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金色の瞳はとても美しくて、ツヤツヤした毛並はとてもさわり心地が良さそう。
そう思い手を伸ばした。
すると、薄く目を閉じ自ら私の手に顔を擦り寄せてきた。
やっぱりすごく気持ちいい。
「触らせてくれてありがとう。それと怪我いたいでしょ?見せてくれる?」
黒豹に似たその子は一瞬不思議そうな顔をしてから右の前足差し出すように見せてくれた。
「喧嘩でもしたの?あ、私の世界の消毒液で大丈夫かな?」
少し迷ったけど、不安になって消毒液を鞄からだすのを止めた。
どうしよう?近くに綺麗な川とかあればいいんだけど···
そこでふと思い付いた。
「あっ!」
私はその子の怪我に手をかざしてみた。
もしかしたら···と思って。
すると、やっぱりというか私の手は少し温かくなって青白く光り始めた。
「良かった!ここの世界は魔法があるんだ!」
ーきれいに治りますように
そう願いを込めながら光が消えるまで手をかざしていると、すぅっときれいに傷が消えていった。
「ふぅ···これでよし!もう痛くないでしょ?」
笑いながら黒豹に話しかけるけどまだ不思議そうな顔をしたままだった。
私はすぐにその顔の理由に気付いた。
「あぁ、なんで怪我してるのが分かったのか不思議なのね、んー君ならいいかな?」
私は黒豹に話す。
自分の少し不思議な体質を···
ーーーーー
私が変わった体質だと知ったのは中学生の時だった。
一番仲良くしていた友人が体育の授業中足を捻挫した時だった。
痛がる友人を見ていたら、友人が手で押さえている場所と全く同じ所に鈍い痛みが走った。
自分もどこか痛めたのかと思って一緒に保健室へ行ったけど、異常なし。
それからも、その友人や家族が怪我をしたりすると全く同じ所に違和感が出るようになった。
気になってネットで検索すると、[共感覚]かもしれないということがわかった。
ただ、なぜか自分の近しい人の怪我しか分からなかったし、特に不便も感じていなかったので、普通の生活を送ってこれた。
ーーーーー
「だから君の怪我がわかったんだよ!まぁ、異世界だから近しい人以外の怪我が私に重なってもおかしくないよね!あ、重なるって言うのは共感覚のことね!なんて言ったらいいかわかんないから自分で創ったんだ」
私は身体を地面に横たえて目を閉じている黒豹の隣に座り話を終えた。もしかしたら寝てるのかもしれないけど、私は誰にも話さなかったことを動物とはいえ話せてスッキリしていた。
「もう、すっかり夜だね」
黒豹と話している間にもう辺りは真っ暗になっていた。
人工の明かりがないから本当に少し先も視えない心細くないのは側に黒豹がいるからだ。
「君のお陰で少しも怖くないよ···ありがとう。少し休める場所探さないとねって真っ暗だからやめといたほうがいいよね?」
なんとなくこの黒豹は私の言葉を分かってくれてる気がして話しかける。
すると、グルルっと喉を鳴らして黒豹が立ち上がった。
「も、もしかして帰っちゃう?」
不味い、今こんな真っ暗な中に放り出されたりしたら怖すぎる!だけど、この黒豹は野生だ何時までも人間の側にいるのは嫌なのかもしれない。
ぐるぐると考えていると、黒豹は頭を私の頭に擦り付けてきた。
そして、少し離れて私に背を向けると、顔だけをこちらに向けてきた。
真っ暗な闇の中で二つの金色の瞳だけが浮いている。でも、全然怖くない寧ろ安心する。
「付いてこいってこと?」
ーグルッ
その音を肯定と取った私は立ち上がり、黒豹に付いていった。
やっぱり文章は難しい。
ちゃんと伝わるでしょうか?