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TSカリスマライフ! 「女の子大好きな転生少女が送る、百合ハーレムな日常コメディ」  作者: 恒石涼平
(旧)第二章 後輩、同級生、先輩。(小学二年生)
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莉里ちゃんと沢山プレゼント

 誕生日の豪華なご馳走を食べ終えて、一息入れることにしました。

 私を含め皆沢山食べたので、ケーキを食べる前に休憩です。

 そうこうしている間にお父さんたちが帰ってきて、少ししてから湖月ちゃんママもやってきました。


「湖月、ただいまや~」

「おかえりや! ママ!」


 湖月ちゃんはママの前では甘えん坊です。

 私の前でもずっと甘えん坊でいてくれるように頑張りたいです。


「あ、お父さんお帰り。いつの間に帰ってきてたの?」

「結構前なんだけど……」

「あらあら。千佳、あんまりお父さんを虐めちゃ駄目よ?」

「てへっ、嘘だよお父さん。遅れちゃったけどお帰りなさい」

「ただいま千佳」


 少し冗談が過ぎました。

 湖月ちゃんを見て少し羨ましくなった私は、お父さんのゴツゴツした手に頭を撫でてもらいます。

 優しくてとても安心する温かみを感じます。


「お姉ちゃんずるい! 私も私も!」


 私のナデナデは、遺伝だったのかもしれません。

 今日の主役を置いてけぼりにしてはいけないと思い出し、私はメグちゃんと入れ替わってリビングの莉里ちゃんの元へと向かいます。


「……」

「どうしたの、莉里ちゃん?」

「……湖月、嬉しそう」

「そうだね。あ、莉里ちゃんのお父さんたちももうすぐ来るって連絡があったみたいだから、莉里ちゃんも一杯甘えればいいんだよ!」

「……それは恥ずかしい」

「子供が大人に甘えるのは恥ずかしくないよ。私たちは一杯甘えて、その分一杯親孝行するんだから」

「……分かった」


「ふふ、千佳先輩は大人ですね」

「私だって子供だよ?」

「でも、姉さんより大人に見えますよ」

「……むっ、そんなことない」

「照れるなぁー! 莉里ちゃんも私に甘えてくれていいんだよ! ほらほら!」

「……天誅」

「あいたっ!?」


 莉里ちゃんからチョップをいただきました。

 莉里ちゃんも桃ちゃんも笑っていて、本当に今日パーティーを開くことができてよかったと思う。

 一週間前、桃ちゃんから相談されたときは何事かと思ったけど、私は皆が幸せでいてほしいからね。

 誰にも悲しい思いなんてさせてなるものか!


「あ、ほら! 莉里ちゃん桃ちゃん、お父さんとお母さん来たみたいだよ!」

「……行ってくる」

「すみません、席外しますね」

「いってらっしゃい。二人共存分に甘えてくるよーに!」

「……いえすさー」

「ふふ、ありがとうございます。先輩」


 玄関から聞こえる賑やかな一家の音を聞いて、私は安心するのでした。

 後は、プレゼントを渡してからケーキを食べるだけです。

 あ、私と莉里ちゃんでケーキ入刀、これはありかもしれない。




「それでは、ケーキを食べる前に、私たちからプレゼントです!」


 代表としてメグちゃんと花ちゃんに渡してもらいました。

 手帳は私たちの手で綺麗に包装しており、可愛い花ちゃんお手製の折り紙をノリでくっ付けています。


「……嬉しい」

「ささ、開けてみてや~!」

「……いいの?」

「どうぞどうぞ」


 何故か私に確認してくる莉里ちゃんに、ダチョウさんばりの許可を出します。

 うちの言葉じゃあかんのか……床に手をつく湖月ちゃんは、一旦愛ちゃんに任せておきましょう。


 莉里ちゃんが包装を破らないよう慎重に開けたら、赤ちゃんタイガーの手帳がお目見えです。

 莉里ちゃんは目を輝かせながら手帳を抱えあげます。


「……すごい、可愛い」

「千佳ちゃんセレクトなんだよ、可愛いよね」

「お姉ちゃんのセンス!」

「かんむりょー!」


 いや、今は私を褒めるんじゃなくて莉里ちゃんにおめでとうを。

 それに手帳を買って、事前に見せたときに死ぬほど持ち上げてきたじゃないか。

 もうお腹一杯だよ。でもありがとう。


「莉里ちゃんが喜んでくれたら何よりだよ」

「……皆、ありがとう。大事に使う」

「ええんやで!」


 立ち直ったか、湖月ちゃん。おかえり。


 そしてメグちゃんと花ちゃんと入れ替わるようにして、桃ちゃんが小さな包みを手渡します。


「ね、姉さん。おめでとうございます」

「……桃、これは?」

「えっと、さき程のプレゼントは私以外の皆さんで、こっちがその、私からの。です」

「……っ! 桃、ありがと」


 中身を開ける前に、莉里ちゃんは桃ちゃんへと抱きつきます。

 いつもならその間に挟まれたいと思う私ですが、今日の主役は莉里ちゃんですから。

 野暮な真似はいたしません。したいけど。


「……開けていい?」

「はい。どうぞ」

「……猫、可愛い」

「よかった。姉さんの定規、この前私にくれたので、その、あの、お返しみたいに」

「……桃、嬉しい」


 そうして私たちからのプレゼントが終わり、莉里ちゃんパパとママからのプレゼントとして五冊の新しい小説が送られました。

 どうやら気になっていた小説だそうで、今にも読みたいとウズウズしています。

 しかし、まだ今日のメインはこれからですぞ!


「よし。お父さん、スイッチオフ!」


 私の声を合図に、お父さんの手によってリビングの電気が消されます。

 あ、ダイニングとは繋がっていて、その扉は開けているので真っ暗ではないです。

 真っ暗は怖いので。


 そして莉里ちゃんパパによって、テーブルのケーキに刺さった蝋燭へと火が灯されました。私はメグちゃんの肩を叩いて、合図を出します。


「せーの!」


 甘い甘い毎日の中で、一年に一回だけ訪れる大切な日。

 しかし私たちが集まれば、その日は一年に七回も訪れる。

 聖夜でも年越しでもないその日だけは、一人だけが主役になれる日。


 頬を膨らます程に息を吸って、火を消す莉里ちゃん。

 その隣りで微笑みながら歌う桃ちゃん。

 そして愛ちゃんママの伴奏に合わせて、誕生日を祝う歌を歌う私たち。


 いつも笑顔の私たちが、いつも以上に笑顔になれる日は、こうして終わりへと近付いていく。




「……千佳」

「どうしたの、莉里ちゃん? 帰る準備はできた?」

「……その前に一つだけ」

「?」

「……ちゅっ」

「……ッ!? ふえ!? えええ!?」


 私からのアクシデントのようなキスではなく、莉里ちゃんからの私のほっぺに軽く触れるようなキス。

 いつもは私がお姉さん振っていますが、悪戯が成功した莉里ちゃんの顔は、小悪魔のようなお姉さんの顔に見えました。

 うっ、お姉ちゃん力が負けてる!?


「……ありがとうの、キス」

「うえ、えう、うええ!?」


 どうしよう。プレゼントあげる側なのに、特大のプレゼント貰っちゃった……。


 こうして莉里ちゃんの誕生日が終わり、今年の終わりが近付いてくるでした。

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