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この世界でも格差は深刻なようです

 眩し光が収まると目の前にはまるまると太った豪華絢爛な服を着た豚のような男がいた。そしてその横に一人の髭をはやした神経質そうな中年親父と豚男を守るように構える10人のフルプレートを装着した騎士っぽい人達が俺達を見ていた。


 部屋はシャンデリア等、贅を尽くした装飾品で飾りたてられていた。だが、ごちゃごちゃした印象はない上品な趣味のよい部屋だった。よくみると部屋は正にマンガなどで見るお城の大広間だった。


 贅を尽くしているのに調和がとれているこの部屋と、この主っぽい太った豚男とのギャップが際立ち、よりいっそう豚男が滑稽に見えてしまった。正に豚に真珠である。この豚男のことは心の中で豚と呼ぶことにした。

 

 そんなことを考えていると、豚は俺達にむかって気持ち悪い笑みを浮かべながら口を開いた。普通に喋れることにビックリである。


「ようこそ勇者さま、私はウィリアム・ザルツヘン・ピギー、このザルツヘン王国の国王でふ。ウィリアムとお呼びくだふぁい。今回は私達の呼び出しに応じていただき、ありがとうございまふ。どうか私達をお助けくだふぁい。」


 豚の口調のせいで内容が入ってこず、笑いを堪えていると、目の前の豚は俺を見ることなく横のイケメンに頭を下げた。


 そう横には俺以外の紺のブレザーの制服を着た、高校生くらいの少年がいた。その少年は見た感じ16、17歳くらいのイケメンだった。

顔面偏差値は完敗だった。


 イケメンが気になりすぎて、完全に豚の話が飛んでいたが、どうやらイケメンはきちんと豚の話を聞いていたようで、質問を口にした。


「私達を助けてくださいとは、どのような意味なんでしょうか。」


 豚はその質問を待ってましたと言わんばかりに、食い気味で話しだした。


「この国の置かれている状況をお聞きくだふぁい。この危機を救えるのは勇者様だけなのでふ。」


 豚は大袈裟に芝居がかった調子で話しを続ける。


「この国は魔国等4方に大国があり、度重なる領土侵犯により多くの土地を奪われまふぃた。このままではこの国が滅んでしまいまふ。最悪私の代で国が滅びてしまうのはいいんでふ。ただ戦争に負けた国民が奴隷にされてしまうのだけは何としても避けたいのでふ。それには優しく、勇気のある勇者様の力をお借りするしかないのでふ。」


 そう言うと豚は顔を伏せた。


 しかし、6年間社畜だった俺にはわかる。この豚は嘘をついている。社畜時代の上司もきつい仕事を理由をつけ俺に押し付けてきた。その様子と全く同じだから、断言できる。


 俺はそう思っていたが、横のイケメンの考えは違ったのか、


「俺にできることはありませんか」


なんて言い始めた。


 横のイケメンは人を疑わない残念系主人公のようだ。

 イケメンの言葉を受け、豚は満面の笑みを浮かべた。


「優しく、勇気のある勇者様ならそう言っていただけると思っていまふぃた。まずは勇者様の資質を調べるため、お持ちする水晶に手をかざしてくだふぁい。」


そう言うと、騎士達は大きな水晶のようなものを出してきた。


「それでは勇者さま、一人ずつこちらの水晶に手をかざしてしただいてよろしいでふか。ではまず、、、失礼しまふぃた。勇者様のお名前をお聞きしてませんでふぃたね。」


「それでは俺から自己紹介させてもらいます。俺の名前は光臣 真司 高校2年の17歳だ。俺のことはシンジと呼んでくれ。俺に何をできるかわからないが、勇者として困っている人に手を貸すのは当然のことだ。何でも言ってくれ。」


 横のイケメンは躊躇いなく自分のことを勇者と言った。俺だったら恥ずかしくて、絶対に言えない。

 周りの目が俺を見ており、それに耐えれなくなり自己紹介することにした。


「名前は武富 鋼、24歳です。」


 あまり関わり合いになりたくなかったのでそれだけ言って口を閉じたら、何だこいつっていう目で見られた。本当に視線が痛い。


「コホン、それでは資質を調べさせていただきまふ。まずはシンジ様、お願いいたしまふ。」


 この間に俺もシンジに鑑定を試してみることにした。鑑定したいと思いながら、シンジをみたら無事に成功した。


 その間にシンジは言われるがまま水晶の前に行き、水晶に手をかざした。すると水晶に字が現れた。


光臣 真司 

レベル1

物理攻撃力 312

物理防御力 302

魔法攻撃力 321

魔法防御力 306

敏捷性   303

器用値   143

HP    324

MP 325

幸運値 76


 現れた文字はゲームのステータスそのままの情報だった。スキルは見れないのかなっとかのんびり考えていると、豚や騎士達が騒ぎだした。


「さすがシンジ様。このステータスは勇者の中でも飛び抜けてまふ。シンジ様ならこの国を必ず救うことができまふ。」


 豚は興奮したようにそう、巻くしたてた。


 ついに俺の番がやってきた。恐る恐る水晶に手をかざす。すると水晶に字が現れた。


武富 鋼 

レベル1

物理攻撃力 48

物理防御力 123

魔法攻撃力 53

魔法防御力 112

敏捷性   173

器用値  163

HP    136

MP 93

幸運値 1


 俺のステータスはシンジと比べるとゴミだった。

 顔面偏差値から大きな差があるというのにそれだけでなく、ステータスにも大きな差あった。この世界でも格差が深刻なようだ。

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