表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
南の国のタイムトラベラー  作者: 麦食くま
1/23

1、強力な光に巻き込まれ

「ご馳走様でした。あのピンクの熊いいですね」「ありがとうございます。思い出の品でなんですよ」との会話をしながら一人の男が店を出る。「大畑健一さんか、いい店だった。あの人は自分の夢の実現の為に、タイ料理の店まで持っている。

それに比べて俺は、日本の社会への愚痴ばかりだ」そうつぶやきながらタイ料理店「曼谷ばんこく食堂」から出たのは、黒山正一。20歳の大学生である。だが、他の大学生と違って彼は帰国子女であった。彼の父親は大手の商社に勤めている関係で海外赴任もあり、ちょうど8歳のころから8年間マレーシアのクアラルンプールに住んでいた。その為、普通の日本人の同級生とは感覚が違い、未だに日本の環境に慣れていない。

「うーん、運命と思って受け入れよう、でもやっぱり馴染めない。こうなったら大学卒業したら商社か外資系の企業にでも就職してどこか海外に住むしかない。それなら俺にとっての第二の故郷マレーシアかなあ。首都クアラルンプールそれから歴史の街マラッカなんかいいな」いつしか雨が降り始め、傘をさし始めた黒山正一の独り言は続く。「それにしても俺は、日本社会への愚痴ばかり。これはだめなのはわかる。就職先もだけどその前に俺は一体何をしたいのか?それをまず考えないといけない」と、誰も聞かない愚痴を言いつつ、その愚痴の音を消し去るような強く降り注ぐ雨模様の中を帰路に向けて歩く。

大畑シェフのタイ料理レストランの感動も気がつけば泡のようにはじけていた。

黒山正一が雨の中、静かに歩いていると、突然黒山めがけて黒い影が突っ込んでくるのが見える。「何だ一体!」咄嗟の事に黒山は焦りながらその黒い影を避けようとするが、黒い影のスピードが勝り、黒山と接触してしまう。

「なんだ、お前は!」見るとその黒い影は10歳くらいの小学生の男の子。黒山にぶつかった衝撃で転んだ彼は、大泣きをしている。

黒山はあたかも自分が小学生の子供をいじめて泣かしたように周りに見えてしまうのを恐れ小学生に優しく接する。「おい、怪我はないか?君が急にこっちに来たからびっくりしたよ」黒山がが必死に優しくなだめるので、小学生は泣き止んだ。


ところがほぼ同時にその小学生は突然ある場所を指差す。

黒山が小学生のほうに目を向ける。するとピンクの熊のぬいぐるみが見える。「う?これはさっきのタイ料理に店でも同じのがあったような」とつぶやきながら、そのピンクの熊のほうに行く。木材のごみにまぎれていて汚れていたが、確かに先ほどの店で飾っていた熊のぬいぐるみと明らかに同じであった。「これは同じだよ。黄色いリボンもついているし。

さてどんな感じなんだろう」と、熊のぬいぐるみをごみの中から取り出す黒山。小学生は黒山の動きを不思議そうな表情で見つめている。

黒山は、くまのぬいぐるみを取り出してひたすら眺める。

「うん?後ろに赤いボタンのようなものがあるぞ?なんだろう。

これを押したら動き出すのかな?

黒山正一は、先ほど食事しタイ料理店と同じ熊のぬいぐるみを見つけ、その後ろに赤いボタンを発見したかと思うと、何の疑問も持たずにボタンを押す。すると突然強力な光が熊から黒山たちに向けて輝いたかと思うとそのまま黒山たちを覆う。


「何?一体なんだこれは」慌てる黒山と小学生。しかしそのまま光とともにその場から消えてしまい、2人の意識はなくなりそのまま気絶した。

どのくらいたったのか?気絶していた黒山が目を覚ますと、先ほどの小学生とピンクの熊がすぐ横にある。しかし今までいた場所とは違う。4月なのに夏のように暑く、住宅街ではなく山の中「一体ここはどこなんだ?夢なのか??」黒山は何かとんでもないことが起きる気配をひしひしと感じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