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あの少女漫画の世界に生まれ変わったっぽい

 当て馬それはストーリー上絶対に報われることのないキャラクターに付けられる称号みたいな物、裏エースとも呼ばれる。

 例えば、恋愛小説に置いてはヒロインとメインヒーローに出てくるヒロインの幼馴染みの男の子だとか、メインヒーローの婚約者だとかね?


 そして私、西園寺(さいおんじ) 瑠璃子(るりこ)には婚約者が居る。

 眉目秀麗・文武両道・品行方正という四字熟語をこれでもかと詰め込んだようなトンデモ男。

 (すめらぎ) 終夜(しゅうや)、ちなみに大財閥の御曹司様である。

 世の中こんな人間存在しているんだなぁと思うが、当たり前なのだ。

 何故なら彼が少女漫画に出てくるメインヒーローで、天つまり、作者から二物も三物も四物も与えられ過ぎな存在だから。


 昔はそんな完璧な所が良いと熱を上げていた訳だけど、今となっては口から何か出そうな勢いで拒絶反応しか無い。


 そんな彼と婚約に至った経緯はもちろんシンプル。

 財政界でも大きな力を持っていた父に泣きついてもぎ取って貰ったらしい。

 それでも中々苦労したようだけれど。


 そう、全てを思い出してしまったのは小学4年生の時、クラスマッチで皇 終夜のドッヂボールの試合だったあの日。

 私は当たり前の様に取り巻きを連れて応援に行った。

 彼の流れるようなプレイに取り巻き達と一緒に黄色い声を上げていた訳だけれども、その時に試合をしていたドッヂボールの流れ弾が当たったのだ。

 あれ痛いんだぞ、ホントに!

 フラフラになった私はその場で倒れて、保健室のベッドで思い出した。


 ここは前世社会現象を巻き起こした。

 有名少女漫画『花に嵐~恋せよ乙女~』の世界なのだと。


 なんてことだ、そう思った。


 今まで初めて見る人や景色に既視感などを感じることがたまにあったけれど、それはたまたますれ違ったとかテレビで見たとかそんな程度だと思っていたし気にも止め無かった。

 けれど、今頭に流れ込んでくるのは鮮明すぎるほどの記憶の数々が既視感から確信へと変わっていく。

 私、西園寺 瑠璃子こと前世、篠原(しのはら) (ともえ)は転生したらしい。


 マジですか、そうですか。


 そもそもこの『花に嵐〜恋せよ乙女〜』略して『花恋』は王道中の王道に見せかけた邪道ストーリーである。

 舞台は金持ち子息令嬢が通う学園で主人公は特待生としてに入学する。

 しかしそこには、皇家を頂点とした選民意識蔓延る生徒達。

 もちろん特待生として入学した主人公達は格好のいじめのターゲットにされる。

 主人公はそんな逆風にめげず、状況打破しようとヒエラルキーの頂点に居る皇 終夜に直談判するのだ。

 だが、相手にされず帰れと言われる始末。

 それに怒った主人公は宣戦布告をする。

 そして彼の怒りを買った主人公に更に目を覆いたくなるほどの嫌がらせの毎日が始まり、それでもめげない主人公の姿に心を惹かれていく。

 それからは様々な苦難を乗り越えて、彼の優しさに気づいた主人公は心を許すようになり惹かれ合うのだ。ね、王道でしょ?

 そこで、登場するのが私こと西園寺 瑠璃子。

 そんな彼らの仲を許さないとばかりに権力を使い、犯罪スレスレのことを行って主人公を追い詰める。

 それを知った皇 終夜は西園寺 瑠璃子を見事な手腕で断罪し退学させるのだ。

 それからはゴール一直線ハッピーエンドって訳よ。

 その後の瑠璃子の消息は知らない。

 まぁ、良い未来とは言えないことは確かだ。

 冗談じゃない、今生こそは報われたいのですが!

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