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南の国のタイムトラベラー  作者: 麦食くま
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4、450年の時の証人 

「それから、わしが消えたら3日分の食料と水。それから現地の衣装を出す。そのままでは怪しまれて恐らく殺されるだろうからそれに着替えなさい」ベアーの忠告にただうなずく黒山と橋本。「あと、そう現地人と言葉は通じないだろう。日本ではないし、いくら橋本君が英語教室で多少英語を習ったとしてもな」ちょっと余計なことに聞こえたベアーの言葉に不機嫌な黒山と対照的に恥ずかしそうにする橋本。「だから、君たちにこれを渡す」というと映像からペンダントが2つ出てきて黒山と橋本の前に落ちる。「これはなんだ?」「それを身につけていればこの時代の人たちの言葉が日本語で君たちの耳に入り、また君たちの発した言葉が自然に現地の言葉に変換される」

ベアーにそういわれた黒山と橋本は慌ててそのペンダントを身につける。「わかった、ベアー。これも運命と思って受け入れよう。ただもう少しだけ質問をしてよいか」帰国子女で異文化経験が豊富な黒山は現実を受け入れるととたんに冷静になる。「よかろう何だ?」「まず困ったときにあんたを呼ぶにはどうすればよい。それからここがマラッカという町だという証は?別に疑っているわけではないけど」「ベアーは笑顔になり、「よろしい。ようやく黒山君も現実を受け入れたようだ。わしを呼び出すならピンクの熊を抱えながら念じればよい。状況によって必ず出れるとは限らないが、できるだけ応じよう。さて、もう一つの質問だが、わしの指差す方向に歩けばわかる」

そう言いながら、ベアーは黒山たちの後ろのほうを指差す。黒山たちがその方向を一瞬見て振り返るとベアーの姿はなくなっていた。そこにはピンクの熊と、竹でできた籠があった。「この中に食料と水筒か」といいながらかごの中にピンクの熊を入れる黒山。「黒山のおじさん。これからどうするの?」不安な表情の橋本益男。黒山は橋本の頭をなでながら、「とりあえず橋本君。『おじさん』はよしてくれないか?10歳しか離れてないから『兄さん』にしてくれ」「うん。わかった黒山の兄さん」「よし、そしたらベアーが指差した方向に行ってみよう」そういいながら黒山は、籠を持ち橋本の手を握りながら、ベアーの指差した方向を歩いていく。

10分ほど歩くと、丘が見える「あの上に建物がある行ってみよう」といいながら黒山が丘に登って建物を見る。「あっ」思わず小さな声を出した。

「これは・・・」黒山が驚いてみた建物は教会であった。「セントポール教会・礼拝堂!確かにマラッカにあった教会だ」


黒山昭一が見て驚いたのは、マレーシアのマラッカにある遺跡セントポール教会・礼拝堂。黒山たち一家がマレーシアに駐在していたときに、家族で見学に行ったことがある建物。すでに教会堂跡として建物の一部が丘の上に残されているだけであったが、それとほぼ同じものが綺麗な石造りの教会として存在している「あれは確か1521年に建立とあった。ベアーが言ったことは間違いないのか」そう言いつつ黒山が海のほうを振り向く「やっぱり間違いない」とうなづく。そこには確かにマレーシアのマラッカで見た海の光景そのもの。

「ということは、あれがサンチャゴ砦。あのときの資料と同じこの時代は海は目の前か。すごい・すごい所に来た。歴史の証人だ!」不安感から急にテンションが上がる黒山を見ながら不思議そうな顔の橋本益男。「ああ、橋本君驚いた。実は本当にタイムトリップしたみたいだ。450年ほど前に」黒山がうれしそうに語るが、橋本の表情は驚いたまま。「よし、教会の内部を見てみよう。中はどうなっているのか。いつか戻れる時が来ればみんな驚くよ」といいながら足取り軽く、教会に向かう黒山と橋本。「おい、あれは何者?変な服を着ているぞ。とりあえず捕まえろ」突然耳元で聞こえる声。ベアーの言うように現地の言葉が翻訳されて耳に入って来た。

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