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プロローグ

「あなたは交通事故で亡くなられました。本来なら記憶を消して次の人生を送っていただくのですが、子供の命を助けるための行動であったため、別の可能性を選べるようになりました」


目の前の絶世の美女は最高の笑顔を浮かべながら、清らかな声で俺に語りかけてくる。

現状を理解できない俺がバカみたいに口を半開きにし、呆けていると目の前の絶世の美女がまた俺に語りかけた。


「まだ、意識が混濁しているようですね。名前等は思いだせますか。」


目の前の絶世の美女は初対面の俺を心から案じているようで、心配そうに俺を見てくる。

俺も、少しずつ頭の靄が晴れてきているようですぐに質問に答える。


「俺の名前は武富 鋼です。あなたの名前を聞いてもいいですか。」


目の前の絶世の美女のオーラに当てられ、小心者の俺の口調は丁寧になる。


「失礼いたしました。まだ私の名前を名乗っていなかったですね。私の名前はフォルトゥーナと申します。私のことは気軽にフォルとお呼び下さい。ところで鋼様、亡くなる前の記憶も思い出されましたか。」


はっきりと思いだした。俺は帰宅途中に歩道を歩いていたら、転がったボールを追いかけて3歳位の男の子が走ってきた。

 そこへ、いつものようにトラックがスピードを緩めることなく走ってきていた。

 俺は運が悪いので、これまで死にそうになったことは何度もある。

 だが、いつも死にそうになるだけで重症になったことはなかった。

俺は聖人君子でなければ、自殺志願者でもない。いつものことかと思って、子供を助けてようとした。

だが、今日は違った。いつもはぎりぎりで車が止まるのに、車のスピードが落ちないのだ。

 そして子供を逃がそうとした方に車がハンドルをきってきた。俺はあわてて、子供を突き飛ばした。助かってくれてたらと思うが、その後の記憶がない。


俺は死んだのだろう。死ぬ前のことをはっきりと思い出すことができた。俺は気を取り直して気になったことを尋ねてみる。


「フォル・・・様、あの男の子はどうなりました。」


「あの男の子は擦り傷くらいで無事でした。鋼様のことが一時的なトラウマになりますが、まだ小さいので時間が解決しますよ。」


「そうですか、男の子が無事だったのなら少しは報われます。」


心残りもなくなったので、俺は一つ息を吐き本題を切り出すことにした。


「先ほどフォル様が言われた、別の可能性とは何ですか。」


俺もラノベを愛する文学少年だ。

このパターンはあれだ、今流行りの、


「異世界への転移です。この異世界は剣と魔法の世界なんです。しかも、魔王なんかもいるんですよ。」


俺の考えを見透かしているようなタイミングで答えが帰ってきた。


「今回、鋼様が助けられた男の子はこの世界を大きく変える偉業を行います。そんな男の子を体をはって助けられた功績により、鋼様の異世界転移が可能になりました。」


俺の助けた男の子、そんな重要人物だったとは。死んでまで助けた甲斐があったってもんだ。

しかし、まさかこの俺が異世界転移できるなんて、、、。


いや、ちょっとまて。あまりに自然すぎてさらりと流すところだったが、重要な情報をさらりと言いやがった。

だがこの情報を俺に伝えるとは。これはあれだ、俺が勇者になって世界を救うタイプのやつだ。


「わかりました、俺が勇者になって世界を救います。」


「いえ、勇者は別にいます。ですので自由に生きていただいて結構ですよ。」


笑顔で返された。どや顔で言ったのに、恥ずかしすぎる、死んでしまいたい。もう死んでいるけど。

さっきの発言はもう忘れた、記憶は異世界のどこかに飛んでいってしまった。そうに違いない。

そう自分に言い聞かせ、何事もなかったかのように話し出す。声は上ずっているけど。


「異世界転移を選んだ場合は何か特典はあるんですか。魔王がいるような世界であれば、特典がなければ俺は直ぐ死んでしまう自信があります。」


異世界転移といったらチートスキルがお決まりだ、これを聞かないわけにはいかない。


「相応の特典をご準備しております。ご自由に選んでいただいて結構ですよ。ただし過ぎたる力は身を滅ぼしますのでお気をつけください。」


過ぎたる力は身を滅ぼすか、だが相応の特典というからには期待ができるだろう。もう俺の心は決まった。


そんな俺の決心を見透かすよう、フォル様はまた話を初めた。


「どうなさるのか、鋼様のご決断をお聞かせください。」


「俺は異世界へ行きます。」


「わかりました、これで説明は以上となります。私はここまでとなりますが、鋼様の次の人生が満足して終われることをお祈りしております。それでは鋼様、別室でじっくりと特典をお決めください。」


フォルがそう言うと、俺の目の前にドアが現れた。これでとフォル様ともお別れか、、、。

最後にもう一度フォル様の姿をこの目に焼き付け、ドアを開ける。


扉を潜るとそこには1冊の本があった。

本は黒地に金の箔押しをしてある豪華なものだった。

その本を手に取り、ページをめくる。

~異世界の注意事項~

これから行かれる異世界は剣と魔法の世界です。

今回の特典は、伝説の武器や武具、容姿変更、スキルの取得です。

※ただし、スキルは最大4つまでで、個人の魂の容量を超える内容によっては調整が入る場合があります。

 お好きに選んでいただき、楽しい異世界ライフを堪能してください。


「うーん、どうするかな。魂の容量っていうのは引っかかるな。容姿の変更も捨てがたいが、ここはスキル習得かな。おっ、時空間収納と言語理解はサービスなのか、これは神仕様だな。」

 俺はあーでもない、こーでもないとスキルとにらめっこし、ようやくスキルを決めて異世界への第一歩へと目の前のドアをくぐった。

 


 ドアをくぐるとそこは森で、横をみるとそこには緑色の、そうトロールが棍棒を、、、。


 気がつくと、死んだ後の世界に戻ってきていた。そして目の前にはフォルトゥーナがいた。


「あなたの運がここまでとは予想外でした。まさか着いた場所にトロールがいて2回の攻撃で死んでしまうとは。さすがあんまりだったので、もう1度だけチャンスをあげますね。」


「そうですよね、まさか俺も10秒も生きれないとは思いませんでした。」


 ここまで運が悪いとは笑いしかでてこない。だがもう1度チャンスを貰えるらしい。これは運が良いのか悪いのか、なんとも言えない。だが貰えるチャンスはいただこう。


「チャンスをいただけるんですね、ありがとうございます。良ければ最初の場所は安全な所だと嬉しいです。」


「そうですね、本来なら違う場所に転移していただくんですが仕方ありませんね。どれだけ効果があるかわからないですが、私の加護も与えておきますね。それでは今度こそ、2回目の人生がいろいろな人々との良きご縁がありますように。」


「ありがとうございます、それでは行ってきます。」


 そうして、俺は2回目の扉を開くのだった。

始めての投稿でわかりにくい所も多いと思いますが頑張っていきます。

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