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単純なこと

「早くっ早く!あゆむちゃん、急がないとソフィアちゃん達来ちゃうよ!」

 ドリィが珍しく慌てている。

「わかってるけど、このバケツ重いんだもん。」

 2人はダン夫妻から借りたバケツの中にたっぷりと水を入れ、それを1個ずつ抱えながら、大急ぎでペティカルロの街を走っていた。

 今は昼くらいだろうか、街はすっかりと雲に覆われ静まりかえっている。何処の家族も皆眠っているのだろう。なので2人はなるべく足音を立てずに声をひそめて走った。

 あゆむが走る度に、ビチャビチャとバケツの中から水が跳ね上がる。それをなんとか避けながら、あゆむは必死にドリィを追った。前にいるドリィは何故かとても軽やかで、バケツは水をこぼすことなくドリィの腕に包まれていた。

 そんな2人の前に門が見えてきた。あらかじめダン•カルロが門を開けておいてくれたので、ドリィは難なく通過すると、あの見えない階段を速度も落とさず下りて行ったのである。

「ちょっと待ってよ…。」

 あゆむの足が震えた。

 あゆむは怖くて怖くてたまらず、ここだけはごめん、とゆっくりなんとも危なっかしくドリィに続いた。そんなあゆむの様子を、ドリィは足踏みをしながら待っている。

 それから階段を下りてほんのしばらく歩き続けると、ようやくドリィが、

「あゆむちゃん、お疲れ様!僕下におりて用意してくるから、あゆむちゃんはちょっとここで待っててね。僕が呼んだらあゆむちゃんのバケツもちょうだい。」

 と言うが早く、ニョキニョキと現れた木の枝につかまり森の下へと行ってしまった。

 ドリィは疲れというものを知らないのか。あゆむが待機していると、ドリィを下に降ろしたのか、枝が顔を出した。

「あゆむちゃぁん!その枝にバケツ渡してー!」

 とドリィの声が聞こえてきた。

 あゆむが言う通りにバケツを枝の前に差し出すと、枝は、〝オーライ!“とでも言う様にバケツを包み、またあっという間に下に降りて行ってしまった。まるで生きているみたいだ。


 ドリィを待っている間、あゆむは木の葉の広野を見渡していた。時々葉を揺らしながらやって来る風が、とても気持ち良く感じた。

 本当に不思議な所だな。下にはあの大きな森があって、その上には果てしなく続くこの野原があって、そしてその上には一つの街が雲となって浮かんでいる。こんな状況誰も信じてくれないだろうな。そう思うとあゆむは苦笑した。風があゆむの心を洗い去る様に体を通り抜けて行く。あゆむは何も考えることなく、ただボーっとドリィの帰りを待っていた。

 やがて上の方から3人の人影が現れた。ダン一家だ。

「ドリィ、早く!皆来ちゃうよ!」

 あゆむは大声でドリィを呼んだ。

 あの階段を、先頭をダン•カルロが眩しそうに、慣れた足つきで下りて来るのが見えた。きっと何度も使用しているのだろう。そして日傘を差したサンドラ夫人に連れられ…、いや、抱えられ、ソフィアが太陽の暑さと、初めて見る階段の高さからなのか、今にも倒れてしまいそうな顔つきで、よろよろと、そしてゆっくりと下りて来るのも見えた。

 あゆむはなんだか胸がドキドキ鳴って止まらなかった。

「よいしょっと。あ!ソフィアちゃん来てくれたんだね。良かった。僕少し心配だったんだ。」

 いつの間にかドリィがあゆむの後ろに立っていた。その足元にはあの2つのバケツが置かれてある。あゆむが中を覗き込むと、バケツの中にはたっぷりの泥が水に浸っていた。

「ドリィこれ何するの?こんなにいっぱいの…。」

 あゆむが不思議がってドリィに聞きかけると、またドリィはシーのサインをするのである。

「遅くなってしまってごめん。待たせたかな。」

 ダン•カルロはハンカチで汗を拭き拭き、顔が真っ赤だ。サンドラ夫人は何度も頷き、あゆむとドリィの顔を交互に見つめている。その顔はにこやかだが、心なしか緊張している様にも見えた。ソフィアは……とっても不機嫌そうだ。

