序章
初投稿用のテスト小説です。短いシリーズになる予定ですが、お付き合い頂ければ幸いです。
俺がいたのは黒い…真っ黒な空間だった。
「どこだ?ここ?」とはならない。
どこか懐かしさを感じるからだ。朝起きた時の布団の暖かさのような居心地のよさがそこにはあった…。
俺は…ここに来たことがある?
真っ黒い空間で、俺は寝そべっていた。
体は動かない。重い…。
「やれやれ…また死にかけとるのか」
しわがれた老人の声がした。
俺のすぐ目の前に座っているようだが、頭も動かせないので確認できない。
目線だけをそちらに動かすと、三段に積まれた真っ赤な杯とよく時代劇とかで見かける酒の入った壺(なんていうんだっけ?)が見えた。
盃の上にしわがれた指が現れ一番上の杯を取ると、視界から壺が消えた。
「だれ…だ?」
「なんだ…師匠の名前も忘れたのか…まぁ仕方ない…」
トクトクという酒が盃に注がれる音がした。
「男に生まれたというのに…とんと変わらんな…お前は……」
バシャバシャと酒が零れる音がした途端、真っ黒な世界が赤い炎に包まれた。
俺はこの炎を知っている。
生も死も世界も運命も…。
何もかもがこの炎の中にはある。
「初代地獄太夫…今生も…お前にとって………」
そうだ…ここは…
「世界は地獄か?」




