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イマドキ!  作者: 紫音
3/8

偏食家たちの昼食

「からあげ定食!」


「激辛蘇芳ラーメン」


「海老ピラフグリンピース抜き」


食堂に入るなり立て続けにそう注文するのは2年1組の3人組。

その3人に食堂で勤務する通称おばちゃんは苦笑した。


「アンタら毎日それで…飽きないのかい?」


「おばちゃんこそ、毎日それ聞いて飽きない?」


おばちゃんにそんな軽口を叩くのは言わずと知れたピーターパンこと坂崎雹太。

蓮斗は手ぶらでふらふらとしている雹太の頭をトレイで軽く叩く。


「いたっ」


「お前はもう2年なのにトレイを持って並ぶことを知らないのか?」


トレイを渡された雹太は少し頬を膨らましつつおばちゃんにトレイを差し出す。

大盛りのご飯とキャベツの千切りに鳥の唐揚げ。

更にポテトサラダの付いたそれがトレイに乗せられ雹太はぱっと笑顔になった。


「雹太、先に席を取って待ってて」


「はいよー!」


鼻歌を歌いながら席を取りに行った雹太につい真一の口から溜息が漏れる。

そんな真一のトレイにはお望み通りグリンピースの乗っていない海老ピラフと小さなサラダ。

そして蓮斗のトレイには毒々しい真っ赤なスープのラーメンが置かれた。

途端、真一が蓮斗のラーメンから立ち込める刺激臭に噎せる。


「よくそんなの…食べられ、るね…」


「ん?美味いけどな。」


目を細め眉を寄せる真一に首を傾げる蓮斗。

二人は先に席を取りに行った雹太の元へ足を進めた。


「遅いよもー!早く早く!」


雹太が座っていたのは窓際の四人席。

蓮斗は雹太の向かいである奥へ、真一は蓮斗の横に座った。


「それじゃあいただきます!」


「おー、いただきます」


「いただきます」


3人、そう手を合わせてから食事を開始する。

暫し黙々と食べていた3人だったが、ふと蓮斗が口を開いた。


「今日、真一は生徒会の日か?」


「ん…うん、そうだよ。今日は今月の花祭りに関することを決めるみたい。」


ピラフを飲み込んでから返答をした真一。

彼は今年から生徒会に書記として所属している。

この学校自体は比較的大きく行事も豊富なのだが生徒会の役員は会長含めてたったの4人だけ。

真一はそのうちの1人である。

生徒会は毎週月、水、金曜を定例会としている為、月曜日の今日蓮斗はそう質問したのだった。


「花祭りってなんだっけ?」


「ん、まあ…校庭の桜の写生大会だよ」


こてん、と首を傾げた雹太に真一がそう答える。

その表情はどこか暗く思え蓮斗も雹太同様首を傾げた。

しかしそれ以上話さない真一に蓮斗は薄く残った疑問を飲み込んだ。


「じゃあ、終わったら一緒に帰ろうぜ」


代わりに蓮斗が発したのはそんな言葉だった。

真一はこくん、と頷くと目前に落ちてきた前髪を軽く手で梳いて微笑する。


「蓮斗も部活?」


「あぁ…部員収集が主だからそんなに遅くならねえし。」


「あー、そっか。1年生まだ部活選んでる時期だもんね」


今は四月の中旬。

色々な部活が部員を多く集めようと躍起になっていた。

それは蓮斗が所属している剣道部も同じく。

帰宅部の雹太は己には関係がない為に思い出したようにそう言った。


「雹太は助っ人限定だもんな」


「そ。俺はどの部活にも入んないよ」


箸で千切りキャベツを持ち上げながら雹太はそう言った。

それには理由があるのだが、それはまた別の話。















(いいなー、俺も3人で一緒に帰ったりしたい)


(そら残念だったな、あと1年ちょい我慢しろ)


(うううー…)


(フフ…かわいいね、雹太)

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