「どうだ?気持ち良いだろうソフィア。昼間に外に出るってこともなかったしな。」

 ダン•カルロが大きく手を広げた。

「ちょっと、パパったら。私が太陽って嫌いなの知ってるでしょう?どうだもなにもないわ。」

 ソフィアがとんでもない!と首を大きく振った。

 あゆむが知っている中では珍しく、ソフィアはダン•カルロに対しても冷たく言い放った。そして鋭い目つきでドリィを睨みつける。

 ドリィは相変わらずニコニコしている。

「ねぇ、お2人とも。私とても眠いし疲れているの。それにこんな時間にこんな所に呼び出すなんてどうかしてるわ。パパとママがどうしてもって言うからついて来たけど、もういいでしょう?私帰らせてもらうから!」

 ソフィアは声を荒げた。

「ソフィア、そんなこと言わずに。それに、まだ来たばかりじゃないか…。」

 ダン•カルロが慌ててソフィアをなだめる。

「パパったら!パパまでも今日はおかしいわよ!」

「ねぇソフィアちゃん。これってなんだか知ってるかい?」

 突然ドリィがソフィアに木の芽を差し出した。それはまだ小さい、なり出したばかりの芽だった。

「知らないわ!そんなの。それが何かあって?」

 眉間に皺を寄せたソフィアはますます機嫌が悪くなる。

「うん、この芽はねもう少したったら僕の大好きなどんぐりになるんだよ。ソフィアちゃんに見せたくて摘んじゃった。」

 ドリィがニィっと笑った。

「この下にある森には色んな物があって、ちょっと目を向けるだけで色んなこと発見出来るんだよ。ううん、それだけじゃないや、ソフィアちゃんのお部屋の窓からでもちょっと目を向けたら、ワクワクする様なことがたくさん見つかるんだよ。」

 ドリィが手のひらをそっと広げた。ソフィアが少し顔を動かす。

「ドリィ何それ?」キラキラと輝いているそれを、あゆむも覗き込んだ。

 それはとても小さな砂粒だった。

「これは星の砂だよ。ソフィアちゃんのお部屋の窓に付いてたんだ。夜空からの贈り物みたいだろう?」

「私の部屋の窓に…?」

 ソフィアが小さく呟いた。

「へえ!ドリィ君よく見つけたなぁ。昔は私もそんな砂を何度も見かけたことがあるが、最近ではすっかり無くなってしまってね。ソフィア、この砂はまさしく月の光を一身に受けた結晶の様な物なんだ。多分、一番強く月の光が差し込むソフィアの部屋だからこそ見つけられたのかもしれないな。」

 ダン•カルロがドリィの手のひらから砂をすくい、ソフィアに渡した。ソフィアの小さな手のひらで砂が嬉しそうに体を光らす。ソフィアが少し手を傾けると、キラキラと一層輝いた。

「綺麗ね…。」

 ソフィアがほんのり目を細めた。

「ソフィアちゃんこれに入れておきなよ。きっと宝物になるよ。」

 ドリィが今度はズボンのポケットから葉で作った器を渡した。

「……ありがとう。」

 ソフィアが戸惑いつつも器に砂を移していく。

 そんな2人の様子にダン•カルロもサンドラ夫人も温かな眼差しで見守った。

「今日は僕ソフィアちゃんと思いっきり遊びたいと思って、とびっきりの物を用意したんだよ。」

「とびっきりの物?」

 星の砂を大事そうにダン•カルロに手渡すと、ソフィアがドリィの横にあるバケツを見つめた。

「ちょっと待っててね。うんしょっと…。」

 ドリィの手にベッチャリと泥の固まりが出来上がる。

「これで泥んこ合戦しようよ!」

「え?泥んこ合戦って?ひょっとしてこれを投げるの?」

 ソフィアの問いにドリィが元気良く頷いた。

 いよいよソフィアの背中が小刻みに揺れ出す。怒ってるのか、呆れているのか、また意地悪く口を歪めた。

「私に何をさせるのかと思ったら、そんな物を投げろと言うなんて…!いいわよ、しようじゃないの!」

 バシュッ! ベチャ!

