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「12月の朝、天気予報士は言った」
「今日は12月並の気温です。」
当たり前だろう
今日は12月のど真ん中
12月だからって
12月じゃないような気温だと
思っていたのだろうか
と、俺は問い詰めようとしたが
思い起こせば
何十年も異常気象は続いている訳で
夏なのに肌寒い年もあった
冬なのに妙に暖かい年もあった
またはその逆で
夏があまりにも酷すぎる年もあれば
冬があまりにも厳しい年もあった
もちろん普通の年もあったが
「今日は12月並の気温です」
12月のど真ん中みたいな今日の朝に
こんなにも当たり前なことを言えるのが
もしかしたら
もう当たり前ではないのかもしれない
「今日は12月並の気温です」
もしかしたら聞き間違いだったのかもしれないが
「今日は12月並の気温です」
当たり前なことを言えたことを
今朝の天気予報士と共に
歓びを分かち合うべきなのだろう