表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

第5話 実家にて

 父が死んでから、母はむしろ元気になった。父の介護が終わってから、ご近所づきあいだけでなく、趣味のサークルに参加するようになった。


 そんな母は、風呂場で転んで骨折し、車椅子生活になった。実家のバリアフリー化が、介護保険で無料になったことは、ありがたかった。


 普段は、ヘルパーさんが来てくれる。本当に助かる。ただ、ヘルパーさんも、使い放題じゃない。サービスには、隙間もある。


 そうした隙間を、私が埋めてきた。こうして実家に戻ってきて、母と同居して介護できるようになって、負担は返って増えたように思う。


 けれど、一人でいるよりは、ずっといい。介護は嫌だけど、母とこうしてゆっくり話ができる時間は、これまでなかった。母のこと、知らないことがたくさんあった。


 まだ、離婚届は私の手元にある。役所に、出していない。それなのに、夫から、貯金のほとんどが送られてきた。半分でいいはずなのに。


 スマホに連絡しても、つながらない。嫌な予感がする。


 お義母さんの老人ホームの入居費。その支払いが滞っていた。とりあえず、こちらで支払っておく。


 このまま、もう夫には会えないのかと思って、少し泣いてしまった。まだ、私は、夫のことを大切に思っている。せめて、それを伝える方法があればと、願った。


 どうか、生きていてほしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