 ドリィから乱暴に泥の固まりをもぎ取ったソフィアが、勢いよくドリィの顔目掛けて投げつけた。

 当たった!と思ったらすれすれの所でドリィはひょいっと顔を傾ける。

「べ〜だ!そんなんじゃ当たんないよ〜!」

 そしてもう一方のバケツを軽々と持ち上げると、数メートル先に駆けて行った。

「まぁ!!」ドリィのイタズラな顔にソフィアが更にヒートアップ!急いで泥玉を作り、えいや!と投げた。さっきよりも大きくベチャベチャだ。

 そんなんじゃ駄目だ。ドリィは上手いこと避けるのである。

「んぎゃ!ペッペッ!何するんだい!あゆむちゃんひどいじゃないか!」

 あゆむの投げた泥玉が見事ドリィの顔に命中!あゆむはドリィがソフィアに夢中になっている隙に、ちょっと硬めの泥玉を作っていたのだ。

「いいの!だって女の子同士だもんっペア組んだのー!」

 あゆむはソフィアにも泥玉を渡した。ソフィアなんだか嬉しそう。

「ずるいやい!僕は1人なのにー!」

 そう言うドリィも嬉しそうに泥玉を作り上げる。その隙にすかさず、今度はソフィアの泥玉がドリィの頭にぶつかった。

 すでにドリィの体は泥だらけだった。でもやっぱり嬉しそう。だってソフィアが笑っているのだから。可愛く顔を緩めてケラケラ笑っていた。

「僕の反撃をくらえ!」

 ドリィのしかし優しい攻撃を受けたソフィアもいよいよ泥まみれだ。

 ソフィアはそれでも楽しそうに笑っていた。

「少し情けないな…。一体、私達はソフィアに対して何をしていたのか。」

 サンドラ夫人の隣にいたダン•カルロがポツリと呟いた。

「私達はきっとソフィアを大事に育てたあまり、本当に大切なことを見失っていたのかもしれないな。」

「そうねぇ……。」

 サンドラ夫人も苦笑した。そっと涙を拭うと、

「ソフィアがあんなにも楽しそうに笑っているだなんて。きっと子供同士にしかわからない、何か通じるものがあったのねぇ。」

「あぁ。でも私達にもそういう時があったのになぁ。いつの間にか忘れてしまっていたんだなぁ。」

 ダン•カルロは深いため息を吐き出した。

「ちょっとぉ!ダンさん、僕のチームに入ってよ!これじゃあ不利だい!」

 ドリィが遠くでダン•カルロを呼んでいる。

「よし!私も入るか。ちょっと行ってくるよ。」

 そんなダン•カルロの言葉にサンドラ夫人が何度も頷いた。


 それからしばらく4人の泥んこ合戦は続いた。そして、バケツの中の泥が無くなった頃、ようやく幕を閉じたのである。

 ドリィもあゆむも、ダン•カルロもそしてソフィアも、顔、体中泥だらけだった。その様子にはさすがのサンドラ夫人は困った顔をしたが、何も言わなかった。

「あぁ、楽しかったなぁ。こんなに動いたのは久しぶりだ。こんなに泥をかぶったのもな。」

 ダン•カルロがニヤリと口元を緩めた。そんなダン•カルロの言葉を聞いて、ソフィアも大きく頷きながら笑った。もう今では以前の面影はすっかり姿を消していた。

「さ、4人とも。まずはその泥んこを落として、戦いの後のお食事といきましょうよ。とっても美味しいご馳走をお出しするわ。」

 サンドラ夫人がこれ以上とない幸せな表情を浮かべて、声を弾ませた。


 カルロ邸への帰り道、前にいるソフィアの横顔を見ながらあゆむは言った。

「ねぇ、ドリィ?ソフィアとっても楽しそうだね。なんだかひとかわ剥けたって感じ。」

