の服装に着替えた。「ふう、これで大丈夫。そうだ名前も苗字がついていると怪しまれるかもしれない。今から名前だけにしよう。橋本君今から君はマスオ君だ。そして俺のことをショウイチと呼んでくれ」「それから、今から俺たちは兄弟ということにしよう」「え?何でさっきまで知らない人なのに兄弟って?」黒山が次々と大胆な提案をしてくるので、戸惑う橋本。「益男君さっきのことを思い出してくれ俺たちは過去に転送されてしまった。だから今まで通りに行動をすると、悪い事してなくてもこの時代の人たちから『怪しい奴』と思われて捕まえられ、下手したら殺されてしまう。だからこの時代にあった設定で生きなくてはならないんだ」と橋本の目線にあわせるようにしゃがみこみで両肩を持ちながらやさしく語る黒山にようやく心に余裕が出てくる。「わかった。これからは正一兄ちゃんと呼ぶよ」「わかってくれたか益男」黒山の表情も思わず緩んだ。「さて、これからだけど。俺たちはこの時代に生きなくてはならなくなった。いつかベアーが元の時代に戻してくれるまでの辛抱だ」益男の兄として振舞おうとする正一がゆっくりと語る。「幸い俺は大学でこの時代のこの地域の研究をしていただからある程度はわかる。でもそれに慣れるまではあまり外に出ないほうがよい。幸いここは暑いとりあえず今晩はここで野宿しよう」事情が事情だけに益男の表情も真剣になり大きくうなずく。こうして2人はこの日は野宿することに決め、明日からこの時代に合わせるために作戦を練ることにした。気がつけば夕暮れになっていた。「益男、とりあえず横になれるものがないか探してくれ」「兄ちゃんこれ使えるかな」

正一が益男のほうを振り向くと、竹で編んだようなシートが置いてある。「何だろう。良くわからないけど使えそうだ。偉いな益男」黒山が微笑みながら、シートを持ってくる。シートは結構大きくて2人が横になれるのには十分であった。「よく見ると紙に何か書いてある」黒山がその紙を見ると日本語で「それで横になれるだろう ベアー」と書いてある。「ベアーか。なるほどこうして俺たちをサポートしてくれるんだ。ありがとう。これからもよろしく」と正一は夕焼けがきれいな空に向けて思わず手を合わせた。その後、日が暮れるまでに、ベアーが用意してあった食料を食べた二人はそのまま横になった。「テレビも見れないんだ」と益男がつぶやいた。

益男、しょうがないよ。俺だっていつも聞いているラジオが聞けないんだ」今まで当たり前のようなことができず、ただ夜空の星を見ることしかできない2人は急に気分が暗くなる。「兄ちゃん僕たちどうなるの」益男の声も暗い「そうだなあ。それはわからない。そうだこれからの事もあるからそれを考えよう。じゃあ益男。この時代のことから説明するね」あえて明るめの声を出す正一。「益男君は、東南アジアとかわかるかな」正一の質問に一瞬静かになる。虫の泣き声が聞こえる「虫の鳴き声って楽しいかも」そうつぶやく益男。「あ、東南アジア知ってるよ。ライオンが口から水出しているところ」「おお、偉い!学校で習ったの?そこシンガポールだよ」

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