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シンデレラ戦記  作者: 佐倉 杏
第1章 狙われた宝具
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プロローグ

 昔々、あるところに、エラという心優しい娘がおりました。娘は、父と継母と二人の義理の姉とともに、幸せに暮らしておりました。


 しかし、ある日のこと。父と母が乗る馬車が事故に遭い、父は亡くなり、母も怪我を負ってしまいました。その日以来、母はエラに冷たく当たるようになり、二人の姉も、そんな母の態度を真似るようになりました。まるで召使いのような扱いを受けながらも、エラは希望を捨てませんでした。友達のねずみたちとともに、毎日せっせと働きます。






 父が亡くなってから二年が経った頃、お城から屋敷に手紙が届きました。それは、舞踏会のお知らせでした。母と姉は張り切って、新しいドレスを買い、髪を整えます。エラは手持ちのドレスを縫い直し、ねずみたちの協力を得て、なんとか舞踏会の日までに、ドレスを完成させました。


 待ちに待った舞踏会の日。母や姉の後で、こっそりエラはお城に向かいます。しかし途中で母に見つかり、せっかく作ったドレスは破られてしまいました。あまりに悲しくて、エラは泣き出してしまいました。


 すると、どこからか魔女のおばあさんがやってきて、エラに魔法をかけました。ぼろぼろだったエラのドレスは、光り輝く美しいものに変身しました。魔女のおばあさんは、エラに忠告します。この魔法は十二時になると解けてしまうと。

 エラは魔女のおばあさんにお礼を言うと、急いで舞踏会に向かいました。舞踏会では素敵な男性とダンスを踊り、夢のような時間を過ごしました。


 しかし幸せな時間はあっという間に過ぎ去り、十二時を告げる鐘が鳴りました。エラは大急ぎでお城を飛び出します。ガラスの靴を落としてしまいましたが、それを拾う時間もありません。






 家に帰るとエラのドレスは、元の破れたドレスに戻っていました。幸せな思い出と、片方のガラスの靴だけが、舞踏会が夢ではなかったのだと教えてくれました。


 それから数日後。エラの家に、王子様の召使いがやってきました。王子様は、舞踏会で踊った女性を、ずっと探していたのです。その女性は、十二時の鐘とともに、王子様の前から去ってしまいました。そこで王子様は、その女性が落としていったガラスの靴に合う女性を探すようにと召使いに命じました。

 そして王子様はようやく、探していた女性に再会することができたのです。






 ここの書いたのはシンデレラのあらすじ。きっと皆さんも聞いたことがあるでしょう。しかしこのお話、おかしいなと思ったことはありませんか?


 どうして魔女のおばあさんは、シンデレラを助けてくれたのでしょう。

 どうしてシンデレラはこれほど継母に嫌われていたのでしょう。


 この他にもたくさんの秘密が、この物語には未だ残されているのです。シンデレラの秘密、知りたくはありませんか?


 さあ、ご一緒に参りましょう。シンデレラの、その先の物語へ……。

 


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