鶏冠
お前なんか必要無い
最初は良く分からなかった
何を言われているのか
自分なりに頑張ってたつもりだった
周りは何も言わなかったから
自分は良いのだと思い混んでいた
次に来たのは悲しさだ
普通はここで怒りが来ると思う
親友でもない
名前を知ってるだけの人に
悪態を吐かれたら
むかつくと思うんだ
だけど自分には悲しみが来た
必要とされてないことに
どうしようもなく泣きたくなった
何時も自分はなんだかんだ言って
自分の方が優れてるって
見下していた野郎の筈なのに
そして自責した
自分が悪かったんだって
そうしないと
自分が傲慢にしか思えなくて
あのときこうしたらとか
上手くいったはずだとか
何もしなかったら
こんなことにはならなかったとか
もうどうでもいこと考えてしまう
僕は弱い
弱すぎる
心の中ですら
他人を責められない
心の中なら
どんなこと考えたって
どんな汚い言葉を吐き散らしたって
誰にも分からない筈なのに
心が汚れるとか
人としてとか
そんな綺麗な理由を建前にしてるけど
ただ、
人を責めると
周りに笑われると思えて
怖いんだ
誰にも知られないとしても
僕はチキンだ
鶏冠のはえた臆病者だ
死ねば良い
帰り際、友人が慰めてくれた
あんなやつ気にしなくて良いと
それに悪態一つ吐かないのは凄いと
褒めてすらくれた
だけど違うんだよ
僕は君の思っている様な人間じゃないんだ
臆病過ぎて
他人を責められない
自己表現のできない
欠陥人間なんだ
皆に知って欲しいよ
世の中にはおとなしいだとか
他人を悪く言わないだとか
そんな風に呼ばれている人間の中に
ただの弱い人間がいるってことを
他人に対して
自分の鶏冠を振ることしか能のない
チキンが居て
そのことを褒められると
死にたくなるということを
まだ僕は自分を責めている