消失
むかしむかし、あるところで、一組の双子の兄妹が生まれました。
名前は、栗原翔と栗原結。
彼らの両親はなんとゲーム会社の経営者でした。
彼らは両親からの愛を受けて、幸せな生活を送っていました。
しかしそんな暮らしは長くは続きませんでした。
彼らが7歳の時、母親が交通事故で亡くなったのです。
彼らはそのことを知って泣きじゃくりました。
しかし、なにも戻っては来ませんでした。
何もかもが、彼らのもとから去っていきました。
父親は新しい女の人と家を出て行きました。
それから彼らは、母親の遺したものと父親が毎月母親の口座に振り込んでくるお金で、2人きりの生活を始めました。
しかし、彼らに降りかかる不幸は、それだけではありませんでした。
それは小学校4年生の時のことでした。
クラスの人気者の男子に翔はこんなことを言われました。
栗原結が好きで、付き合って欲しいということを本人に伝えて欲しい。
家に帰って翔はそのことを結に話しました。
結は、話を聞き終わるなりこういいました。
「翔から断っておいて」
次の日、翔はそのことを告白してきた男子に言いました。
すると男子はこう言いました。
「は?っざけんじゃねえよ。何でてめえから断られなくちゃいけねえんだ。返事くらい本人から聞きてえよ。」
どの口が言っているんだ、と翔は思いました。
しかし、小学生は恋愛沙汰のお話が大好きです。
クラスの人気者の男子の告白を、栗原結は栗原翔を通して断った。
明らかに2人を悪者扱いした噂が流れました。
2人がいじめの対象になるまでそう長い時間はかかりませんでした。
2人は次第に学校に行かなくなりました。
2人が通っていた小学校は、中学校に自動的に内部進学する学校でした。
つまり2人は、クラスメイトが小学校、中学校に通っている間、ずっと、
1日も学校に行かずに、ゲームをして、アニメを観て、ラノベと漫画を読んで、高校受験の勉強をしていたのです。
幸い2人は、関西圏で1番と言われる高校に無事受かることができました。
こうして2人の高校生活は始まりました。
しかし2人には問題がありました。
それは、
面と向かって他人と話ができない、ということでした。
1学期の間、2人はクラスで目立たないようにし、部活にも入らず、学校が終わったらすぐ家に帰ってゲームをしていました。
そして夏休みが来ました。
夏休み中も2人はずっとゲームをしていました。
宿題は全部答えを写して初日に終わらせてしまいました。
そして、夏休みが終わる1週間前に、“それ”が起こったのです。