 ドリィもソフィアを目で追いながら頷いた。

「こんな簡単で単純なことで笑うなんて、正直思わなかったし。」

 ふいにドリィがあゆむに振り返る。

「あゆむちゃんは、何処かに連れてってもらったこととか、夢中で時間を忘れて遊んだことってない?」

「え?」

 突然のドリィの問いにあゆむは昔を思い巡らせた。

「そりゃあ、あるよ。昔、近所にあった林の中で遊んだこととか、近くの川で遊んだこととか…。遠くの川や海にも行ったかなぁ。でも、はっきりと覚えてないけど…。それがなんで?」

「あゆむちゃん、そういう思い出がなかったら、今のあゆむちゃんみたいに言えないんだよ。僕それってすごく悲しいことだと思うんだ。だから、ソフィアちゃんにも知ってほしかったのさ。」

 ポツリと言ったドリィの真っ直ぐな眼差しがあゆむの心を捕らえた。

 その時だった。何処からか眩い光が漏れ始めた。

 ドリィのズボンのポケットからだ!

「あ!ソフィアちゃんだ!」

 前を向くと、ソフィアがやって来るのが見えた。ソフィアはドリィとあゆむの前に来ると、弾む息をこらえながら、

「私、あんなに楽しい気持ちになったの初めてよ!本当にお2人のおかげだわ。ありがとう。」

 そう言うと丁寧にお辞儀をした。

「ドリィ、あなたは言ったわよね。嬉しい時や楽しい時は自然に笑顔になるって。それって本当だったわ。ようやく意味がわかった気がするの……だから、ありがとう!」

 重ねて礼を言うと、照れ笑いを浮かべカルロ夫妻の元へと、再び走って行った。

 それからはあっという間の出来事だった。カルロ一家がまた歩き始めたのを見届けた後、ドリィのポケットがフワッと口を開けたのだ。あゆむが驚いて見ると、中からあのキラキラと輝く七色のクレヨンが飛び出した。そして、ドリィの両手の周りをくるくる円を描く様に周り出したのである!

 みるみるうちにドリィの手の泥が消えていく。やがて綺麗な白い、かすかに銀色の光を帯びている手袋が、優しくドリィの両手を覆うと、クレヨンは役目を果たしたかの様に、またドリィのポケットへと収まっていった。

「うっわぁ!あゆむちゃん、僕…僕、クレヨンに1ポイントもらえたよ!どうしようっすごく嬉しい。僕だけの手袋だ!」

 ドリィはそう叫ぶと両手を天にかざした。

 ドリィの手袋は日の光をいっぱいに受け、その周りに白銀のオーラを作った。

 あゆむはあまりの出来事に圧倒されてしまった。本当に目まぐるしい一瞬だったのだ。

「おーい、2人とも!早くおいでよー!」

 上からダン•カルロが手を振りながら呼んでいる。

「ドリィ…すごいよ。本当にすごい!おめでとう!これで1ポイントついたね。」

 あゆむは我を忘れ手を叩いた。

 ドリィはあゆむの言葉を大切に胸にしまうと、大きく息を吸い込んだ。

「あゆむちゃんのおかげだよ!あゆむちゃんが手伝ってくれたからさ。ありがとう。」

 ドリィはゆっくりと手を差し出した。

「うふふ、ふふふふっ。」

 あゆむの胸になんだかくすぐったい気持ちが溢れてくる。あゆむは自分の手が汚れていたので、握手をするフリをした。

 本当にドリィに変化が訪れた。例えそれは、小さな物だとしても、とても温かい、クレヨンからのポイントだった。そのクレヨンはまるで生きている様に自由自在に動いていた。本当に綺麗な、そしてなんとも不思議な出来事だったのである。

