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はじめての冒険者ギルド

 服を変えたおかげで奇異の目では見られなくなった。しかしたまに睨まれるのは変わらない。あんまり人の目が気にならなくなってきたころに、冒険者ギルドに到着した。期待と不安が入り交じっていたが決意を決め、ギルドのドアを開けた。


 中には奥にカウンターがあり、依頼書が貼ってあるボードや酒場が併設されていた。依頼ボードにはもう時間が遅いからなのか若い新人に見える子供が3人いる位で他に人はいなかった。

 

 しかし酒場の方にはまだ昼間だというのに10数人位の大人がビールっぽい飲み物をグビグビ飲んでいた。お酒は強くはないが嫌いではない。さらに昼から飲む酒は上手いだろうなと思ったが、今回の目的はギルドへの登録なのでまずはカウンターへ向かう。


 カウンターの受付には2人、書類の整理をしている20歳と20代前半位の女性がいた。2人とも飛び抜けた美人と言う訳ではないが、学年のマドンナと言われる位の顔立ちの整った活発そうな美人とキリッとした眼鏡美人だった。活発そうな美人は俺を見た瞬間に嫌そうな顔をして顔を背けたので、眼鏡美人のお姉さんの方に話かけた。


「すみません、冒険者登録をしたいのですが。」


「冒険者登録ですか、それではまずこちらに名前と年齢をご記入ください。」


 俺は渡された書類に目を通すと知らない文字が書いてあったが、内容は理解できた。勇者特典スキルの言語理解がいい仕事をしてくれている。しかし文字を書くことができるのかという疑問がうかんだ。


 名前を書いて大丈夫か悩んでいると眼鏡美人のお姉さんが話しかけてきた。


「もしかして字がかけないのですか?」


 書けるかどうかわからないから見てくれますか、なんて言えないのでどう言おうか迷っていると、


「字が書けない方はけっこういらっしゃるので恥ずかしがらなくてもいいですよ。代筆をしますね。」


と言われてしまった。書けるかわからないので、このまま代筆してしまうことにした。


「名前と年齢を教えてください。」


「名前はコウです。年齢は24歳です。」


 名前は名字を入れたらこの世界で浮きそうだったので、下のコウでいくことにした。


「24歳ですか、、、本当ですか?」


「疲れた顔をしてるので、老けて見えますか?」


「いえ、逆です。年齢より若く見えますね。」


「ありがとうございます。」


 外国人から日本人は若く見られるように、やっぱりこの世界でも日本人は若く見えるらしい。


「これで手続きは終わりになるのですが、テストで実力を証明できれば最初のランクが高く始められますがどうされますか?」


 俺つえー系主人公のお約束、飛び級昇格イベントである。俺も強ければ受付のお姉さんにモテるのだろうが、俺のステータスは子供以下である。ここは大人しく、1番下から頑張ることにした。


「俺は力には自信がないので、1番下から頑張ります。もしよかったら冒険者について詳しく聞いてもいいでしょうか。」


「冒険者についてでしょうか。コウさんはどれ位冒険者についてご存知でしょうか?」


「すみません、ほとんどわからないので初歩的なことだけでいいので教えて貰ってもいいでしょうか。」


「わかりました。冒険者ギルドとは冒険者と依頼主の間を依頼書と言う方で取り持ったり、魔物の情報周知や魔物の素材を買い取ったりすることで冒険者をサポートする所です。依頼に関しては冒険者の能力に合わせた依頼を受けていただく方が冒険者や依頼主のためになるため、冒険者には冒険者ランクが与えられ、依頼の達成状況に合わせて変動します。冒険者ランクはFから始まり、最高はSになります。」


 冒険者ギルドの説明はラノベ等でよく知るものだった。依頼については違約金等を取られるかもしれないから詳しく聞いておこう。


「なんとなくわかりました。依頼は依頼ボードにある依頼だけなんですか。後、違約金等はあったりするんですか?」


「依頼の内容は常設依頼と受注依頼があります。依頼にもランクがありますが、常設依頼は魔物の討伐や薬草等の常に需要のある素材の納品になりますので、自分のランク以上の依頼を達成することができます。受注依頼は依頼主がいるため、受注者は自身のランクと同じか、1つ下のランクしか受注できません。依頼を受ける際は依頼書を受付までお持ちください。違約金があるのは受注依頼のCランク以上からの依頼になり、違約金額の設定があるのでしっかり確認して受注してください。最初のうちは違約金はありませんが自分の能力でできる依頼をしっかり選び、達成していくことが1番大切ですよ。」


 自分の能力でできる依頼を選んで達成するか、、、基本のような事だが、命をかけて行うなら1番大事なことなんだろう。依頼選びの1番大切な軸にしようと思った。


「大変参考になる言葉をありがとうごさいます。大切な言葉として心に留めて頑張っていきます。後は冒険者のノルマ等があるかを教えて貰ってもいいでしょうか。」


「そう言っていただき、ありがとうございます。冒険者のノルマというものは基本はないですが、魔物のスタンピートや魔人の襲撃が起きたら強制的な動員等があり、動員に応じなければ罰則や最悪資格を剥奪されます。後は犯罪に手を染めれば資格を剥奪される場合があります。基本は以上となります。他に聞きたいことはありませんでしたか?」


「ながながと説明していただき、本当にありがとうございました。自分の能力の範囲内で頑張りたいと思います。」


「それでは冒険者証はこちらになります。依頼の受注や報告の際に使いますので大事にしてください。」


 そう言われ冒険者証を受けとった。冒険者証には名前とFランクの表記と支部名とナンバーが書かれていた。冒険者証を貰ったことで、これで俺も冒険者の仲間入りをしたという実感が湧き少し感動した。


 受け付けの女性が本当に丁寧に説明してくれてありがたかった。こんどから尊敬を込めて秘書っぽい雰囲気だったので秘書さんと呼ぼう(心の中で)。


 目的も達成したので今日は依頼ボードを確認し、宿を探しに行こう。

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