「おーい!どうしたんだぁ、2人ともー?」

 再びダン•カルロが上から呼びかける。ドリィとあゆむは互いの顔を見合わせ笑い合うと、

「はーい!」

 元気良く返事を返した。


「わぁ!すごいっこれ全部お菓子なの?」

 あゆむはたくさんの色合いに感激した。店内はフワフワと光が漂っている様で、にぎやかな色のお菓子達がそこかしこに並べられていた。

 辺り一面甘い眠くなる様な香りがぷんぷん充満している。

 あの泥んこ合戦から数時間が経ち、ペティカルロの街全体が月の明かりに埋め尽くされた頃、ドリィとあゆむはソフィアの提案で広場に遊びに来たのだった。

 ソフィアは、今ではすっかりドリィとあゆむに打ち解けていた。3人は街で大人気のお菓子屋さん『あめいろ』に立ち寄ることにしたのである。

 ドリィとあゆむが何にしようかと迷いに迷っていたら、

「お2人とも、ここに来たらまずこれを食べないと!」

 ソフィアが声を弾ませた。それは煙の様に透けている大きなソフトクリームだった。コーンのカップから浮き出ているソフトクリームをひと舐めすると、ひんやりとした食感が見事舌に絡まり、甘くてとても美味しい。

 あゆむのは、ピンク色のストロベリー味。

 ソフィアのは、鮮やかなレモン色のレモン味。

 ドリィのはというと、茶色のどんぐり?いや、チョコレート味だ。

「ねぇ、あなた達お2人はこれからどうするの?」

 舌をひっきりなしに動かし続けているドリィとあゆむにソフィアが尋ねた。ドリィは自分のピエロの旅についてソフィアに話した。あゆむも自分のことをソフィアに話そうか迷ったが、結局ドリィと一緒に旅をすることだけを話した。

 ソフィアは黙って2人の話を聞いていた。やがて、広場で楽しそうに遊ぶ子供達を見つめた。

「どうしたの?」

 あゆむが尋ねると、ソフィアは軽く首を振った。

「ううん、ただ…みんなすごいなって、思って。だって、私より楽しく遊ぶ方法を知っているんだもの。私も早くそうすれば良かったな…。」

 ドリィはそれを聞くとすぐさま大きく首を振った。

「違うよソフィアちゃん。そんなの、方法を知ってたからとかじゃないよ。皆それぞれなんだよ。でも、思いっきり遊ぶと、とっても気持ちが良いってのは一緒だと思うけどね!」

 ソフィアが大きく頷いた。そしてもうガラス玉じゃない、少女の瞳でドリィとあゆむを見ると、

「私、そのうち色んな場所に行ってみたい。この街はこの街でとても綺麗だし、このままで良いと思うの。でも、私わかったの。私だって明るい太陽の下で思いっきり駆け回ったり、笑ったり。ものすごく楽しくて幸せだった。もやもやしてたものが一気に吹き飛んでいった。」

 そう言うととても満足げに笑った。

「でももちろん、これからは部屋の窓からの眺めもきっと違く見えると思うわ!」

 ドリィはそんなソフィアの言葉に大きく頷いた。

 ソフィアの言うもやもやしていたもの。きっと、ソフィアの心の中にはソフィアさえも気付いていない何かが、ずっと埋まっていたのかもしれない。

 あゆむは暑いのが嫌いだった。日の光を見るのも嫌いだった。だが、それは今のあゆむだ。昔は違った。だけどそんなことすら、思い出の無いソフィアを見ると、あゆむの思い出がとても贅沢で、そしてとても大切なことなんだなと思えた。

 あゆむの中で少し懐かしい、温かい気持ちがよぎっていった。

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